福祉・介護職員等処遇改善加算とは?就労移行・就労継続支援A・B型の報酬改定2024

就労継続支援A・B型・就労移行の経営者・管理者の皆さんの中には、「新しい福祉・介護職員等処遇改善加算の算定要件はどうなっているの?」や「前の処遇改善加算はいつまで算定できるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、2024年6月から新たに適用される福祉・介護職員等処遇改善加算の算定要件や加算率、対象となるサービス種別などについてご紹介していきます。

※ここでは、4月5日時点で公開されている厚生労働省の情報に基づき、福祉・介護職員等処遇改善加算に関する情報をまとめています。最新の情報が公表される可能性がありますので、ご了承の上、お読みください。

目次

2024年度(令和6年度)報酬改定で処遇改善加算は一本化へ

2024年度(令和6年度)障害福祉サービス等報酬改定では、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算の3つの加算が、「福祉・介護職員等処遇改善加算」に新しく一本化されることになりました。

福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算の算定は2024年5月31日までで、福祉・介護職員等処遇改善加算は2024年6月1日から算定が可能です。

(出典:厚生労働省 事業者向けリーフレット

福祉・介護職員等処遇改善加算の対象となるサービス種別

福祉・介護職員等処遇改善加算の対象となるサービス種別は、以下のようになっています。計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援(移行)、地域相談支援(定着)は加算の対象外です。

福祉・介護職員等処遇改善加算の対象となるサービス種別
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 就労選択支援
  • 就労定着支援
  • 障害者支援施設が行う就労移行支援
  • 障害者支援施設が行う就労継続支援A型
  • 障害者支援施設が行う就労継続支援B型
  • 居宅介護
  • 重度訪問介護
  • 同行援護
  • 行動援護
  • 重度障害者等包括支援
  • 生活介護
  • 施設入所支援
  • 短期入所
  • 療養介護
  • 自立訓練(機能訓練)
  • 自立訓練(生活訓練)
  • 自立生活援助
  • 共同生活援助(介護サービス包括型 )
  • 共同生活援助(日中サービス支援型)
  • 共同生活援助(外部サービス利用型)
  • 児童発達支援
  • 医療型児童発達支援
  • 放課後等デイサービス
  • 居宅訪問型児童発達支援
  • 保育所等訪問支援
  • 福祉型障害児入所施設
  • 医療型障害児入所施設
  • 障害者支援施設が行う生活介護
  • 障害者支援施設が行う自立訓練(機能訓練)
  • 障害者支援施設が行う自立訓練(生活訓練)

福祉・介護職員等処遇改善加算の単位数・加算率【就労移行・就労継続支援等】

ここでは、就労継続支援A・B型・就労移行支援・就労定着支援・就労選択支援における福祉・介護職員等処遇改善加算の加算率をご紹介します。

※福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅴ)については、令和7年3月31日まで算定可能

就労継続支援A型就労継続支援B型就労移行支援就労定着支援就労選択支援
9.6%9.3%10.3%10.3%10.3%
9.4%9.1%10.1%10.1%
7.9%7.6%8.6%8.6%8.6%
6.3%6.2%6.9%6.9%6.9%
Ⅴ(1)8.3%8.0%9.0%9.0%
Ⅴ(2)8.0%7.9%8.6%8.6%
Ⅴ(3)8.1%7.8%8.8%
Ⅴ(4)7.8%7.7%8.4%
Ⅴ(5)6.7%6.6%7.3%7.3%
Ⅴ(6)6.5%6.4%7.1%
Ⅴ(7)6.2%6.1%6.5%6.5%
Ⅴ(8)6.6%6.3%7.3%7.3%
Ⅴ(9)6.0%5.9%6.3%
Ⅴ(10)4.9%4.8%5.2%5.2%
Ⅴ(11)5.0%4.9%5.6%5.6%
Ⅴ(12)4.7%4.6%5.0%
Ⅴ(13)4.5%4.4%4.8%4.8%
Ⅴ(14)3.2%3.1%3.5%3.5%
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

福祉・介護職員等処遇改善加算の経過措置

処遇改善3加算の一本化は制度変更による事業者への影響が大きいことから、2024年度6月から2024年度末まで、経過措置として福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅴ)が設けられています。

これにより、現行3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、2024年度報酬改定による加算率の引上げを受けることができるようになっています。

アプリケーション

低い精度で自動的に生成された説明
(出典:厚生労働省 制度概要・全体説明資料

【福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅴ)の算定要件(旧3加算の算定状況による)】

福祉・介護職員等処遇改善加算福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅰ福祉・介護職員処遇改善加算Ⅱ福祉・介護職員処遇改善加算Ⅲ福祉・介護職員等特定処遇改善加算Ⅰ福祉・介護職員等特定処遇改善加算Ⅱ福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算
Ⅴ(1)
Ⅴ(2)
Ⅴ(3)
Ⅴ(4)
Ⅴ(5)
Ⅴ(6)
Ⅴ(7)
Ⅴ(8)
Ⅴ(9)
Ⅴ(10)
Ⅴ(11)
Ⅴ(12)
Ⅴ(13)
Ⅴ(14)
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

