ラルゴ神楽坂は、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩5分、東京メトロ東西線神楽坂駅から徒歩10分の、精神障害や発達障害のある人が主な利用者の就労移行支援事業所です。
今回は、ラルゴ神楽坂の施設長・サービス管理責任者である櫻井幸雄さんに、カウンセラーによる無料カウンセリングや個人に合わせたカリキュラムといった支援内容、職場定着率が100%の理由をお聞きしました。
住所:東京都新宿区西五軒町8-10 臼井ビル2階
アクセス:都営バス「東五軒町」徒歩2分、東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」徒歩5分、東京メトロ東西線「神楽坂駅」徒歩10分、JR中央・総武線「飯田橋駅」徒歩13分、都営大江戸線「牛込神楽坂駅」徒歩14分
主な利用者:精神障害・発達障害
無料の個別カウンセリングでまずは生活リズムと健康管理から
カリキュラムの特長を教えていただけますか?
ラルゴ神楽坂では、利用者に就職活動に必要なスキルや知識を身に付けてもらう前に、生活リズムを安定させるところからスタートします。生活リズムや健康管理、自己理解はとくに重要視している事業所かなと思います。
利用者の中には、どうしても収入の面が気になって少しでも早く就職したいという方もいるのですが、あせって就職すると職場に定着できない場合も多いので、まずは仕事を続けられる体力や生活リズムが整っているか、メンタル系の部分も含めて、自分自身で理解していただくことに力を入れています。
カウンセラーによる個別カウンセリングもされているんですね
臨床心理カウンセラーや産業カウンセラーといった、メンタルクリニックで働いている先生に週2回来てもらっているので、講座以外の時間帯に週1回や隔週でマンツーマンの無料カウンセリングを受けていただけます。
自分自身の特性や本当に自分のやりたいこと、自分に向いてること、今までこういう仕事をしていたけど実は全然違う選択肢もあるということを知るのは、自己理解の中で非常に大事な部分ですので、その部分をマンツーマンで個別対応ができるのはひとつの強みだと思います。
また、色々な障害があってこだわりが強かったり認知行動療法が必要だったりする方は、やはりみんなの前だとなかなか言いづらかったり指摘しづらかったりがあるので、そういった場合にもマンツーマンでその都度カウンセリングをしながら、来週はどうだったか、来月はどうだったかと進捗確認をしています。
昼食は無料で提供されているんですか?
僕自身も飲食店をやっていたという経験があるので、少しでもバランスのとれた食事を提供するのを心がけています。
やはり食べるものって大事かなというところで、朝昼晩はできないですけれども、うちに来ていただく方に関してはバランスのとれた昼食を無料で提供することで、生活リズムや健康にもつながると思っています。
現在の定員は10名、個別ブースや在宅での訓練も
ラルゴ神楽坂にはどのような利用者が通われていますか?
いま来ていらっしゃる方は精神障害と発達障害のある方がほとんどですが、身体障害のある方も1人います。年齢的には20代〜40代の人がメインです。マンツーマンで無料のカウンセリングを受けられるのは、やはり精神障害や発達障害の方が多いからというのもあります。
定員は10人で、毎日来る方もいますが、週3回や午前だけ、午後だけという方もいるので、終日いるのはだいたい3〜4人くらいですね。
周りの人の声が気になる方や、視線が気になる方もいるので、個室や半個室の実習スペースも用意しています。
在宅での訓練や週1回からの通所もできますか?
オンラインでの健康管理や講座を受けることができる体制を整えています。在宅は、もともと在宅勤務を希望している方や、通勤や電車が厳しい方、朝が難しい方などが利用しています。ただ、基本的には事業所へ出てくることを推奨しているので、最初はオンラインでもいいから月に何回か通所はするようにし、徐々に週5回の通所を目指します。
就職後の職場定着率は100%!徹底した個別支援
どのように就職活動の準備をしていますか?
