就労移行支援事業所を利用するかどうか迷っている皆さんの中には、「就労移行支援の利用料金ってどのくらいなの?」や「どんな人が無料で利用できるの?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
この記事では、就労移行支援事業所の利用料金や一月あたりの自己負担上限金額、就労移行支援事業所の利用にかかる費用の助成・免除制度などについてご紹介していきます。
就労移行支援事業所の利用料金・値段はいくら?
就労移行支援事業所の利用者が負担する料金は、サービス全体にかかった費用のうち1割で、1日あたりおよそ『500円〜1,400円』となっています。
ただし、所得に応じてひと月当たりの負担上限金額が決まっているため、自己負担額なしで就労移行支援事業所を利用する人も多いです。
就労移行支援の利用は世帯収入により自己負担額が無料に
就労移行支援事業所の利用者負担額は、世帯収入により月ごとの負担上限額が『0円〜37,200円』と設定されており、ひと月に利用したサービス料にかかわらず、上限額以上を支払う必要はありません。
収入を判断される際の世帯の範囲は、
- 18歳以上の障害者(施設に入所する18,19歳を除く)⇒障害のある人とその配偶者
- 障害児(施設に入所する18,19歳を含む)⇒保護者の属する住民基本台帳での世帯
となっています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯※1 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満※2) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※1:3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象。
※2:収入がおおむね670万円以下の世帯が対象。
※3:入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」に該当。
就労移行支援事業所の利用料金の計算方法
就労移行支援事業所の月額利用料の計算方法は、以下のようになります。
月額利用料=1回あたりの利用者負担額×利用日数
ここからは、負担上限月額ごとに、具体的な利用料金の計算例をご紹介していきます。
計算例①負担上限月額が0円の場合
負担上限月額 | 0円 |
---|---|
世帯年収 | 3人世帯で障害者基礎年金1級を受給しており、収入は280万円 |
1回あたりの利用者負担額 | 1,000円 |
1ヶ月あたりの利用日数 | 16回 |
この場合の1ヶ月あたりの利用料金の計算方法は、以下のようになります。
1,000円×16回=16,000円
1ヶ月あたり16,000円の利用料金となりますが、負担上限月額が0円のため、就労移行支援事業所に実際に支払うお金は0円です。
計算例②負担上限月額が9,300円の場合
負担上限月額 | 9,300円 |
---|---|
世帯年収 | 2人世帯で、収入は660万円 |
1回あたりの利用者負担額 | 800円 |
1ヶ月あたりの利用日数 | 20回 |
この場合の1ヶ月あたりの利用料金の計算方法は、以下のようになります。
800円×20回=16,000円
1ヶ月あたり16,000円の利用料金となりますが、負担上限月額が9,300円のため、就労移行支援事業所に実際に支払うお金は9,300円です。
計算例③負担上限月額が37,200円の場合
負担上限月額 | 37,200円 |
---|---|
世帯年収 | 2人世帯で、収入は800万円 |
1回あたりの利用者負担額 | 700円 |
1ヶ月あたりの利用日数 | 20回 |
この場合の1ヶ月あたりの利用料金の計算方法は、以下のようになります。
700円×20回=14,000円
1ヶ月あたり14,000円の利用料金となり、負担上限月額が37,200円のため、就労移行支援事業所には14,000円を支払います。
就労移行支援事業所の利用料金のほかに必要な費用
就労移行支援事業所の利用料金のほかにも、就労移行支援事業所へ通所している間には以下のように様々な費用がかかります。
- 交通費
- 食費
- テキスト代
- 資格受験代
- 医療費
就労移行支援事業所では工賃が発生しませんから、これらの費用を様々な制度やご自身の貯蓄などによってまかなっていくことになります。
ただし、事業所によっては昼食を無料で提供しているところや、資格の受験料を負担しているところなどもありますから、事業所を比較検討する際に確認してみましょう。
就労移行支援への通所にかかる費用の助成・免除
就労移行支援事業所を利用する際にかかる費用について、国や市区町村等によって一部が助成・免除される場合もあります。
交通費・定期券の助成
就労移行支援事業所に通う際の交通費の助成を行っている地域もありますので、お住いの市区町村に問い合わせてみましょう。ここでは一例として、神奈川県横浜市の施設等通所者への交通費補助をご紹介します。
対象者 | 横浜市内に居住する15歳以上の障害者施設等通所者及び送迎介助者で、 主に公共交通機関(電車・バス)または、自家用車(四輪)を利用している人 | |
---|---|---|
助成金額 | 主に公共交通機関(電車・バス)を利用する場合 | 「通所回数×通所1回あたりの助成単価」または「6か月定期券代」のいずれか低い金額を助成 |
主に自家用車(四輪)を利用する場合 | 「通所回数×通所1回あたりの助成単価」の金額を助成 |
食費の減免措置
負担上限月額が9,300円以下である市町村民税非課税世帯や市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)の場合、昼食代は食材料費のみの負担となる減免措置が講じられます。
そのため、就労移行支援事業所での食費の負担は実際にかかる額のおおよそ3分の1となるとされています。
(参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」)
高額障害福祉サービス等給付費の支給
世帯の中で障害福祉サービスを利用する人が複数いる場合や、児童福祉サービスの利用者がいる場合などに、自己負担額の合計が負担上限月額を超えた分が高額障害福祉サービス費として支給されます。
ただし、還付をうけるためには役所等に申請を行う必要があります。例えば、東京都目黒区で高額障害福祉サービス等給付費を受けるためには、以下の書類を障害施策推進課障害福祉給付係へ郵送または持参しなければなりません。
- 申請書(障害者サービス費・障害児通所サービス費各1枚)
- マイナンバー確認資料(個人番号通知カードの写し、または個人番号カードの写し)
- 委任状(口座名義人が申請者と異なる場合のみ提出)
就労移行支援に関するよくある質問
最後に
ここまで、就労移行支援事業所の利用料金や一月あたりの自己負担上限金額、就労移行支援事業所の利用にかかる費用の助成・免除制度などについてご紹介してきました。
就労移行支援事業所では工賃が発生しませんから、通所している間の生活費が不安だと感じている方も多いと思います。ですが、食費や交通費などを負担してくれる事業所もありますから、就労移行支援事業所を選ぶ際に確認してみましょう。
また、デイゴー就労支援ナビでは、お近くの就労移行支援事業所の特徴や空き状況などの比較検討を行うことができますので、ぜひご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。