就労継続支援B型の障害福祉サービス等報酬改定まとめ【2024(令和6)年度】

この記事は、厚生労働省の以下の公表されている資料に基づき、就労継続支援B型事業所の2024(令和6)年度障害福祉サービス等報酬改定に関する情報をまとめています。

  • 「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」

最新の情報が公表される可能性がありますので、ご了承の上、お読みください。
(作成日:2024年(令和6年)3月27日)

目次

2024(令和6)年度障害福祉サービス等報酬改定の施行日

障害福祉サービス等報酬改定については、2024年4月1日に施行されます(就労選択支援に関する改定事項については、2025年10月1日に施行)。

ただし、新たに一本化される福祉・介護職員等処遇改善加算については2024年6月1日に施行されます。

障害福祉サービス等における横断的な改定事項

まずは、障害福祉サービス等における横断的な改定事項についてご紹介していきます。

➀経営実態等を踏まえた基本報酬の見直し

各サービスの経営の実態等を踏まえつつ、基本報酬を見直す。

➁福祉・介護職員等の処遇改善

  • 福祉・介護職員等の確保に向けて、福祉・介護職員等の処遇改善のための措置をできるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化するととに、今般新たに追加措置する処遇改善分を活用し、加算率を引き上げる。(経過措置区分として、令和6年度末まで現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、今般の改定による加算率の引き上げを行う。)
  • 就労定着支援の就労定着支援員、自立生活援助の地域生活支援員、就労選択支援の就労選択支援員を、処遇改善加算等の対象に加える。
  • 新加算においては、加算・賃金改善額の職種間配分ルールを統一する。(福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める。)
  • 月額賃金の改善に関する要件を見直し、新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金に充てることとする。
  • 令和7年度に、職場環境等要件の見直しを行う。
  • 福祉・介護職員以外の職員の処遇改善にもつながるよう、基本報酬を見直す。

③地域生活支援拠点等の機能の充実

  • 障害者の重度化・高齢化や親亡き後を見据え、緊急時の対応や施設や病院等からの地域移行の推進を担う地域生活支援拠点等について、障害者総合支援法の改正により市町村に対する努力義務を設け、その整備を推進するとともに、機能の充実を図る。
  • 平時からの情報連携を整えた通所系サービス事業所において、緊急時の受入れについて評価する。
≪緊急時受入加算【新設】≫緊急時受入加算 100単位/日地域生活支援拠点等に位置付けられ、かつ、関係機関との連携調整に従事する者を配置する通所系サービス事業所において、障害の特性に起因して生じた緊急事態等の際に、夜間に支援を行った場合に加算する。
  • 地域生活支援拠点等に係る既存の加算について、関係機関との連携調整に従事する者を配置することを要件に加える。
≪緊急時対応加算の見直し≫(居宅介護の例)[現行]地域生活支援拠点等に位置付けられている場合に、更に1回につき50単位を加算する。
[見直し後]地域生活支援拠点等に位置付けられ、かつ、関係機関との連携調整に従事する者を配置している場合に、更に1回につき50単位を加算する。

④状態が悪化した強度行動障害を有する児者への集中的支援

状態が悪化した強度行動障害を有する児者に対し、高度な専門性により地域を支援する広域的支援人材が、事業所等を集中的に訪問等(情報通信機器を用いた地域外からの指導助言も含む)し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理をともに行い、環境調整を進めることを評価する加算を創設する。

≪集中的支援加算【新設】≫イ 集中的支援加算 1,000単位/回強度行動障害を有する児者の状態が悪化した場合に、広域的支援人材が指定障害者支援施設、共同生活援助事業所等を訪問し、集中的な支援を行った場合、3月以内の期間に限り1月に4回を限度として所定単位数を加算する。

⑤視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充

視覚、聴覚、言語機能に重度の障害がある利用者を多く受け入れている事業所において、様々なコミュニケーション手段を持つ利用者との交流にも配慮しつつ、より手厚い支援体制をとっている事業所を更に評価する。