基本的にはその人のレベルに応じて毎月カリキュラムを作っています。例えば、新卒の方や働いたことがない人であれば、生活リズムが整ったらビジネスマナーやコミュニケーションの仕方など、「自分の足らないところって何だろう?」っていうのをしっかり講師の支援員の方と話し合いながら、自分のカリキュラムを作っていきます。
過去に就職をしたことがある方の場合は、生活リズムや健康管理ができるようになったら、ビジネスマナーの講座をはさまずに、就職活動は具体的にどういうことをやっていきましょうとか、ロープレで面接のやり方を一緒にやりましょうという風に進めるので、スピード感は人それぞれです。
また、その日出席している利用者に応じて講義のレベルを変えており、それができる講師陣たちがいるのは強みだと思います。
平均的な利用期間はどのくらいですか?
早い人は半年ぐらいで就職しちゃう人もいるし、もう2年間フルに使う人もいますが、大体平均でいうと1年未満だと思います。
例えば、事業所の利用期間が残り2ヶ月ですといって慌てて就職活動をしてもなかなか精神的にできないので、期限に近づけば近づくほど焦って納得のいく就職はできないと思っています。早め早めに動いてゆとりを持って就職する、または「ちょっと違うな」って思ってもやり直せるぐらいの期間を残しておけるといいのかなと思います。
資格取得の支援も行っているんですか?
MOSや介護福祉士など、就職活動に必要であれば、講師の判断で資格取得のサポートも行っています。
せっかく通っているのであればそういう資格を身に付けて就職するのも、実際給料にも大きく関わってくる部分でもあるので、健康管理や生活リズムが整って安定的に通所ができるようになった人に利用してもらっています。
職場定着率は100%なんですね!
就職後の定着率にこだわっており、卒業生の職場定着率は100%です(2021、2022年)。就職したら、まずは最低でも半年以上、ミスマッチないように続けたいって思えるような職場に就職してほしいなと思っています。
ミスマッチがないような自己理解もそうですし、「面談で言われたことと違かった」なんてよくある話で、入ったら違ったみたいなことは健常者にもあると思うので。やはりその辺は必ず実習みたいな形で入らしていただいく中でちゃんと見極めて、お互いですけどね、企業側も見極めてもらうし、こちら側も見極めるということをしっかりやると、ミスマッチを減らせると思います。
事前に聞いたことと違うとか、イメージと違うことはなくなるんじゃないかと思うので、実習には一緒に同席するなど、就職活動においても一人ひとりの利用者に対して定着率を高めるための取組みを必ず行っています。
就職してからも定着支援は半年間は行いますし、半年後も継続して定着支援を利用する方も多いので、何かあったら企業と利用者の間に入って不具合を調整しています。
就労移行支援の利用を迷っている方に一言お願いします
「変わりたいけど、どうしていいか分からない」とか、「誰かに背中を押してほしい」とか、ただ変わりたいという気持ちがあれば、見学だけでもいいからまずは連絡してほしいと思います。
ラルゴ神楽坂に関してはやっぱりそれを全面的に寄り添う支援を心がけているので、就職できる人しか来るなとは思ってはないので、基本的にはそういう困ってる方を助ける事業だと思ってるから、一歩踏み出したいけど踏み出せない方こそ連絡してほしいなって、すごい思いますよね。
特に昼夜逆転してる人、生活リズムが全然安定しない人、寝れない人など、メンタル面で困っている人なんかは、最初のうちはそこを徹底的にやるので、うちのサポートが合うんじゃないかなと思います。
単に就職のサポートだけをするならハローワークでもいいわけで、その前の段階で困ってる方、精神的なところもそうだし、ストレスにすごく弱いとか、気温とか気圧とか色々な状況によって不調が出てくる方っていうのも、長年いろいろな利用者と接する中で生活リズムや健康管理のノウハウがあるので、ぜひご相談いただければと思います。