就労移行支援はオンラインで利用できる?完全在宅で訓練を受けられる事業所も!

障害や病気があり働くことが難しい方や、休職している方の中には、「在宅やオンラインで就労移行支援を受けることができるの?」や「完全在宅で訓練を受けることができる就労移行支援事業所はあるの?」といった疑問を持っている方もいるかもしれません。

この記事では、在宅・オンラインで訓練を受けることができる事業所をご紹介するほか、対象者や要件、訓練内容について解説していきます。

目次

就労移行支援事業所は在宅・オンラインでも利用できるの?

就労移行支援事業所は、一般企業で働くことを希望する障害や難病のある人が、訓練や実習等を通して、適性に合った職場への就労や定着を目指すサービスです。

事業所によって条件は異なりますが、在宅・オンラインで支援を受けたり、訓練を受けたりすることができる場合もあります。

2020年には、在宅での支援等を実施している就労移行支援事業所は、全体の『29.4%』にのぼりました。

また、在宅での支援を実施した事業所のうち、新型コロナウイルスの感染が拡大する前から実施している事業所は『約2割』で、新型コロナウイルスの影響で在宅やオンラインで訓練を受けることができる就労移行支援事業所が増えていることが分かります。

(参考:令和2年度障害者総合福祉推進事業「障害者の多様な働き方と支援の実態に関する調査研究(令和3年3月 PwC コンサルティング合同会社)」)

就労移行支援事業所を在宅・オンラインで利用できる対象者は?

厚生労働省によると、以下の6つの条件を満たす場合、在宅・オンラインで就労移行支援サービスを受けることができます。

在宅・オンラインで就労移行支援を受けることができる対象者
  • 一般就労を希望している人
  • 障害・難病がある人
  • 65歳未満の人
  • 適性に合った職場への就労等が見込まれる人
  • 在宅でのサービス利用を希望している人
  • 在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した人

(参考:厚生労働省「就労移行支援に係る報酬・基準について」、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」)  

障害者の多様な働き方と支援の実態に関する調査研究」によると、精神障害や発達障害の特性により混雑した場所・交通機関の利用に困難がある人や、大人数を前にしての発言や活動が苦手な人が、在宅でサービスを利用することによって、無理なく訓練を続けられているようです。

就労移行支援事業所を在宅・オンラインで利用する要件は?

また、在宅・オンラインでのサービスを提供できる事業所の要件は以下のように決められていますから、在宅・オンラインでのサービスを実施している事業所を選ぶ際にはこうした要件が守られているかどうか確認しておきましょう。

就労移行支援事業所が在宅でサービスを実施する要件
  1. 運営規程において、在宅で実施する訓練及び支援内容を明記すること。
  2. 指定権者から求められた場合には訓練・支援状況を提出できるようにしておくこと。
  3. 在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューを確保すること。
  4. 利用者に対し1日2回は連絡・助言又は進捗状況の確認を行い、日報を作成すること。また、訓練等の内容及び利用者の希望等に応じ、1日2回を超えた対応も行えること。
  5. 緊急時の対応ができること。
  6. 在宅利用者からの疑義照会等に対し、随時、訪問や連絡等による必要な支援が提供できる体制を確保すること。
  7. 事業所職員の訪問又は利用者の通所又は電話・パソコン等のICT機器の活用により評価等を1週間につき1回は行うこと。 
  8. 原則として月の利用日数のうち1日は事業所職員による訪問又は利用者による通所により、事業所内において訓練目標の達成度の評価等を行うこと。
  9. 7.が通所により行われ、あわせて8.の評価等も行われた場合、8.による通所に置き換えて差し支えない。

(参考:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」)  

完全在宅で訓練できる就労移行支援事業所もあるの?

数は多くないですが、在宅勤務(テレワーク)での就職を目指す人などに向けて、完全在宅での訓練・支援を受けることができる就労移行支援事業所もあります。完全在宅の場合でも月1回は通所して面談が必須のところも多いですが、面談も家庭訪問で、一度も通所せずにすむ場合もあります。

一方で、週5で就労移行支援事業所に通所できていることが就職活動でのアピールポイントにもなることから、まずは在宅での訓練から始めて、最終的には週5での通所を目指す事業所もあります。