福祉・介護職員等処遇改善加算の算定要件

福祉・介護職員等処遇改善加算を算定するためには、キャリアパス要件・月額賃金改善要件・職場環境等要件の3種類の要件を満たすことが必要です。

①キャリアパス要件とは

キャリアパス要件は、研修の実施や昇給の仕組みの整備など5種類の要件があり、職員のキャリア設計を目的として設けられています。

以下のように、満たしているキャリアパス要件の種類によって算定できる福祉・介護職員等処遇改善加算が変わります。

福祉・介護職員等処遇改善加算キャリアパス要件Ⅰキャリアパス要件Ⅱキャリアパス要件Ⅲキャリアパス要件Ⅳキャリアパス要件Ⅴ
Ⅴ(1)
Ⅴ(2)
Ⅴ(3)
Ⅴ(4)
Ⅴ(5)
Ⅴ(6)
Ⅴ(7)どちらか1つを実施
Ⅴ(8)
Ⅴ(9)どちらか1つを実施
Ⅴ(10)どちらか1つを実施
Ⅴ(11)
Ⅴ(12)どちらか1つを実施
Ⅴ(13)どちらか1つを実施
Ⅴ(14)どちらか1つを実施
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)

キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)は、以下の3つを全て満たす必要があります。

キャリアパス要件Ⅰ
  1. 福祉・介護職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(福祉・介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
  2. 1.に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
  3. 1.及び2.の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての福祉・介護職員に周知していること。

※2024年度中は、処遇改善計画書で2025年3月末までに上記の1.及び2.の定めの整備を行うことを誓約すれば、2024年度当初からキャリアパス要件Ⅰを満たすことができます。ただし、2025年3月末までに当該計画の策定等を行い、実績報告書においてその旨を報告する必要があります。

キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)

キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)は、以下の2つを全て満たす必要があります。

キャリアパス要件Ⅱ
  1. 福祉・介護職員の職務内容等を踏まえ、福祉・介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。
    1. 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、福祉・介護職員の能力評価を行うこと。
    2. 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
  2. 1.について、全ての福祉・介護職員に周知していること。 

※2024年度中は、処遇改善計画書で2025年3月末までに上記の1.の計画を策定し、研修の実施又は研修機会の確保を行うことを誓約すれば、2024年度当初からキャリアパス要件Ⅱを満たすことができます。ただし、2025年3月末までに当該計画の策定等を行い、実績報告書においてその旨を報告する必要があります。

キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)

キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)は、以下の2つを全て満たす必要があります。

キャリアパス要件Ⅲ
  1. 福祉・介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次の1から3までのいずれかに該当する仕組みであること。
    1. 経験に応じて昇給する仕組み:「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること。
    2. 資格等に応じて昇給する仕組み:介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組みであること。ただし、別法人等で介護福祉士資格を取得した上で当該事業者や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。
    3. 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み:「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。
  2. 1.の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての福祉・介護職員に周知していること。

※2024年度中は、処遇改善計画書で2025年3月末までに上記の1.の仕組みの整備を行うことを誓約すれば、2024年度当初からキャリアパス要件Ⅲを満たすことができます。ただし、必ず2025年3月末までに当該仕組みの整備を行い、実績報告書においてその旨を報告する必要があります。

キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金要件(440万円一人以上))

キャリアパス要件Ⅳ(研修の実施等)は、以下の通りです。

キャリアパス要件Ⅳ
  1. 経験・技能のある障害福祉人材のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額(新加算等を算定し実施される賃金改善の見込額を含む。)が年額440万円以上であること(新加算等による賃金改善以前の賃金が年額440万円以上である者を除く。)。

ただし、以下の場合など、例外的に当該賃金改善が困難な場合であって、合理的な説明がある場合はこの限りではないとされています。

  • 小規模事業所等で加算額全体が少額である場合
  • 職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合 

※2024年度中は、賃金改善後の賃金の見込額が『年額440万円以上』の職員の代わりに、新加算の加算額のうち旧特定加算に相当する部分による賃金改善額が『月額平均8万円』(賃金改善実施期間における平均とする。)  以上の職員を置くことで、キャリアパス要件Ⅳを満たすことができます。

キャリアパス要件Ⅴ(配置等要件)

キャリアパス要件Ⅴ(配置等要件)は、以下の通りです。

キャリアパス要件Ⅴ
  1. 福祉専門職員配置等加算(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護にあたっては特定事業所加算)の届出を行っていること。 