[現行]視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 41単位/日視覚又は聴覚若しくは言語機能に重度の障害のある者が利用者数の100分の30以上であって、視覚障害者等との意思疎通に関し専門性を有する職員を利用者の数を50で除した数以上配置していること。
[見直し後]イ 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ) 51単位/日視覚又は聴覚若しくは言語機能に重度の障害のある者が利用者数の100分の50以上であって、視覚障害者等との意思疎通に関し専門性を有する職員を利用者の数を40で除した数以上配置していること。
ロ 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅱ) 41単位/日視覚又は聴覚若しくは言語機能に重度の障害のある者が利用者数の100分の30以上であって、視覚障害者等との意思疎通に関し専門性を有する職員を利用者の数を50で除した数以上配置していること。

⑥意思決定支援の推進

  • 相談支援及び障害福祉サービス事業等の指定基準において、「事業者は、利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、利用者の意思決定の支援に配慮するよう努めなければならない」旨明記するとともに、障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドラインの内容を相談支援及び障害福祉サービス事業等の指定基準や解釈通知に反映させる。
  • 相談支援及び障害福祉サービス事業等の指定基準において、サービス担当者会議及び個別支援会議について、本人の心身の状況等によりやむを得ない場合を除き障害者本人の参加を原則とし、会議において本人の意向等を確認することとする。

⑦本人の意向を踏まえたサービス提供(同性介助)

各障害福祉サービス事業等の指定基準の解釈通知において、「本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき」旨明記する。

⑧障害者虐待防止の推進

  • 令和4年度から義務化された障害者虐待防止措置を未実施の障害福祉サービス事業所等に対して、基本報酬を減算する。
  • 指定基準の解釈通知において、
    • 虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む。)において、外部の第三者や専門家の活用に努めることや、
    • 障害福祉サービス事業所等の管理者及び虐待防止責任者が、都道府県の実施する虐待防止研修を受講することが望ましいこと

を明示する。

≪虐待防止措置未実施減算【新設】≫次の基準を満たしていない場合に、所定単位数の1%を減算する。①虐待防止委員会を定期的に開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底を図ること②従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること③上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

⑨身体拘束等の適正化の推進

訪問・通所系サービスについて、減算額を見直す。

≪身体拘束廃止未実施減算の見直し≫[現行]基準を満たしていない場合に、1日につき5単位を所定単位数から減算する。
[見直し後](障害者支援施設が行う就労継続支援B型の場合)基準を満たしていない場合に、所定単位数の10%を減算する。(障害者支援施設以外が行う就労継続支援B型の場合)基準を満たしていない場合に、所定単位数の1%を減算する。

⑩個別支援計画の共有

指定基準において、各サービスの個別支援計画について、指定特定(障害児)相談支援事業所にも交付しなければならないこととする。

⑪高次脳機能障害を有する者に対する報酬上の評価

高次脳機能障害を有する利用者が一定数以上であって、専門性を有する職員が配置されている事業所等を評価する。

≪高次脳機能障害者支援体制加算【新設】≫ 41単位/日高次脳機能障害を有する利用者が全体の利用者数の100分の30以上であって、高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を事業所に50:1以上配置した上で、その旨を公表している場合に加算する。

⑫人員基準における両立支援への配慮等

障害福祉の現場において、治療と仕事の両立を進め、職員の定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定における「常勤」要件及び「常勤換算」要件について、以下の見直しを行う。

  • 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
  • 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

⑬障害福祉現場の業務効率化等を図るためのICTの活用等

  • 管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者は、その責務を果たせる場合であって、事故発生時等の緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できる場合にあっては、同一敷地内等に限らず、同一の事業者によって設置される他の事業所等(介護サービス事業所等の他分野のサービス事業所を含む。)の管理者又は従業者と兼務できることとする。
  • 管理者について、介護分野における取扱いに準じ、以下のような措置を講じた上で、管理上支障が生じない範囲内において、テレワークにより管理業務を行うことが可能であることを示す。
    • 利用者及び従業者と管理者の間で適切に連絡が取れる体制を確保していること。
    • 事故発生時、利用者の状態の急変時、災害の発生時等、緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定めておくとともに、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できるようにしていること。

