障害や病気があり働くことが難しい方や、休職している方の中には、「就労移行支援事業所ではどんな資格をとれるの?」や「就労移行支援事業所で資格を勉強するメリットはあるの?」といった悩みを持っている方もいるかもしれません。
この記事では、資格を取得できる就労移行支援事業所を10ヶ所ご紹介するほか、就労移行支援事業所で取得できる資格の種類や、資格を取得するメリットについて、元就労移行支援事業所の支援員である筆者がご紹介していきます。
就労移行支援事業所では資格を取得できる?
就労移行支援事業所は、障害や難病が要因で就労が困難な人に対して、就労に向けての訓練や就職活動の支援をするサービスです。
全国にある就労移行支援事業所の中には、就職に役立つ資格の取得をサポートしているところもあります。
サポート内容は事業所ごとによって異なり、資格の勉強をするためのテキストを無料で貸し出す事業所や、資格の受験費用を補助してくれる事業所など、様々な形で支援が行われています。
就労移行支援事業所を利用して資格を取得するメリット
就労移行支援事業所の利用期間中に資格を取得することで得られるメリットについて説明します。
自分に自信がつく
長期間離職していると、仕事に対する不安感や「もう自分には仕事ができないのでは」と自信を失くしてしまうことがあります。
そのようなときに、「資格取得という目標に向けて勉強し、試験に合格する」というプロセスは、自信を取り戻すきっかけになります。
通所の目的が明確になる
就職に向けての訓練内容は多岐にわたります。多くの就労移行支援事業所ではコミュニケーションの訓練や自己理解のプログラムを実施しています。
これらの訓練はとても大切なものですが、具体的な成果が見えにくいため、身についているかどうか実感しにくいこともあるでしょう。
そのため、就労移行支援事業所に通う目的がわからなくなってしまう人もいます。
一方、資格所得は目標が明確で、達成までのプロセスもわかりやすいため、通所のモチベーション維持につながりやすいです。
勉強中にわからないことをスタッフに聞ける
資格取得の勉強中にわからないことがあれば、就労移行支援事業所のスタッフに質問ができます。疑問をすぐに解消できる環境があることで、勉強がスムーズに進みます。
また、頼れるスタッフがいることで、未経験の分野の資格取得にも挑戦しやすいでしょう。
同じ目的の仲間ができる
資格取得の勉強は、ときに孤独を感じるものです。スタッフだけではなく、同じ目標を持つ仲間の存在は、大きな励みになるでしょう。
資格の勉強をきっかけにしてコミュニケーションが増え、資格以外の会話に発展してより仲が深まることもあります。
就職活動に有利になる
資格があれば必ず就職できるというわけではありませんが、資格取得するためにその分野を勉強したという証明となり、就職活動において大きなアピールポイントになります。
また、資格取得のために努力し、それを達成したという経験も強みにもなります。
どの仕事においても「目標を達成する力」は重要ですから、それができる姿勢が評価されれば、就職活動で有利になるでしょう。
就労移行支援で取得できる資格の一覧
就労移行支援事業所によって取得できる資格に違いがありますが、ここでは例として4つの資格について説明します。
- MOS Excel
- MOS Word
- MOS PowerPoint
- 日商簿記検定
- 介護福祉士
- ビジネス会計基礎
- 給与計算検定
- TOEIC
- ITパスポート
- Illustratorクリエイター能力認定試験
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- 秘書検定
- FP技能士
- メンタルヘルスマネジメント検定
MOS
MOSは、Microsoft Office製品(Word、Excel、PowerPointなど)のスキルを証明する資格です。
特に事務職では日常的にWordやExcelなどを使うため、MOS資格があるとアピールポイントになるでしょう。
簿記
簿記は、企業のお金の流れを正確に記録・計算・整理することで、経営や財政の状態を分析する技術です。日商簿記検定が代表的で、3級から1級まであります。
簿記は企業の経理や会計業務には必須のスキルです。経理や会計に興味がある人にとっては、就職に有利になる資格でしょう。
TOEIC
TOEICは、英語のコミュニケーション能力、特に英語を聞く力や読む力を測る試験で、合計990点満点で評価されます。
英語力を証明する資格なので、英語を使う仕事ではTOEICのスコアが採用に影響することもあります。
秘書検定