 ※ 重度障害者等包括支援、施設入所支援、短期入所、就労定着支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援にあっては配置等要件に関する加算が無いため、配置等要件は不要です。 

②月額賃金改善要件とは

月額賃金改善要件は、福祉・介護職員の生活の安定・向上などを目的に設けられており、「新加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善」と「旧ベア加算相当の2/3以上の新規の月額賃金改善」の2種類があります。

以下のように、満たしている月額賃金改善要件の種類によって算定できる福祉・介護職員等処遇改善加算が変わります。

福祉・介護職員等処遇改善加算月額賃金改善要件Ⅰ(2024年度)月額賃金改善要件Ⅱ(2024年度)月額賃金改善要件Ⅰ(2025年度以降)月額賃金改善要件Ⅱ(2025年度以降)
(〇)(〇)
(〇)(〇)
(〇)(〇)
(〇)(〇)
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

※2024年度の(〇)は新加算Ⅰ~Ⅳの算定前に旧ベースアップ等加算並びに新加算Ⅴ(2)、(4)、(7)、(9)及び(13)を未算定だった場合に満たす必要がある要件。また、2025年度以降の(〇)は新加算Ⅰ〜Ⅳの算定前に新加算Ⅴ(2)、(4)、(7)、(9)及び(13)を未算定だった場合に満たす必要がある要件。

月額賃金改善要件Ⅰ(新加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善)

月額賃金改善要件Ⅰ(新加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善)は、以下の通りです。

月額賃金改善要件Ⅰ
  1. 加算額の2分の1以上を、月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる。
  2. 事業所等 が新加算ⅠからⅢまでのいずれかを算定する場合にあっては、仮に新加算 Ⅳを算定する場合に見込まれる加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てる。

※月額賃金改善要件Ⅰは2025年度から適用されます。

月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベア加算相当の2/3以上の新規の月額賃金改善)

月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベア加算相当の2/3以上の新規の月額賃金改善)は、以下の通りです。

月額賃金改善要件Ⅱ
  1. 2024年5月31日時点で旧処遇改善加算を算定しており、かつ、旧ベースアップ等加算を算定していない事業所が、2026年3月31日までの間に新規に新加算Ⅰ~Ⅳまでのいずれかを算定する場合には、 初めて新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定し、旧ベースアップ等加算相当の加算額が新たに増加する事業年度において、当該事業所が仮に旧ベー スアップ等加算を算定する場合に見込まれる加算額の『3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う。

※ただし、2024年5月以前に旧3加算を算定していなかった事業所および令和6年6月以降に開設された事業所が、新加算ⅠからⅣまでのいずれかを新規に算定する場合 には、月額賃金改善要件Ⅱの適用は受けません。

③職場環境等要件とは

職場環境等要件は、生産性向上や多様な働き方の推進といった処遇改善を目的として設けられており、2024年度と2025年度以降で取組みの内容が異なります。

また、以下のように取組みの実施状況によって、算定できる福祉・介護職員等処遇改善加算が変わります。

2024年度中の算定要件

職場環境等要件
福祉・介護職員等処遇改善加算職場環境全体で1職場環境3つの区分を選択し、それぞれ1HP掲載等を通じた見える化
Ⅴ(1)
Ⅴ(2)
Ⅴ(3)
Ⅴ(4)
Ⅴ(5)
Ⅴ(6)
Ⅴ(7)
Ⅴ(8)
Ⅴ(9)
Ⅴ(10)
Ⅴ(11)
Ⅴ(12)
Ⅴ(13)
Ⅴ(14)
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

【2025年度以降の算定要件】

職場環境等要件
福祉・介護職員等処遇改善加算区分ごとに1以上の取組(生産性向上は2以上)区分ごとに2以上の取組(生産性向上は3以上)HP掲載等を通じた見える化(取組内容の具体的記載)
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

2024年度の職場環境等要件

2024年度中の職場環境要件は、以下の職場環境等の改善に関する取組みを実施し、その内容を全ての福祉・介護職員に周知することとされています。

2024年度中の職場環境等要件

入職促進に向けた取組法人や事業所の経営理念や支援方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援働きながら介護福祉士等の取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等の導入上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指すための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備有給休暇が取得しやすい環境の整備業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮
腰痛を含む心身の健康管理福祉・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等の導入及び研修等による腰痛対策の実施短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業者のための休憩室の設置等健康管理対策の実施雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上のための業務改善の取組タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳、下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減
やりがい・働きがいの構成ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の福祉・介護職員の気づきを踏まえた勤務環境や支援内容の改善地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施利用者本位の支援方針など障害福祉や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供支援の好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