また、人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている管理者以外の職種又は業務のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、具体的な考え方を示す。

  • 障害福祉サービス等事業者が障害者総合支援法等の規定に基づいて地方公共団体に対して提出する指定申請関連文書、報酬請求関連文書等について、令和5年度中に標準様式及び標準添付書類を作成する。

⑭業務継続に向けた感染症や災害への対応力の取組の強化

感染症や災害が発生した場合であっても、必要な障害福祉サービス等を継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症又は非常災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する。その際、一定程度の取組を行っている事業所に対し経過措置を設けることとする。

≪業務継続計画未策定減算【新設】≫以下の基準に適応していない場合、所定単位数の1%を減算する。感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること※令和7年3月31日までの間、「感染症の予防及びまん延防止のための指 針の整備」及び「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合には、減算を適用しない。

⑮情報公表未報告の事業所への対応

  • 利用者への情報公表、災害発生時の迅速な情報共有、財務状況の見える化の推進を図る観点から、障害福祉サービス等情報公表システム上、未報告となっている事業所に対する「情報公表未報告減算」を新設する。
  • また、施行規則において、都道府県知事は指定障害福祉サービス事業者等の指定の更新に係る申請があった際に、情報公表に係る報告がされていることを確認することとする。
≪情報公表未報告減算【新設】≫障害者総合支援法第76条の3の規定に基づく情報公表に係る報告がされていない場合、所定単位数の5%を減算する。
≪都道府県等による確認【新設】≫都道府県知事等は、指定障害福祉サービス事業者等の指定の更新に係る申請があったときは、当該申請に係る事業者から障害者総合支援法第76条の3の規定に基づく情報公表に係る報告がされていることを確認するものとする。

⑯地域区分の見直し

地域区分について、令和3年度報酬改定と同様に、類似制度である介護報酬における地域区分との均衡を考慮し、原則、公務員の地域手当の設定に準拠している介護報酬の地域区分の考え方に合わせることとする。

また、平成30年度報酬改定の際に設けられた経過措置(平成30年以前の見直し前の上乗せ割合から見直し後の最終的な上乗せ割合の範囲において設定可能とするもの)を適用している自治体において、当該自治体の意向により、当該経過措置を令和9年3月31日まで延長することを認める。

さらに、平成30年度報酬改定時以降に、介護報酬と同じ区分に変更した自治体について、当該自治体の意向により、現行の区分と従前の区分の範囲内で設定することを認める(令和8年度末までの適用)。

⑰食事提供体制加算の経過措置の取扱い

令和6年3月31日までの経過措置とされていた食事提供体制加算については、食事提供時における栄養面での配慮を評価する観点から、一定の要件を満たす場合に評価することとし、令和9年3月31日まで経過措置を延長する。

≪食事提供体制加算の見直し≫ 30単位/日[現行]収入が一定額以下(生活保護受給世帯、市町村民税非課税世帯、所得割16万円未満)の利用者に対して、事業所が原則として当該施設内の調理室を使用して、食事の提供を行った場合に所定単位数を加算する。
[見直し後]収入が一定額以下(生活保護受給世帯、市町村民税非課税世帯、所得割16万円未満)の利用者に対して、事業所が原則として当該施設内の調理室を使用して、次の1から3までのいずれにも適合する食事の提供を行った場合に所定単位数を加算する。管理栄養士又は栄養士が献立作成に関わること(外部委託可)又は、栄養ケア・ステーション若しくは保健所等の管理栄養士又は栄養士が栄養面について確認した献立であること利用者ごとの摂食量を記録していること利用者ごとの体重やBMIを概ね6月に1回記録していること

⑱施設入所者の送迎加算の取扱い

施設入所者が希望する日中活動の提供を促進するため、障害者支援施設と隣接してない就労継続支援B型事業所への送迎については、施設入所者についても送迎加算を算定可能とする。

