障害や病気があり働くことが難しい方や、休職している方の中には、「就労移行支援を利用してみたいが、給料はもらえるの?」や「どのくらいの工賃をもらえるのだろう?」といった疑問を持っている人もいるかもしれません。
この記事では、工賃を受け取ることができる就労移行支援事業所を3つ紹介するほか、就労移行支援では原則給料が支払われない理由や、工賃を支払っている事業所における平均的な工賃金額を解説していきます。
就労移行支援事業所では給料・お金をもらえるの?
就労移行支援事業所は就労継続支援事業所とは違い、訓練に対して原則給料をもらうことはできません。
ただし、一部の就労移行支援事業所では作業に対して工賃を支払っているケースがあります。
就労移行支援事業所の工賃は、訓練として行った作業に支払われ、最低賃金に満たないわずかな金額であるケースがほとんどです。工賃の目的としては、作業に対する達成感や責任感を味わってもらうためであることが多いようです。
就労移行支援事業所で給料がもらえない理由
就労移行支援事業所は、一般企業での就労を目指して訓練することが目的の事業所であるため、訓練に対して給料や工賃を受け取ることはできません。
一方で、就労継続支援事業所では作業に対して給料や賃金が支払われます。これは、一般企業で働くのが難しい人に対して福祉的な就労を提供することが目的の事業所だからです。
就労移行支援事業所でもらえる平均的な工賃の金額
前述したように、就労移行支援事業所では基本的に給料や工賃が支払われることはありませんが、一部の就労移行支援事業所では例外的に工賃を支給しているケースがあります。
工賃を支払っている事業所に限定した場合の平均工賃は、月額18,628円です。
ただ、実際に就労移行支援を利用した人が事業所を選んだ理由を見てみると、『会社などに就職したかった』が25.8%と最多、次いで『はたらくための技術を身に付けたかった』が23.3%となっている一方、『お金をかせぎたかった』と回答した人の割合は9.3%と低く、工賃があるかどうかを重要視している利用者は比較的少ないことが見て取れます。
参考:厚生労働省「平成27年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査結果(平成29年度調査)」、厚生労働省 令和4年度障害者総合福祉推進事業「就労系障害福祉サービスの利用者の支援ニーズ等の実態把握等に関する調査(株式会社インサイト)」
工賃をもらえる就労移行支援事業所3選
ここからは、工賃をもらえる就労移行支援事業所をご紹介します。ここでは一例として埼玉県、神奈川県、大阪府の就労移行支援事業所を挙げていますが、デイゴー就労支援ナビではお住まいの都道府県や駅から、就労移行支援事業所を探すことができます。
Be happinessとおり町
- 精神障害、知的障害、視覚障害、身体障害など、幅広い障害に対応
- 20種類の作業から自分にあった職種が分析できる
- 職場定着率は95%と高水準
Future Dream Achievement 川崎
- 川崎駅から徒歩3分
- 30種類以上のゲームを通じてコミュニケーションの訓練を実施
- 就労定着支援事業所を併設し、就職後最大3年半の定着支援が可能
ニコサービス城東センター
- 定員10名の事業所で、支援が手厚い
- 簿記やパソコンなどの資格取得が可能
- 昼食・交通費・資格受験の補助あり
就労移行支援事業所に関するよくある質問
- 就労移行支援事業所に通っている間の生活費はどうする?
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就労移行支援事業所に通所したいけど収入がなくてお困りの場合は、いくつか受けることができる公的なサポートがあります。一例を紹介しますので、各自治体に相談してみてください。
- 自治体の交通費助成
就労移行支援事業所に通うための交通費は実費ですが、一部の自治体では交通費の助成制度があります。
- 失業保険
会社に勤めていたけれど何かしらの理由で退職した場合は、条件を満たせば失業保険を受給することができます。
- 傷病手当金
健康保険の被保険者が病気や障害のために仕事の継続ができなくなった場合は、傷病手当金の受給対象者になる可能性があります。
- 障害年金
障害があって就労が著しく制限される状態だと認められると、障害年金が受給できる場合があります。
- 生活保護
収入も資産もなくて生活に困窮する場合は、生活保護が受けられる可能性があります。
生活費に困った場合に受けることができる公的なサポートについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
- 就労移行支援事業所に通いながら働けるの?
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就労移行支援事業所は、働く意志はあるけど障害や病気が理由で働けない人のための訓練施設です。つまり働くことができる人は対象外となるので、就労移行支援事業所に通いながら働くことは、原則、認められていません。
ただし、ごく一部の条件で認められる場合があります。例えば、就労移行支援事業所に通所することで短時間の就労が決まり、段階的に就労の時間を延ばしていきたい場合です。
就労が週に20時間以上に延長できるまでの間、就労支援事業所との併用が認められることがあります。
その他、自治体が認めた場合は就労移行支援事業所に通いながら短時間のアルバイト等が可能なこともあります。
自治体によって対応が異なりますので、お住まいの自治体に相談してみてください。
参考:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」
最後に
ここまで、工賃を受け取ることができる就労移行支援事業所を3つ紹介するほか、就労移行支援では原則給料が支払われない理由や、工賃を支払っている事業所における平均的な工賃金額を解説してきましたが、いかがでしたか。
就労移行支援事業所の利用期間は原則2年間と決まっています。就労移行支援を利用して就職するまでは生活費のやりくりが難しいと感じることもあるかもしれません。そのような不安がある場合は、ご紹介した公的なサポートを検討するほか、ひとりで対応するのが難しければ見学や体験に行ったときにスタッフに相談してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。