2025年度以降の職場環境等要件

2025年度以降に福祉・介護職員等処遇改善加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合は、以下の処遇改善の取組みを実施することとされています。

入職促進に向けた取組法人や事業所の経営理念や支援方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援働きながら国家資格等の取得を目指す者に対する研修受講支援や、より専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する各国家資格の生涯研修制度、サービス管理責任者研修、喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修等の業務関連専門技術研修の受講支援等研修の受講やキャリア段位制度等と人事考課との連動によるキャリアサポート制度等の導入エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指すための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけ等に取り組んでいる有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消に取り組んでいる障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮
腰痛を含む心身の健康管理業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業者のための休憩室の設置等健康管理対策の実施福祉・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援やリフト等の活用、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための業務改善の取組現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている業務支援ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入業務内容の明確化と役割分担を行い、福祉・介護職員が支援に集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施
やりがい・働きがいの構成ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の福祉・介護職員の気づきを踏まえた勤務環境や支援内容の改善地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進のため、モチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施利用者本位の支援方針など障害福祉や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供支援の好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

福祉・介護職員等処遇改善加算を算定する流れ・スケジュール

福祉・介護職員等処遇改善加算は2024年6月から算定することができます。

加算を算定するためには、期日までに計画書や体制届出(体制等状況一覧表)を都道府県知事等に提出する必要があります。

2024年6月から加算を算定するスケジュールの例
  • 2024年4月末日 処遇改善計画書の提出
  • 2024年5月15日 体制届出(体制等状況一覧表)の提出
  • 2024年6月 福祉・介護職員等処遇改善加算の算定開始
  • 2024年8月 6月分の福祉・介護職員等処遇改善加算入金
  • 2025年5月 2024年度分の加算が最終入金
  • 2025年7月末日 実績報告書の提出

旧処遇改善3加算の算定要件

福祉・介護職員処遇改善加算(旧処遇改善加算)、福祉・介護職員等特定処遇改善加算(旧特定加算)、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算(旧ベースアップ等加算)の3加算については、2024年4月から5月まで算定することができます。

ここからは、それぞれの加算の算定要件をご紹介していきます。

また、加算率については、就労継続支援A・B型・就労移行支援・就労定着支援・就労選択支援の2024年度報酬改定における単位数早見表をご用意しましたので、ぜひ無料でダウンロードの上、ご活用ください。

福祉・介護職員処遇改善加算(旧処遇改善加算)の算定要件

福祉・介護職員等処遇改善加算(新加算)の要件のうち、以下の条件に当てはまる場合、福祉・介護職員処遇改善加算(旧処遇改善加算)を算定することができます。

キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)職場環境等要件(職場環境全体で1)
福祉・介護職員処遇改善加算Ⅰ
福祉・介護職員処遇改善加算Ⅱ
福祉・介護職員処遇改善加算Ⅲどちらか1つを実施
(厚生労働省 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について 別紙1より作成)

福祉・介護職員等特定処遇改善加算(旧特定加算)の算定要件

旧処遇改善加算ⅠからⅢまでのいずれかを算定していることに加えて、福祉・介護職員等処遇改善加算(新加算)の要件のうち以下の条件に当てはまる場合、福祉・介護職員等特定処遇改善加算(旧特定加算)を算定することができます。

キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金要件 8万円又は440万円一人以上)キャリアパス要件Ⅴ(配置等要件)職場環境等要件(職場環境3つの区分を選択し、それぞれ1)職場環境等要件(HP掲載等を通じた見える化)
福祉・介護職員等特定処遇改善加算Ⅰ
福祉・介護職員等特定処遇改善加算Ⅱ

福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算(旧ベースアップ等加算)の算定要件

旧処遇改善加算ⅠからⅢまでのいずれかを算定していることに加えて、月額賃金改善要件Ⅲ(旧ベア加算額の2/3以上の新規の月額賃金改善)を行っている場合、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算(旧ベースアップ等加算)を算定することができます。

月額賃金改善要件Ⅲは以下のようになっています。

月額賃金改善要件Ⅲ
  • 旧ベースアップ等加算の加算率を乗じて算出した額の3分の2以上の基本給等の引上げを実施する。
  • ただし、2024年3月31日時点で旧ベースアップ等加算を算定している場合は、2024年4月及び5月も同様の賃金改善を継続することを誓約することで、月額賃金改善要件Ⅲ件に係る具体的な賃金改善額等の記載は不要となる。

最後に

ここまで、2024年6月から新たに適用される福祉・介護職員等処遇改善加算の算定要件や加算率、対象となるサービス種別などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

2024年度の報酬改定を踏まえて、福祉・介護職員等処遇改善加算の算定のガイドブックをご用意しましたので、ぜひ無料でダウンロードの上、ご活用いただけると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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