就労継続支援B型を利用するには?手続きの流れをイチから紹介!

就労継続支援B型事業所に通うかどうか迷っている皆さんの中には、「就労継続支援B型事業所で働くためにはどんな手続きが必要なの?」や「就労継続支援B型事業所を利用するまでの流れは?」、「作業を体験してみることはできるの?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

この記事では、就労継続支援B型事業所で働くまでの流れや、就労継続支援B型を利用するために必要な手続き・書類などについてご紹介していきます。

目次

就労継続支援B型事業所を利用するための手続きの流れ

就労継続支援B型事業所は、障害や難病のある人が、雇用契約を結ばずに働く機会を得るための障害福祉サービスです。

就労継続支援B型事業所を利用するための手続きの流れは以下のようになります。

就労継続支援B型事業所で働くまでの流れ
  1. 就労継続支援B型事業所を探す
  2. 事業所に問い合わせ
  3. 見学
  4. 体験利用
  5. 市区町村に申請
  6. サービス等利用計画案の提出
  7. 認定調査
  8. 受給者証の発行
  9. サービス利用契約

ここからは、一つひとつのステップについて、詳しくご紹介していきます。

ステップ①:就労継続支援B型事業所を探す

就労継続支援B型事業所は、検品・内職・掃除・ものづくり・クリーニングなど、事業所によって作業の内容が変わるほか、送迎の有無や賃金の額、事業所の支援方針といった様々な違いがあります。

ご自身にあった事業所に通うために、数ある事業所の中から、まずは通ってみたい事業所の候補をいくつか探してみましょう。

就労継続支援B型事業所の探し方はいくつかあります。

就労継続支援B型事業所の探し方の例
  • 相談支援事業所に相談
  • インターネットで検索
  • 市区町村の障害福祉担当窓口に相談
  • ハローワークに相談

デイゴー就労支援ナビでは、お住まいの地域や最寄り駅から通いやすい就労継続支援B型事業所を探し、事業所の特徴などを比較検討できますので、ぜひご活用ください。

ステップ②:事業所に問い合わせ

通ってみたい就労継続支援B型事業所を見つけたら、事業所に空き状況などの問い合わせをしてみましょう。

インターネットや電話での問い合わせを受付けている事業所が多いです。

問い合わせをしてみて空きがあった場合には、見学の日程を調整することになります。

ステップ③:見学

見学では、事業所内を実際に見て回りながら、作業や支援内容の説明を受けることになります。

事業所の雰囲気や、住んでいる場所からの通いやすさなどを確認してみましょう。

「見学をしてみたけど、自分に合わないな・・・」と感じた場合は、他の事業所をまた探す場合もあります。

ステップ④:体験利用

見学をしてみて「この事業所に通ってみたいかも!」と思ったら、次に体験利用を行うことになります。

体験利用では必要に応じて1~5日ほど試験的に通い、作業を体験してみることで、「仕事の内容はできそうか?」や「職場の環境は問題なさそうか?」などを確かめることになります

体験利用を通して通所の意思が固まったら、事業所に利用したいと伝えましょう。事業所によっては体験利用のあとに面談をする場合もあります。

ステップ⑤:市区町村に申請

通いたい事業所が決まったら、市区町村の障害福祉担当窓口でサービス利用のための「障害福祉サービス受給者証」の申請を行います。

障害福祉サービスの利用申請時に必要な書類は市区町村によって様々ですが、一般的には申請書や障害者手帳(もっていない場合は医師の診断書等)、世帯収入の申告書などを提出します。世帯収入申告書に記入する項目の内容が分からない場合は、市区町村の窓口にたずねると金額などを教えてくれます。

ステップ⑥:サービス等利用計画案の提出

申請を行うと、「どのサービスをいつどのくらい使うのか」や「一週間の生活の流れ」などを記載する「サービス等利用計画案」の提出を市区町村から依頼されます

サービス等利用計画案は相談支援事業者に作成してもらうか、自分で作る(セルフプラン)ことができる場合もあります。

ただし、セルフプランを認めていない自治体も多いため、事前に確認しておきましょう。

ステップ⑦:認定調査

障害支援区分の認定を行うために、市区町村の認定調査員との面接が実施されます。この認定調査では、心身の状況や普段の日常生活の様子など、80項目について聞き取りが行われます。

※行政の窓口で行われる場合や、認定調査員の訪問により行われる場合など、市区町村によって認定調査の実施方法は様々ですので、事前に確認をしてみてください。

ステップ⑧:受給者証の発行

申請者のサービス利用移行等をもとに、サービスの支給決定が行われ、受給者証が発行されます。

受給者の発行までにかかる時間は自治体によって様々で、早いところでは1週間、遅いところでは1ヶ月以上かかる場合もあります

ステップ⑨:サービス利用契約

受給者証が発行されたら、サービスの利用を始める前に就労継続支援B型事業所との間で利用契約を結ぶことになります。

サービスの利用契約書や重要事項説明書についてスタッフから説明をされるので、内容を理解した上で同意するようであれば契約を締結します。

契約を結んだら、就労継続支援B型事業所の利用がいよいよ始まります。

就労継続支援B型事業所の対象者はどんな人?

