病気や疾患などによって休職中の人の中には、「休職中に就労移行支援を利用できるの?」や「在職中に就労移行支援を利用できる人の条件は?」といった疑問を持っている人もいるかもしれません。
この記事では、休職中に就労移行支援を利用するための条件や、働きながら就労移行支援に通うことができる人の条件、休職中に就労移行支援を利用するための流れについてご紹介していきます。
就労移行支援は休職中でも利用することができる
就労移行支援とは、障害や難病がある人に対して働くための準備や就職活動を支援するサービスです。就職している人は原則対象外ですが、条件を満たせば休職中でも利用が可能です。
休職中の人が就労移行支援に通うことで、生活リズムの安定が期待できるほか、自己理解を深めるプログラムなどでストレスの対処法を身につけて、復職後の安定した就労を目指すことができます。
休職中に就労移行支援を利用するための条件
休職中の人が就労移行支援事業所を利用するための条件は以下のとおりです。
- 65歳未満で障害・難病がある
- 何らかの理由で、雇用している企業・地域の就労支援機関・医療機関による復職支援を受けることが困難である
- 本人が復職を希望し、企業や主治医が就労移行支援の利用が適当だと判断している就労移行支援を利用することで復職につながると市区町村が判断している
これらすべての条件を満たすことで就労移行支援の利用が可能となります。
(参考:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」)
休職中に就労移行支援のリワークプログラムを受けるメリット
休職中の人が就労移行支援のプログラムを受けるメリットはいくつかあります。
1.生活リズムの改善
休職中に生活リズムが崩れて昼夜逆転の生活になる人は少なくありません。就労移行支援に通うことで、決まった時間に起床する習慣が身につき、生活リズムが整いやすくなります。
2.自己理解を深める
さまざまな要因で心の葛藤が生じ、大きなストレスを抱えて休職に至った人が多いと思います。就労移行支援のプログラムの中には、自身の病気や性質について学ぶ自己理解プログラムがあります。心の葛藤が生じやすい状況を理解し、ストレスを軽減する対処法を身につけることで再発予防を目指します。
3.職場復帰への準備
職場復帰を想定したプログラムを受けることで、復職に必要な体力や集中力を身につけることが期待できます。復職の際には、本人の回復具合や企業の事情によって休職前と違う仕事から始める可能性もあります。仕事にミスマッチがないよう、就労移行支援は復職前に企業側と復職時の環境や仕事内容を確認し、それに合わせた準備を進めていきます。
就労移行支援以外のリワーク・復職支援もある
就労移行支援以外にもリワーク(復職支援)プログラムはあります。一般的に、これらのプログラムが受けられない場合にのみ、就労移行支援の利用ができます。
職場リワーク
雇用されている企業内で実施される復職支援プログラムです。職場で行われるので最も実践的なプログラムです。リワークプログラムにかかる費用は企業が負担します。大企業で行われているケースはありますが、中小企業での実施は少ないのが現状です。職場リワークの目的は、本人の支援だけではなく、働けるかどうかの見極めも含まれています。
医療リワーク
医療機関で行われる復職支援プログラムです。主に精神科のデイケアで実施しています。費用は自己負担となりますが、医療保険が使えるので原則3割負担です。自立支援医療制度が利用できる場合は1割負担になりますので、医療機関や各市区町村に確認することをおすすめします。医療リワークは、症状の治療や心理的な支援、休職の再発予防が主な目的になります。
職リハリワーク
地域障害者職業センターで行われる復職支援プログラムです。労働保険が適用されるため、無料で利用できます。労働保険に加入していない公務員は利用できないので注意が必要です。各都道府県に1ヶ所程度しかないので、通いにくい人もいるでしょう。職リハリワークでは、治療や訓練よりも、スムーズに復職できるような環境整備やコーディネートが主な目的になります。
休職中に就労移行支援を利用する方法・手続き
ここからは、休職中に就労移行支援を利用する方法について段階を踏んでご紹介していきます。
ステップ① 雇用されている企業に相談する
休職中に復職支援を受けたい場合は、まず雇用先の企業に相談しましょう。企業内に職場リワークプログラムがある場合はそちらが優先されます。職場リワークを実施していない場合は、地域にあるリワークプログラムを探します。
ステップ② 地域にあるリワークプログラムを探す
雇用されている企業で職場リワークが実施されていない場合、地域にあるリワークプログラムを探します。具体的には職リハリワーク医療リワーク、就労移行支援によるリワークです。職リハリワークは各都道府県に1ヶ所程度しかないため、通うことが困難な場合があります。また、公務員は利用できません。医療リワークは比較的たくさんありますが、リワークの対象者がうつ病のみなど、医療機関によって対象者が異なります。自身が対象になるかどうか、確認してみてください。就労移行支援は全国に多数あります。多くの就労移行支援ではリワークの対応をしているので、インターネットなどでお近くの就労移行支援を探してみましょう。
ステップ③ 就労移行支援の見学・体験をする
気になる就労移行支援事業所が見つかったら、見学と体験利用をしてみることをおすすめします。多くの就労移行支援事業所ではリワークの対応をしていますが、主な利用者は離職中で再就職を目指している人です。そのため、就職活動に関連するプログラムが多い事業所もありますので、復職支援の場合はどのようなサポートが受けられるかを十分に確認することをおすすめします。
ステップ④ 企業と主治医に報告し、書類の作成を依頼する
復職のために就労移行支援を利用する場合は、原則、企業と主治医の許可が必要になります。両者に就労移行支援で受けられる支援などについて報告し、見解を聞いてみてください。