秘書検定は、社会人として必要なビジネスマナーや知識を評価する資格です。
秘書業務に限らず、対人スキルやビジネスマナーを幅広く証明するため、様々な職種で役立ちます。
資格取得サポートのある就労移行支援事業所10選
ここからは、資格取得のサポートがある就労移行支援事業所を紹介します。
ここでは一例として関東地域と大阪府の就労移行支援事業所を挙げていますが、デイゴー就労支援ナビではお住まいの市区町村や駅から、就労移行支援事業所を探すことができます。
コンフィデンス日本橋(東京都)
コンフィデンス日本橋は、三越前駅より徒歩1分、日本橋駅より徒歩4分、一人ひとりに合った個別プログラムを提供し、個性を伸ばします。
- 個人の取得したいニーズに合わせてサポート
- 仕事を想定した環境でトレーニングができる
- 対応している資格は、ITパスポート・MOS・簿記・漢字検定・TOEIC・色彩検定など
就労移行支援事業所ハンドシェイク(東京都)
就労移行支援事業所ハンドシェイクは、町田駅より徒歩6分、整体技術やコミュニケーションスキルを身につけられます。
- 自分の体のセルフケア・人をいやす整体技術が習得できる
- 広々とした過ごしやすい空間
- 資格取得に関わる費用を上限2万円までサポート
就労移行ITスクール柏(千葉県)
就労移行ITスクール柏は、柏駅より徒歩7分、未経験からプログラミングを学び、パソコンスキルを生かした就職を目指せます。
- 実際の就労を想定した訓練を実施
- エンジニアやプログラマー経験のあるスタッフが学習をサポート
- 未経験者でもMOSやITパスポートの資格取得が目指せる
就労移行支援事業所リバーサル浦安(千葉県)
就労移行支援事業所リバーサル浦安は、浦安駅から徒歩1分、母体の学習塾でのノウハウを生かして一人ひとりの目標に合わせたプログラムを提供します。
- ストレスケアや対人関係の課題に取り組むプログラムが充実
- 昼食は栄養士監修のお弁当を提供
- MOSなどの検定受験料を全額補助
Be happinessとおり町(埼玉県)
Be happinessとおり町は、川越駅より徒歩10分、作業に対して工賃が支給される就労移行支援事業所です。
- 工賃が支給されることで、責任感を習得できる
- 事業所が日本情報処理検定協会の検定会場に認定
- 事業所内でワープロ検定、情報処理検定、プレゼンテーション検定などが受講できる
就労移行・定着支援事業所ビンゴ横浜(神奈川県)
就労移行・定着支援事業所ビンゴ横浜は、元町中華街駅より徒歩2分、企業から依頼された作業を訓練の一部として請け負うことで、実践的に働くイメージをつかんでいきます。
- 就職後も最大3年間定着支援を実施
- 資格取得に向けての学習計画を立て、学習の環境を整える
- MOSの模試を定期的に開催
就労移行ITスクール登戸(神奈川県)
就労移行ITスクール登戸は、向ヶ丘遊園駅より徒歩1分、就労における大切なことをITスキルを通じて訓練します。
- Excel・Word・Adobeの学習、Progateでプログラミングの学習も可能。
- 在宅訓練を導入
- 資格取得スタッフが在籍し、講座でITパスポートの学習法などを伝授
ニコサービス城東センター(大阪府)
ニコサービス城東センターは、野江駅・関目駅より徒歩7分、10人定員の小規模な事業所で手厚い支援が受けられます。
- 簿記やMOS、秘書検定などの資格取得をサポート
- 日本商工会議所から認定された指導者が在籍
- 簿記やパソコンなどにかかる受験料を支援(上限あり)
就労移行支援事業所 LUMO+ 阿倍野(大阪府)
就労移行支援事業所 LUMO+ 阿倍野は、寺田町駅より徒歩6分、リモートでの就職に備えて在宅の訓練も可能です。
- 様々な就労経験があるスタッフが就職活動をサポート
- 一部の資格は事業所内で受験が可能
- 試験免除プログラムがあり、動画視聴で資格が可能
ぷらす守口(大阪府)
ぷらす守口は、太子橋今市駅より徒歩2分、精神疾患・大人の発達障害のある人の就職支援に特化した就労移行支援事業所です。
- 離職中に限らず、休職中の居場所としても利用可能
- 100種類以上の資格取得をサポート
- 月10,000円を上限とした受験補助制度あり
資格取得に強い就労移行支援事業所の選び方
資格取得に強い就労移行支援事業所を選ぶためのポイントをそれぞれ紹介していきます。
①資格取得のサポート内容で選ぶ
資格を取得するためのサポート内容は、事業所によって違いがあります。教材を支給されて自習で資格取得を目指すところから、スタッフが資格取得のためのノウハウを教えてくれるところまで様々ですから、ご自身が受けたいサポートがあるかどうかを確認してみてください。
