就労定着支援の利用期間は最大3年間!延長はできるの?

障害や病気があり働くことが難しい方や、休職をしている人の中には、「就職しても働き続けられるか不安」や「就労定着支援はどのくらいの期間利用できるの?」といった疑問や悩みを持っている人もいるかもしれません。

この記事では、就労定着支援サービスの利用期間や支援内容、就労定着支援が併設された就労移行支援事業所などをご紹介していきます。

この記事の監修者

メンタルエイド代表。サービス管理責任者、社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

目次

就労定着支援ってどんなサービス?

就労定着支援とは、就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練の利用を経て一般企業等へ就職した障害のある人が、就職して6ヶ月が経過後、長期的・安定的に継続して働き続けられるよう、最大3年間にわたってサポートを受けることができるサービスです。

障がいのある人が職場で直面するであろうさまざまな課題の解決を支援し、安定した就労の実現を目的としています。

就労定着支援の利用期間はどのくらい?

就労定着支援を受けられる期間は、最大3年間と定められています。就労定着支援を利用しなかった場合または利用を途中で辞めた場合でも、後日改めて就労移行支援の利用を希望すれば、3年6ヶ月から雇用が継続している期間を除いた期間だけ利用することができます。

例えば、雇用継続期間が1年3ヶ月の人が就労定着支援の利用を希望した場合、残り2年3ヶ月の間は定着支援を利用することができます。

混同されがちな障害福祉サービスとして「就労移行支援中の定着支援」が挙げられますが、これはこの記事で解説している就労定着支援とは別の障害福祉サービスです。

グラフ, じょうごグラフ

自動的に生成された説明

図のように、就労移行支援を利用して就職した場合、6ヶ月間の定着支援が義務付けられています。この定着支援は、就労移行支援の中に含まれている障害福祉サービスです。

就労移行支援中の定着支援が終了した後は、引き続き就労の長期的な定着を目指して「就労定着支援」という別の障害福祉サービスに移行するイメージです。

就労定着支援の利用期間は延長できるの?終了後のサポートは?

就労定着支援の最大利用期間は利用開始から3年間ですが、利用期間を超えても引き続き支援が必要であると就労定着支援事業所が判断した場合、就労定着支援事業所による支援は3年を超えても継続できます。ただし、市区町村によっては利用期間が3年を超えたときの受給者証の更新の判断が分かれる場合があります。

また、利用を終了する場合は、必要に応じて障害者就業・生活支援センター※などの関係機関での支援を受けましょう。※障害者就業・生活支援センターでは、引き続き就労定着に向けた支援や健康管理・金銭管理のアドバイス、関係機関との調整といったサポートが受けられます。

就労定着支援は月に何回利用できるの?

就労定着支援の1月当たりの利用回数は、明確には定められていませんが、就労定着支援を提供する側は「月に1回以上の対面相当の支援を行う」と定められています。

ご自身の状態や障害、事業所によっても違いはありますが、特に就職後すぐの時期など働く中で不安がある人は、週に何度も相談をする場合もあります。

(参考: 就労定着支援に係る報酬・基準について≪論点等≫p2

就労定着支援の利用期間中にはどんな支援を受けられるの?

就労定着支援では、利用者が職場で抱える課題・悩みの相談やサポート、企業と利用者との橋渡しなど、様々な支援を受けることができます。

また、就労に対するモチベーションの維持・向上の手助けや、なんらかの変調に対するフォローなどメンタル面でのケアもしてくれます。

就労定着支援の支援内容の例
  • 就職によって変化した生活リズムに対応するための個別面談
  • 金銭管理のアドバイス
  • 障害特性の説明等企業と利用者の橋渡し
  • 関係機関との連携

就労定着支援の利用期間が終了したあとに頼れる支援機関

就労定着支援の利用期間が終了した後でも、頼れる機関はたくさんあります。

例えば、「なかぽつ」の愛称で知られる障害者就業・生活支援センターも頼りになる機関です。障害者就業・生活支援センターは国や都道府県から委託を受けた法人の手で運営されており、職場でのトラブルの相談や日常における自己管理など長期的な就労に必要な様々な支援を提供しています。