ステップ⑤の受給者証申請の際には、企業・主治医の両者が「就労移行支援の利用が適切」と判断していることがわかる書類が必要となりますので、両者に書類の作成を依頼しましょう。
ステップ⑤ 受給者証を申請する
就労移行支援に通うために必要な受給者証を市区町村に申請します。受給者証の申請については別記事がありますので、参考にしてください。
復職の場合のみ、企業・主治医が就労移行支援の利用が適切だと判断している書類が必要なので注意が必要です。
申請についてわからないことがあれば、就労移行支援事業所のスタッフがサポートしてくれる場合もありますので、不安なことがあれば聞いてみてください。
ステップ⑥ 就労移行支援事業所と契約・通所開始
受給者証が発行されたら、就労移行支援と契約をして正式な通所開始となります。
働きながら・在職中の就労移行支援の利用条件
働きながら、または在職中に就労移行支援を利用することは原則できません。休職中を除けば、利用できる条件はごく一部です。
働きながら就労移行支援を利用できるケースは2つあり、それぞれの条件は以下のとおりです。
利用条件①労働時間延長支援型
- 就労移行支援または就労継続支援(A型・B型)を利用して一般企業に就職した
- 就職時は週に10時間以上20時間未満の短時間労働だが、続けて就労移行支援または就労継続支援の支援を受けることで、労働時間が週に20時間以上になる見込みがある
- 上記の計画を市区町村も認めている
利用条件②就労移行支援短時間型
- 就労移行支援を利用して一般企業に就職した
- 就職時は週に10時間未満の短時間労働だが、続けて就労移行支援を利用することで、労働時間の延長やスキルアップのための転職が見込める
- 上記の計画を市区町村も認めている
休職中に就労移行支援を利用して復職した人の体験談
ここからは、就労移行支援を利用して復職した人の事例をご紹介します。ここでは東京都、千葉県の事例を挙げていますが、デイゴー就労支援ナビではお住まいの都道府県や駅から、就労移行支援事業所を探すことができます。
20代男性(発達障害)
休職状態で利用開始しました。職場では「自己管理が苦手ですぐに書類をなくしてしまう」「周囲が気になりすぎて仕事が思うように進まない」などの指摘がありました。
しかし、自分では何が問題で仕事がうまくいかないのかわからず、心身ともに不安定な状態になっていました。
就労移行支援で訓練を受けることで、ネガティブな考え方を減らせるようになりました。
それにより自分のことを知る機会が増え、今まで難しいと思っていたことができるようになるなど、少しずつ自分が信じられるようになりました。
職場では「当たり前のこと」ができなかった私ですが、復職後はそれらと向き合って工夫することで対応できることが増えました。
50代男性
通所前は休職を何回か繰り返しており、どうやったら継続して働いていけるか、を目的に色々模索している中、就労移行支援という存在を知りました。
通所を始めてからは、プログラムの心理教育によって、自分の思考を「見える化」して、自分の精神的な部分の最適化につなげることができたことが大きかったです。
また、自分の働き方の強み、弱みを知って、改善につなげられたことも良かったです。
20代(双極性障害・適応障害)
就労移行支援に通う前は生活リズムが崩れていて、眠れないことが多い日々を送っていました。
通所することで、生活リズムが整っていきました。そして、プログラムによって考え方の柔軟さを身につけられ、感情に振り回されずに論理的に考えられるようになりました。
職場への復帰の段階では、就労移行支援と企業が連携することで自身の状況をスムーズに把握してもらうことができ、リハビリ勤務につながりました。
リハビリ勤務期間中は担当支援員の心理士さんにたくさん話を聞いてもらえたことが、心の支えになりました。
就労移行支援に関するよくある質問
在職中・休職中に就労移行支援を利用することについて、よくある質問をまとめました。
休職中に就労移行支援を会社に内緒で利用できるの?
いいえ、休職中に会社に内緒で就労移行支援を利用することはできません。復職にあたって就労移行支援の利用が必要だと会社が判断した時のみ利用ができます。
休職中に転職を目的に就労移行支援を利用できるの?
休職中に転職を目的として就労移行支援を利用することは、原則、できません。復職を目的として、企業・市区町村・就労移行支援事業所が合意したうえで受給者証が発行されるからです。やむを得ず休職中に退職が決まった場合は、就労移行支援事業所や市区町村に報告し、今後について話し合いましょう。継続して利用できるかどうかは市区町村の判断になります。
休職中に就労移行支援を利用したら会社や産業医と連携してくるの?
休職中に就労移行支援を利用した場合、就労移行支援事業所は会社や産業医と連携します。復職するにあたって会社や産業医の意見は重要ですので、就労移行支援事業所が会社や産業医に適宜状況を報告・確認しながら、復職に向けての支援を進めていきます。
就労移行支援は利用料金がかかるの?
前年度の収入に応じて就労移行支援事業所の自己負担額は変わるため、休職中の人は利用料金がかかるケースが多いです。
就労移行支援事業所は公的な福祉サービスなので自己負担額は原則1割で、1日あたりおよそ「500円〜1,400円」程度です。
ただし、収入に応じて1ヶ月あたりの自己負担の上限が決まっています。前年度に収入があった人は、9,300円または37,200円が上限となります。
(参考:厚生労働省「障害者の利用負担」)
最後に
ここまで、休職中に就労移行支援を利用するための条件や、働きながら就労移行支援に通うことができる人の条件、休職中に就労移行支援を利用するための流れについてご紹介してきました。
就労移行支援事業所の中には、復職のためのサポートやプログラムが充実している事業所もあります。そうしたリワークプログラムに力を入れている事業所の中から、見学・体験を通してご自身が通いたいと思う事業所を選んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。