≪送迎加算の対象拡充≫[現行]指定生活介護事業所等において、利用者(施設入所者を除く。)に対して、その居宅等と指定生活介護事業所等との間の送迎を行った場合に、片道につき所定単位数を加算する。
[見直し後]指定生活介護事業所等において、利用者(指定障害者支援施設と同一敷地内又は隣接する指定生活介護事業所等を利用する施設入所者を除く。)に対して、その居宅等と指定生活介護事業所等との間の送迎を行った場合に、片道につき所定単位数を加算する。

就労継続支援B型における改定事項

就労継続支援B型における改定事項は2つあります。

①就労継続支援B型の平均工賃の水準に応じた報酬体系の見直し

  • 工賃の更なる向上のため、平均工賃月額に応じた報酬体系について、平均工賃月額が高い区分の基本報酬の単価を引上げ、低い区分の基本報酬の単価を引下げる。
  • 「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系について、収支差率を踏まえて基本報酬を見直し、短時間の利用者が多い場合の減算を設ける。
  • 多様な利用者への対応を行う事業所について、さらなる手厚い人員配置ができるよう、新たに人員配置6:1の報酬体系を創設する。
  • 6:1の基本報酬の創設に伴い、目標工賃達成指導員配置加算の要件を見直すとともに、目標工賃達成指導員配置加算を算定している事業所が、工賃向上計画に基づき、工賃を実際に向上させた場合に加算で評価する。
≪短時間利用減算【新設】≫(「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系) 所定の単位数の70/100算定
算定利用時間が4時間未満の利用者が全体の5割以上である場合には、基本報酬を減算する。ただし、個別支援計画で一般就労等に向けた利用時間延長のための支援が位置付けられ、実際に支援を実施した場合、又は短時間利用となるやむを得ない理由がある場合は利用者数の割合の算定から除外する。
≪目標工賃達成指導員配置加算の見直し≫(「平均工賃月額」に応じた報酬体系)[現行]目標工賃達成指導員配置加算目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1人以上配置し、手厚い人員体制(職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で7.5:1以上、かつ当該目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上)をもって、目標工賃の達成に向けた取り組みを行う場合に加算する。
利用定員           報酬単価20人以下           89単位21人以上40人以下    80単位41人以上60人以下    75単位61人以上80人以下    74単位81人以上           72単位
[見直し後]目標工賃達成指導員配置加算目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1人以上配置し、手厚い人員体制(職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上、かつ当該目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で5:1以上)をもって、目標工賃の達成に向けた取り組みを行う場合に加算する。
利用定員                   報酬単価20人以下                   45単位21人以上40人以下    40単位41人以上60人以下    38単位61人以上80人以下    37単位 81人以上      36単位
≪目標工賃達成加算【新設】≫(「平均工賃月額」に応じた報酬体系) 10単位/日目標工賃達成指導員配置加算の対象となる指定就労継続支援B型事業所等が各都道府県において作成される工賃向上計画に基づき、自らも工賃向上計画を作成するとともに、当該計画に掲げた工賃目標を達成した場合に加算する。

②就労継続支援B型の平均工賃月額の算定方法の見直し 

事業所の中には、障害特性等により利用日数が少ない方を多く受け入れる場合があることを踏まえ、通知を改正し、基本報酬を算定する際の平均工賃月額の算定方法について、平均利用者数を用いた新しい算定式を導入する。