また、「独立行政法人 高齢・障害求職者雇用支援機構(JEED)」は全国に地域障害者職業センターを展開し、ジョブコーチの派遣等を通じて障害のある人の就労定着をサポートしています。

このように、就労定着支援の期間が終わっても頼りになる機関はたくさんあることを覚えておけば、焦りや不安も軽減できますね。

就労定着支援が併設された就労移行支援事業所の例

就労移行支援事業所の中には、就労定着支援が併設されているところもあります。こうした事業所を利用すれば、就労移行支援から定着支援への移行がスムーズだったり、就労定着支援を始めるに当たって必要な情報が早いうちから把握できたりと、メリットも多いです。また、一定の関係性がある見知ったスタッフが支援をしてくれる安心感もあるでしょう。

ここではそんな事業所の中から、就労定着支援が併設されている事業所を3ヶ所ピックアップして紹介します。

カレント

カレントは東京メトロ丸ノ内線新宿御苑前駅から徒歩3分の場所にある、アットホームな雰囲気が特徴の事業所です。アクアリウムが設置されていたり少人数制であったりと落ち着いた環境が特徴で、最寄り駅から徒歩でも通える場所にあります。

「感情コントロール講座」や「対人行動講座」などの、事業所オリジナルの講座も充実しています。

  • PCの無料貸出あり
  • 交通費支給あり
  • 自己管理能力が身につけられる
デイゴー求人ナビ・就労支援ナビ
自己理解は最大の武器!!ひとりひとりのベストな働き方を実現・職場定着率100%!!(2017~2023年度)・水草ア... カレントは東京都 新宿区の就労移行支援事業所です。雰囲気やサポート内容を確認してから、気になる事業所には無料でお問い合わせが可能です。就労移行支援の検索ならデイ...

就労移行支援事業所ライラ梅田センター

就労移行支援事業所ライラ梅田センターは、西梅田駅より徒歩3分、梅田駅より徒歩5分、大阪駅より徒歩5分の在宅ワークの訓練にも対応している事業所です。事業所への通所による訓練だけでなく、バーチャルオフィスを使っての在宅ワーク訓練にも対応しているので就労先選びの幅を広げやすいです。

また、交通費の支給や昼食の提供なども行っています。

  • 交通費支給あり
  • 昼食支給あり
  • 在宅ワーク訓練対応
デイゴー求人ナビ・就労支援ナビ
発達障害に特化した多種多様な働き方を応援する就労移行支援事業所 就労移行支援事業所ライラ梅田センターは大阪府 大阪市北区の就労移行支援事業所です。雰囲気やサポート内容を確認してから、気になる事業所には無料でお問い合わせが可能...

就労移行支援事業所リバーサル浦安

就労移行支援事業所リバーサル浦安は、検定の受験料を全額補助してくれる事業所です。就労に役立つ検定の受験料を補助してくれるため金銭的な心配が少なく、就労に向けてしっかり向き合えます。

東京メトロ東西線「浦安駅」から徒歩1分というアクセスの良さも高ポイントです。

  • 障害者手帳を持っていなくても利用できる
  • 昼食支給あり
  • 検定受験料を全額補助
デイゴー求人ナビ・就労支援ナビ
【浦安駅から徒歩1分】職場定着率100%!専門スタッフによる個別支援ならリバーサル 就労移行支援事業所リバーサル浦安は千葉県 浦安市の就労移行支援事業所です。雰囲気やサポート内容を確認してから、気になる事業所には無料でお問い合わせが可能です。就...