就労移行支援事業所の在宅・オンラインでの訓練内容

在宅で実施する就労移行支援の訓練内容は、「生活習慣」や「自己理解」、「コミュニケーション」を行っているところが多いです。

また、在宅勤務での就職を目指す場合、ビジネスマナーだけでなく、オンライン会議やチャットツールの使い方など、リモートで働くためのITリテラシーやコミュニケーション方法を学ぶ事業所もあります。

(令和2年度障害者総合福祉推進事業「障害者の多様な働き方と支援の実態に関する調査研究(令和3年3月 PwC コンサルティング合同会社)より作成)

また、こうした講習・演習のほかに、就職活動の支援も在宅で受けることができます。「自己分析や自己PR作成支援」や「履歴書の書き方と面接練習」を行っている事業所が多いですが、中には「企業見学、実習」もオンラインで支援している事業所もあるようです。

(令和2年度障害者総合福祉推進事業「障害者の多様な働き方と支援の実態に関する調査研究(令和3年3月 PwC コンサルティング合同会社)より作成)

在宅・オンラインで訓練を受けられる就労移行支援事業所の一覧

ここからは、在宅・オンラインで訓練を受けることができる就労移行支援事業所をご紹介していきます。

ここでは一例として東京都や神奈川県、宮城県の就労移行支援事業所を挙げていますが、デイゴー就労支援ナビではお住まいの市区町村や駅から、就労移行支援事業所を探すことができます。

テレワーカーズ柏 千葉県

テレワーカーズ柏のポイント
  • 完全在宅利用(テレワーク)での訓練支援
  • 在宅勤務(テレワーク)での就職を目指すことに特化
  • 訓練用PCは無料で貸与

ディーキャリア 海老名オフィス 神奈川県

ディーキャリア 海老名オフィスのポイント
  • 就職後半年の職場定着率は100%(2022年度実績)
  • zoomでの遠隔訓練あり
  • 発達障害の特性に応じたコンテンツあり

ディーキャリアITエキスパート 中野オフィス 東京都

ディーキャリアITエキスパート 中野オフィスのポイント
  • プログラミング、Excel、ソフトウェア基礎、ヘルプデスクスキル等を学べる
  • 就職後半年の職場定着率は100%(2022年度実績)
  • zoomでの遠隔訓練あり

manabyCREATORS大河原 宮城県

manabyCREATORS大河原のポイント
  • 在宅ではチャットや通話でいつでもスタッフに質問可能
  • 事務・デザイン・プログラミングなど1,500以上の動画でITスキルが学べる
  • 未経験から事務職を目指せる

manaby駒込駅前事業所 東京都

manaby駒込駅前事業所のポイント
  • 平均利用期間は10ヶ月
  • 在宅訓練・在宅就労の実績多数
  • 独自開発した40種類以上の動画コンテンツ

就労移行支援事業所のおすすめな選び方

就労移行支援事業所を選ぶ際には、在宅・オンラインで訓練を受けることができるかどうか以外にも、以下のような様々な比較のポイントがあります。

在宅勤務での就職を目指したい人の場合は、在宅で働くイメージがわくため、在宅に特化した企業実習先をどのくらい持っているかは大切なポイントになるでしょう。一方、在宅での訓練に慣れたあとは週5での通所を目指したい人の場合は、交通費や交通費の補助や利用者・スタッフの雰囲気なども比較のポイントになってきます。

就労移行支援事業所の比較のポイント
  • 就職後の職場定着率
  • 利用者の一般企業等への就職割合
  • 平均利用期間
  • 在宅勤務ができる職種への就職実績
  • プログラム・訓練の内容(ITに特化しているところも)
  • プログラム・訓練のレベル感
  • 交通費や昼食費の補助
  • パソコンの貸与
  • 利用者やスタッフの雰囲気

これらのポイントの中で「絶対にこれは外せない」という条件をご自身の中で優先順位をつけた上で、気になる事業所へ実際に見学・体験に行き、本当に条件が満たされているかどうか確かめてみてください。

中には、見学・体験の前にオンラインで面談を行ってくれる事業所もあります。

最後に

ここまで、在宅・オンラインで訓練を受けることができる事業所をご紹介したほか、対象者や要件、訓練内容について解説してきましたが、いかがでしたか。

在宅・オンラインで訓練を受けることができる事業所の中にも、在宅訓練に特化しているところや、基本的には通所することを推奨しているところなど、様々です。

ご自身にあった事業所を選ぶためにも、事前の面談や見学を通して、在宅訓練への温度感やテレワークができる職種への就職実績などをぜひ確認してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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