≪基本報酬の算定に用いる平均工賃月額の算定方法の見直し≫[現行]①前年度の平均工賃月額の算定方法は以下のとおり。ア 前年度における各月の工賃支払対象者の総数を算出イ 前年度に支払った工賃総額を算出ウ 工賃総額(イ)÷工賃支払対象者の総数(ウ)により1人当たり平均工賃月額を算出※ただし、障害基礎年金1級受給者が半数以上いる場合は、算出した平均工賃月額に2千円を加えた額を報酬算定時の平均工賃月額とする。②平均工賃月額の算出は、原則、①の方法によるが、平均工賃月額の算出から以下の場合は、当該月の工賃支払対象者から除外するとともに、当該月に当該利用者に支払った工賃は工賃総額から除外して算出する。月の途中において、利用開始又は終了した利用者月の途中において、入院又は退院した利用者月の途中において、全治1か月以上の怪我やインフルエンザなどの流行性疾患により連続1週間以上の長期に渡って利用できなくなった利用者(利用できなくなった月から利用可能となった月まで除外)③また、以下の場合は、事業所の努力によっても利用者の利用日数を増やすことが困難であるため、工賃支払対象者・工賃総額から除外して算出する。複数の日中活動に係る障害福祉サービスの利用者人工透析など、通年かつ毎週1回以上引き続き通院する必要がある利用者
[見直し後]前年度の平均工賃月額の算定方法は以下のとおり。ア 前年度における工賃支払総額を算出イ 前年度における開所日1日当たりの平均利用者数を算出  前年度の延べ利用者数÷前年度の年間開所日数ウ 前年度における工賃支払総額(ア)÷前年度における開所日1日当たりの平均利用者数(イ)÷12月により、1人当たり平均工賃月額を算出※現行の②・③の算定方法は廃止する。

就労系障害福祉サービスにおける横断的な改定事項

最後に、就労系障害福祉サービスにおける横断的な改定事項をご紹介します。

①就労系障害福祉サービスを一時的に利用する際の評価

一般就労中の障害者が就労継続支援を一時的に利用する際の評価について、就労継続支援A型の基本報酬を算定する際のスコア評価項目における平均労働時間の計算や、就労継続支援B型の基本報酬を算定する際の平均工賃月額の計算から、当該障害者の労働時間と工賃を除くこととする。

②休職期間中に就労系障害福祉サービス等を利用する際の対応

一般就労中の障害者が休職期間中に就労系障害福祉サービスを利用する際、当該休職者を雇用する企業や医療機関等による復職支援の実施が見込めない場合等の現行の利用条件や、一般就労中の障害者が休職期間中に復職支援として生活介護や自立訓練を利用する際の条件について、改めて事務連絡で周知するとともに、支給申請の際に、当該障害者の雇用先企業や主治医の意見書等の提出を求めることとする。

③就労系障害福祉サービスにおける施設外就労に関する実績報告書の提出義務の廃止等の見直し

地方公共団体の事務負担軽減のため、通知を改正し、報酬請求に当たっては、施設外就労に関する実績について、事業所から毎月の提出は不要とする。ただし、事業所には、施設外就労の実績記録書類を作成・保存することを義務付けるとともに、地方公共団体は、利用者の訓練状況等の実態把握が必要な場合には当該書類を確認することとする。

④施設外支援に関する事務処理の簡素化

施設外支援について、通知を改正し、1ヶ月ごとに個別支援計画について見直しが行われている場合に、報酬を算定することとする。

≪施設外支援の要件の見直し≫[現行]施設外支援については、施設外支援の内容が、事前に個別支援計画に位置付けられ、1週間ごとに当該個別支援計画の内容について必要な見直しが行われているとともに、当該支援により、就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行が認められる場合に、報酬を算定する。
[見直し後]施設外支援については、施設外支援の内容が、事前に個別支援計画に位置付けられ、1ヶ月ごとに当該個別支援計画の内容について必要な見直しが行われているとともに、当該支援により、就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行が認められる場合に、報酬を算定する。

最後に

本記事は、作成時点の最新資料(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要)を基に作成しています。

今後の詳細につきましては、厚生労働省から公開されます最新情報をご確認いただきますようにお願いいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

デイゴー求人ナビ・就労支援ナビ編集部は、障害や難病のある人が働く上で役立つ情報や、就労移行支援、就労継続支援A型・B型における事業所運営のノウハウを発信しています。就労移行支援事業所の管理者経験者も在籍し、有識者にもご協力いただいています。

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