就労移行支援の利用を検討している人の中には、「就労移行支援では職場実習に参加できるの?」や「実習に参加するとどんなメリットがあるの?」といった疑問を持っている人もいるかもしれません。
この記事では、就労移行支援事業所の職場実習・企業実習の目的とメリット、参加の流れをご紹介していきます。
就労移行支援における企業実習・職場実習の目的
就労移行支援事業所の企業実習・職場実習は一般企業で実際の業務を行う就業体験です。必要に応じて実習中に就労移行事業所のスタッフのサポートを受けられるため、利用者は安心して実習に取り組むことができます。
企業実習・職場実習では、一般企業で働く体験を通して就労移行支援事業所で習得した知識、経験を実践の場で試すことができるだけではなく、実習で得た体験を通じて利用者が自分の新たな課題を発見することも目的の一つです。
また、数日間の職場実習を通して適性があれば雇用されるという、就職活動における選考過程の一部である場合もあります。
就労移行支援の企業実習・職場実習に参加するメリット
就労移行支援事業所の企業実習・職場実習に参加するメリットは、以下のように利用者が就労移行支援事業所のサポートを受けながら実習を進められることです。
- 事前打ち合わせ
- 実習への同席
- 実習中の相談、サポート
- 実習終了後のフィードバック
一般企業での仕事経験がない、または経験が少ない利用者にとっては実習への参加が不安な方もいるのではないでしょうか。
必要に応じて就労移行支援事業所のスタッフが企業の担当者との事前打ち合わせや実習に同席することで、安心して実習に臨めることはメリットの一つです。
また、実習終了後にはスタッフと振り返りを行い、改善点を就労移行支援事業所のプログラムや就職活動に反映させることで、より効率的に就職準備を進めることができます。
就労移行支援の企業実習・職場実習の参加の流れとスケジュール
それでは、就労移行支援事業所に通所中に、企業実習・職場実習に参加するまでの流れを3つのステップに分けてみていきましょう。
ステップ①実習内容の検討
実習に入る前に実習場所、 実習期間、業務内容などの諸条件について企業の担当者、就労移行支援事業所のスタッフ、利用者の3者で打ち合わせを行います。打ち合わせをする際に職場見学を行う場合もあります。自分が希望する条件と相違が無いか慎重に確認をしましょう。
ステップ②実習の開始
事前に決めた日程に沿って実習を行います。通勤の練習など準備が必要な場合には実習開始日までに余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
また、実習の目的を明確にしてから臨むことで成果が測りやすくなります。
ステップ③実習終了後の振り返り
実習の期間終了後、事前打ち合わせと同様に面談を行います。 実習を体験して感じたことや改善点などを振り返りながら、今後の就職活動の方向性について検討していきます。
就労移行支援の企業実習・職場実習の内容
就労移行支援事業所の企業実習・職場実習ではどのような仕事があるのでしょうか。
さまざまな種類の仕事がありますが、ここでは「事務職」「IT関連職」「軽作業」の3つの職種についてご紹介していきます。
事務職の例
- データ入力、データ照合
- データスキャン(紙の書類のPDF化)
- 資料作成(Exel、PowerPoinを使用t)
- 郵便対応(郵便物の仕分け、封入、風乾、発送)
IT関連職の例(エンジニア・デザイナー等)
- Webサイトの制作(ホームページのデザイン構成など)
- イラスト作成
- 建築CADオペレーター(建築設計補助、設計図作成・修正)
- メディア運営(Web、SNS、アプリ等の更新・情報発信)
軽作業の例
- 清掃(拭き掃除、掃き掃除、ごみ捨て)
- 倉庫内作業(段ボール運搬、商品の棚卸し)
- 調理補助業務(洗い場、仕込み、料理の盛り付け)
- 介護業務(入浴、食事、排泄)
就労移行支援の企業実習・職場実習に参加して就職した事例
ここでは、企業実習・職場実習に参加した後に一般企業へ就職した事例をご紹介します。実習前・実習中に感じていた不安について、利用者がスタッフのサポートを受けながらどのように乗り越えられたのかご参照ください。
20代女性(精神障害)の事例
就労移行支援を利用して10ヶ月後に障害者雇用枠で就職、週5フルタイムで勤務しています。
就労継続支援A型事業所に通えなくなり、高校の先生が紹介してくれたのが通所のきっかけです。最初は不安でしたが、居心地が良く支援員の方が優しく接してくれたことで体調の安定にも繋がりました。
薬局での実習が自信を持ち就職に繋がりました。苦手なものも少しずつ出来るようになり、お仕事が続けられるように体調管理をこれからもしていきたいです。
20代(精神障害)の事例
就労移行支援の様々なプログラムに参加することで、心身の健康を大切にしたいと思えるようになったことと障害を持っている自分を受け入れようと思えるようになったことが自分自身の大きな変化となりました。
実習期間は弱音を吐いていたこともありましたが、抱えていた悩みなどを全部聴いてもらえたこと、その上で「自分のペースで進めばいい」と言ってもらえたことで、卒業まで通い続けることができました。 利用前とは全く違う自分に変わることができたと胸を張って言えるくらい自信を持つことができました。
30代女性(発達障害)の事例
なかなか仕事が続かず、定職につけない時期があり病院に相談したところ、就労移行支援事業所を紹介してもらいました。 以前の職場では指示に対して理解できないことが多くて、それでミスをしてしまい怒られることが多かったです。
就労移行支援事業所では、ビジネススキルの講義の中で確認や報告をすることの大切さを学びました。外部実習に行った時に簡単なミスをしてしまって何度か落ち込むことがありましたが、職員さんとの面談で悩みを分かってもらえました。
そのあと、事業所でも報告の習慣をつけるトレーニングをすることになりすごく心強かったです。 今は建設関係の企業で各支店の郵送物管理・発送の部署で勤務していて、自分に合っていると感じています。
30代女性(発達障害)の事例
「企業で働くうえでは必ず役に立つ」というのが、就労移行支援事業所に通所をした印象でした。 日常的な会話やスタッフとのコミュニケーションなどが、全てオフィス内で働く時の模擬訓練になっています。
また、私は自分の強みとなる業務を持ち合わせていませんでした。しかし、就労移行支援でパソコンスキルを身に付け実習を体験することで、PCのデータ入力など自分の得意スキルを見つけることができました。
さらに、大企業の特例子会社から、若いIT企業の障害者雇用枠まで、特性や要望に合わせた幅のある応募先を紹介してもらえるのもありがたかったです。
就労移行支援の企業実習・職場実習に関するよくある質問
最後に
ここまで、就労移行支援事業所の職場実習・企業実習の目的とメリット、参加の流れを解説させていただきました。一般企業への就職、定着という目標に向けてご自身の職業適性を知ることは大切です。
企業実習・職場実習の体験を通して自己理解を深め、自分に合った仕事内容、働き方を検討していきましょう。
就労移行支援事業所選びでお困りの際は、ぜひお気軽に事業所検索サイト『デイゴー就労支援ナビ』をご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。