就労継続支援B型事業所を利用できる対象者は、就労移行支援事業所などを利用したが一般企業等の雇用に結びつかない人や、一定の年齢に達している人で、働く機会を得ることで知識や能力の向上・維持が期待できる障害や難病のある人とされています。

具体的には、以下のような例が挙げられます。

就労継続支援B型事業所を使える人の例
  • 企業や就労継続支援A型での就労経験があるが、年齢や体力の面で就職が難しい
  • 障害基礎年金1級を受給している
  • 50歳に達している
  • 就労移行支援事業者によるアセスメントで、就労に関する課題等の把握が行われている

就労継続支援B型事業所の対象者については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

就労継続支援B型事業所で働くためには何が必要?

就労継続支援B型事業所で働くためには、「受給者証」を市区町村に発行してもらわなくてはなりません。そのほか、受給者証を発行するために、障害者手帳や医師の診断書等が必要になってきます。

就労継続支援B型事業所の受給者証とは

受給者証は障害福祉サービス受給者証の略で、就労継続支援B型事業所等の障害福祉サービスを利用する際に必要となる、市区町村からの許可証です。

申請をしてから受給者証を発行するまでに、早い自治体では1週間、遅い自治体だと1ヶ月以上かかる場合もあります。

就労継続支援B型事業所は障害者手帳なしでも利用できるの?

就労継続支援B型事業所を利用する際は、主治医の意見書や自立支援医療受給者証等があれば、障害者手帳を持っていなくてもサービス利用の申請をすることができます

例えば、千葉県浦安市では障害福祉サービスの対象者は以下のいずれかに当てはまる場合で、当てはまらない場合は「事前に障がい福祉課にご相談ください」とされています。

障害福祉サービスの対象者(千葉県浦安市の場合)
  • 身体障害者手帳をお持ちの方
  • 療育手帳をお持ちの方、または知的障がいがあると判定されている方
  • 精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、または精神障がいがあると診断されている方
  • 障害者総合支援法の対象疾患で、特定医療費(指定難病)受給者証をお持ちの方、または診断されている方

就労継続支援B型事業所はどのくらいの期間利用できるの?

就労継続支援B型事業所には、利用期間の制限はありません

就労継続支援B型の事業所ごとの平均利用年数を見てみると、「1~3年」が『27.2%』と最多で、その次に「4~6年」が『25.2%』となっている一方で、「19年以上」という事業所も『6.6%』いることが分かります。

(厚生労働省 令和4年度障害者総合福祉推進事業 就労系障害福祉サービスの利用者の支援ニーズ等の実態把握等に関する調査より作成)

就労継続支援B型事業所の選び方

就労継続支援B型事業所を利用するまでの流れは分かったけど、どうやって行きたい事業所を選んだらいいのか分からないという人に向けて、就労継続支援B型事業所のおすすめの選び方をご紹介します。

ここでは仕事内容や駅からの距離、工賃で比較する際のポイントを詳しくご紹介していきますが、このほかにも事業所の支援方針(スキルアップ主体なのか?無理なく働き続けることが主体なのか?)や、一般企業へ就職する利用者の割合といった観点から就労継続支援B型事業所を選ぶ人もいます。

仕事内容で比較

就労継続支援B型事業所の仕事内容は、細かい作業から体を動かす作業まで、バリエーションはさまざまです。

例えば、細かい作業が苦手な人が、はんだ付けなどの細かい部品作業を行う事業所に通うのはミスマッチになりかねません。

ですから、ご自身の得意な作業ができそうな事業所へ見学に行き、実際に仕事を体験してみて、「作業の難易度やペースは無理なさそうか?」や「スタッフは優しく教えてくれそうか?」などを確認することも大切なポイントになってきます。

駅からの距離で比較

就労継続支援B型事業所には週に3〜5日程度通うことになりますから、駅からどのくらい離れているかは通いやすさを重視する人にとって大事なポイントです。

デイゴー就労支援ナビでは、通いたい駅から就労継続支援B型事業所を探すことができますので、ぜひ利用してみてください。

工賃で比較

厚生労働省の「令和4年度工賃(賃金)の実績について」によると、就労継続支援B型事業所で働くと、平均で月に17,031円の工賃がもらえます。

ですが、平均工賃は事業所によって違いがあるため、「どんな仕事を、どのくらいの時間行うと、いくらもらえるのか?」が気になる場合は以下の記事を参考にしてみてください。

最後に

ここまで、就労継続支援B型事業所で働くまでの流れや、就労継続支援B型を利用するために必要な書類などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

ご紹介してきたように、就労継続支援B型事業所には作業内容や工賃、送迎サービスの有無など様々な違いがあります。

いくつかの事業所に実際に見学に行ってみた上で、ご自身に一番合った事業所を探してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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