就労定着支援が併設された就労移行支援事業所の選び方

就労定着支援が併設されている就労移行支援事業所を探すには、主に以下のような手段が挙げられます。

  • 相談支援事業所に相談する
  • 事業所検索サイトを活用する
  • 厚生労働省の検索ページを利用する
  • 自治体に問い合わせる

また、就労定着支援が併設されていても必ずしも自分にあった事業所とは限りません。障害の特徴や程度、就労に関わる不安などが十人十色である以上、自分にあった事業所を慎重に選ぶ必要があります。

ここでは就労定着支援が併設されている就労移行支援事業所を選ぶポイントとして、以下の4点を解説します。

①:就職後の定着率で選ぶ

就労移行支援事業所選びで見逃せないのが、定着支援の実績である就職後の定着率です。事業所を利用して就職した人が就職後も働き続けている割合をチェックすれば、事業所が定着支援に関してどの程度の知見やスキルを持っているのかが判断できます。

②:職場との連携体制で選ぶ

職場との緊密な連携体制が構築されているかどうかも見逃せない点です。障害のある人の雇用に積極的な企業であっても、障害のある人の雇用事情に精通しているとは限りません。

事業所が企業と緊密に連携をとっていれば長期的な雇用がしやすくなり、結果的に利用者にとっても長く働きやすい環境が整います。

ですから、「企業担当者との連絡調整をしてくれるか」「利用者を含めた面談などに対応しているか」といった点をチェックしましょう。

③:通いやすさで選ぶ

無理なく通える事業所かどうかも大切なポイントです。心身のバランスが良好に保たれていなければ、就労定着は難しいと言わざるを得ません。特にメンタル面で無理をした場合、たとえ身体的には健康でも職場復帰が難しい場合が多いです。

無理をして遠くの事業所に通ったりサービスが不十分な事業所を利用したりすると、こうしたメンタル面での不調をきたしやすくなります。

距離や費用、サービス内容などを総合的に判断して、自分にとって通いやすい事業所はどんなところかを考えましょう。

④:事業所やスタッフの雰囲気で選ぶ

事業所やスタッフの雰囲気は、楽しく支援を受けるうえで欠かせない要素です。アットホームな事業所や個室ブースのある事業所など、雰囲気は事業所によって異なります。長く通所を続けるうえでは、こうした雰囲気が自分にあっているかどうかがカギになります。

ホームページなどでも雰囲気を解説している事業所も多いですが、利用は実際に見学をしたうえで検討してください。

文字や画像の情報だけでは、事業所の雰囲気を十分に理解するのは難しいです。「百聞は一見に如かず」の言葉通り、ぜひ見学をしたうえで事業所を選びましょう。

就労定着支援に関するよくある質問

就労定着支援を利用できる人の条件は?

就労定着支援を利用できるのは、就労移行支援や就労継続支援、自立訓練や生活介護などの障害福祉サービスを利用したうえで一般就労し、就労後6ヶ月が経過した人です。就職に伴う環境の変化によって、日常生活や社会生活を送るうえで問題や課題が発生している障害のある人が対象で、令和4年12月の時点では約15,200人が利用しています。

※特別支援学校を卒業して就労移行支援等を使わずにすぐに就職した場合や、就労移行支援等の障害福祉サービスを利用せずに単独でハローワーク経由で就職をした人は、就労定着支援の対象外となります。

就労定着支援の利用料金は?

就労定着支援の利用料金は、1ヶ月あたり『1,050円~4,500円』ほどになります。事業所ごとに1ヶ月あたりの利用料は異なるので、利用する事業所に問い合わせましょう。

また就労開始後2年目以降は前年度の所得が計算されるため、初年度は利用料がかからなかったとしても2年目以降は利用料が発生する場合があります。

最後に

ここまで、就労定着支援サービスの利用期間や支援内容、就労定着支援が併設された就労移行支援事業所などをご紹介してきましたが、いかがでしたか。

就労定着支援は一般就労後6ヶ月を経過した人が受けられるサービスで、職場での悩みやトラブルの相談、日常生活の管理に関するアドバイスなど様々な支援を受けることができます。障害のある人にとって心強いサービスですが、ご自身にあった事業所を選ぶためにも、まずは2〜3ヶ所の事業所を見学してみてください。

デイゴー就労支援ナビでは、エリアや路線、就職後の定着率、対象の障害など細かな条件から事業所を比較検討することができるので、ご活用いただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

就労継続支援B型事業所で職業指導員として勤務経験がある。そのほか、宿泊施設や工場、Webライターなどの仕事に従事。現在はフリーランスのWebライターとして活動中。

目次