②受験料や教材費の補助制度で選ぶ
就労移行支援事業所によっては、資格取得のための教材を無料提供しているところがあるほか、一部の就労移行支援事業所では、受検料を補助してくれるところもあります。
金銭的な負担が少なくなることで資格取得のハードルが下がり、チャレンジしやすくなりますから、資格取得のための補助制度があるか、ある場合はその内容を聞いてみましょう。
③スタッフの専門性・経験で選ぶ
取得したい資格に関する知識が豊富なスタッフがいると、資格試験に向けての勉強がはかどります。実際にその資格を持っているスタッフならば、知識だけではなく、勉強方法も教えてくれるかもしれません。
例えばITの資格を取得したいならITに強いスタッフ、簿記の資格を取得したいなら簿記や経理に詳しいスタッフがいるところを選ぶといいでしょう。
④就職の実績で選ぶ
資格の合格実績と同時に、就職の実績は就労移行支援事業所を選ぶ上で大切なポイントです。
資格を生かして就職している卒業生がどれぐらいいるか、確認してみてもいいかもしれません。
就労移行支援事業所の目的は「就職すること」なので、資格取得の先を見越しておきましょう。
⑤取得したい資格の合格実績で選ぶ
就労移行支援事業所ごとに、サポートを得意とする資格の種類が異なります。
見学や体験の際に、対応している資格の種類とあわせて、合格実績を聞いてみるといいかもしれません。
就労移行支援に関するよくある質問
就労移行支援の利用対象者はどんな人?
就労移行支援事業所は、以下の4つの条件を満たしている人が対象者とされています。
- 一般就労を希望している
- 障害・難病がある
- 65歳未満である※
- 適性に合った職場への就労等が見込まれる
サービスを利用できるかどうかの判断は市区町村が行っているため、「自分は就労移行支援事業所の利用対象者なのだろうか?」と不安の場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当部署にまずは相談してみてください。また、就労移行支援事業所のスタッフがサポートしてくれる場合もあります。
就労移行支援を利用するための手続きは?
就労移行支援事業所を利用するためには、障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)の取得が必要です。
受給者証は、お住まいの市区町村の役場にある障害福祉課などで申請ができます。
申請書、身分証明証、障害者手帳または主治医の意見書・診断書など必要書類を提出し、市区町村が認めた場合は、1ヶ月前後で受給者証が発行されます。
就労移行支援は見学や体験ができるの?
多くの就労移行支援事業所は、随時見学や体験を受け入れています。このときに受給者証は必要ありません。
お住まいの地域にある就労移行支援事業所を調べ、気になる事業所があれば、メールや電話で見学がしたい旨の連絡をしましょう。デイゴー就労支援ナビでも、気になる事業所へ問い合わせをすることができます。
折り返しスタッフから見学の日程調整の連絡がありますので、日時が決まったらその日に見学に行きます。
また、複数の事業所を見学することも可能です。2〜3箇所の事業所を見学して比較することで、より自分に合った事業所選びができます。
就労移行支援は交通費や昼食の補助はある?
就労移行支援事業所によっては、交通費や昼食の補助があります。各事業所独自のサービスになるので、補助の範囲は様々です。
就労移行支援事業所に通所中は原則アルバイトができないため、交通費や昼食の補助は心強いものです。
さらに、お住まいの市区町村によっては交通費の一部を補助する制度もあるため、これについても確認しておくといいでしょう。
最後に
ここまで、資格を取得できる就労移行支援事業所を10ヶ所ご紹介してきたほか、就労移行支援事業所で取得できる資格の種類や、資格を取得するメリットについて、元就労移行支援事業所の支援員である筆者がご紹介してきましたが、いかがでしたか。
就職に役立つ資格の取得を支援している就労移行支援事業所のサポート内容は事業所ごとによって異なります。ご自身の興味のある資格のサポートの有無や、スタッフの専門性、就職実績など、事業所を選ぶ際にはいくつかの観点から比較検討をしてみることが大切です。
デイゴー就労支援ナビでは、お住まいの地域や駅から就労移行支援事業所を探し、取得できる資格の種類や職員の専門性などを比較することができますので、ぜひご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。