就労継続支援A型事業所で働きたいと思っている皆さんの中には、「就労継続支援A型事業所を利用するためにはどんな手続きが必要なの?」や「用意しなきゃいけない書類はなに?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
この記事では、就労継続支援A型事業所を利用するための方法・流れや、手続きに必要な書類などについてご紹介していきます。
就労継続支援A型事業所の利用手続き・方法
就労継続支援A型事業所は、一般企業で働くことが難しい障害や難病のある人が、雇用契約を結び、最低賃金以上の給料をもらいながら働くことができるサービスです。
面接や体験利用の有無やタイミングは事業所によって異なりますが、就労継続支援A型事業所を利用するまでの一般的な流れは以下のようになります。
- 就労継続支援A型事業所を探す
- 見学
- 体験利用
- 面接
- 市区町村に申請
- サービス等利用計画案の提出
- 認定調査
- 受給者証の発行
- サービス利用契約・雇用契約
ここからは、それぞれの段階でやることについて詳しく見ていきましょう。
①就労継続支援A型事業所を探す
就労継続支援A型事業所は、データ入力・清掃・封入発送・カフェ・動画編集など事業所によって作業内容は様々です。
そのほかにも、送迎の有無や賃金の額、支援対象となる障害・難病の種類などに違いがあります。
数ある事業所の中から、まずは通ってみたい事業所の候補をいくつか探してみましょう。就労継続支援A型事業所の探し方はいくつかあります。
- ハローワークに相談
- インターネットで検索
- 相談支援事業所に相談
- 市区町村の障害福祉担当窓口に相談
デイゴー就労支援ナビでは、お住まいの地域や最寄り駅から通いやすい就労継続支援A型事業所を探し、事業所の特徴などを比較検討できますので、ぜひご活用ください。
②見学
利用してみたい就労継続支援A型事業所の候補がいくつか決まったら、事業所へ問い合わせをした上で見学をしてみましょう。
見学では、スタッフから業務内容の説明を受け、仕事の様子を見ることができます。実際に事業所へ足を運ぶことで、仕事の様子や事業所の雰囲気から「この事業所で働けそうかどうか?」を判断する材料にもなります。
また、見学の際には、面談としてこれまでの経歴などについて話を聞かれる場合もあるようです。
③体験利用
見学を行った上で「この就労継続支援A型事業所で働いてみたい」と思った場合は、実際に事業所で働いている人と一緒に仕事の体験を行います。
体験利用の期間は様々で、3日程度の事業所もあれば、2週間程度の事業所まであります。
④面接
見学・体験利用を通して、就労継続支援A型事業所で働く意志が固まったら、面接を行うことになります。ハローワークからの紹介状がないと面接を行わない事業所もあります。
面接では、以下のような質問について聞かれることが多いです。就労継続支援A型事業所は障害福祉サービスですが、面接の結果次第では不採用になってしまう場合もあるので、あらかじめ準備しておいた方が良いでしょう。
- 志望した理由
- これまでの経歴
- 長所や短所
- 通勤手段や勤務時間
- 障害や病気の状態や配慮が必要なこと
- 将来の夢・やりたいこと
- 逆質問(何か聞きたいことはありますか?等)
⑤市区町村に申請
面接の結果、無事に採用となったら、市区町村の障害福祉担当窓口でサービス利用のための「障害福祉サービス受給者証」の申請を行います。
障害福祉サービスの利用申請時に必要な書類は市区町村によって様々ですが、一般的には申請書や障害者手帳(もっていない場合は医師の診断書等)、世帯収入の申告書などを提出します。
⑥サービス等利用計画案の提出
申請を行うと、どのサービスをいつどのくらい使うのかなどを記載する「サービス等利用計画案」の提出を市区町村から依頼されます。
サービス等利用計画案は相談支援事業者に作成してもらうか、自分で作る(セルフプラン)ことができる場合もあります。
ただし、セルフプランを認めていない自治体も多いのであらかじめ確認しておきましょう。
⑦認定調査
障害支援区分の認定を行うために、市区町村の認定調査員との面接が実施されます。この認定調査では、心身の状況や普段の日常生活の様子など、80項目について聞き取りが行われます。
※行政の窓口で行われる場合や、認定調査員の訪問により行われる場合など、市区町村によって認定調査の実施方法は様々ですので、事前に確認をしてみてください。
⑧受給者証の発行
申請者のサービス利用移行等をもとに、サービスの支給決定が行われ、受給者証が発行されます。受給者証が発行されれば、就労継続支援A型事業所の利用を開始することができます。
就労継続支援A型事業所の受給者証とは
受給者証は障害福祉サービス受給者証の略で、就労継続支援A型事業所等の障害福祉サービスを利用する際に必要となる、市区町村からの許可証です。
申請をしてから受給者証を発行するまでに、早い自治体では1週間、遅い自治体だと1ヶ月以上かかる場合もあります。
⑨サービス利用契約・雇用契約
受給者証が発行されると、サービスの利用を開始するために、就労継続支援A型事業所との間で利用契約と雇用契約を結ぶことになります。
サービスの利用契約書や重要事項説明書、雇用契約書についてスタッフから説明をされるので、内容を理解した上で同意するようであれば契約を締結し、就労継続支援A型事業所で働き始めることができるようになります。
就労継続支援A型事業所の対象者・利用条件
就労継続支援A型事業所にはどんな人が通えるのか気になっている人もいるかもしれません。以下の4つのいずれかに当てはまる場合、就労継続支援A型事業所を利用することができます。
- 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった
- 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった
- 就労経験はあるが企業を離職しており、雇用関係がない
- 企業等での働き始めに勤務時間を段階的に増やしていく場合、休職から復職を目指す場合(2022年障害者総合支援法改正法により新設)
厚生労働省によると、具体的な利用者のイメージは、
- 特別支援学校を卒業して就労を希望するが、一般就労するには必要な体力や職業能力が不足している人
- 一般就労していたが、体力や能力などの理由で離職した。再度、就労の機会を通して、能力等を高めたい人
- 施設を退所して就労を希望するが、一般就労するには必要な体力や職業能力が不足している人
とされています。
就労継続支援A型事業所の対象者については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
就労継続支援A型事業所は障害者手帳がなくても利用できるの?
就労継続支援A型事業所を利用する際は、医師の診断書の提出などの一定の条件をクリアすれば、障害者手帳を持っていなくてもサービス利用の申請をできる場合があります。
例えば、長崎県長崎市では、障害福祉サービスの対象者であることの確認方法を以下のように示しています。
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 知的障害者更生相談所より知的障害が認められていること
- 精神障害を事由とする年金を現に受けていることの証書
- 自立支援医療(精神通院医療)受給者証
- 医師の診断書又は意見書
- 特定疾患医療費受給者証
- 対象疾患に罹患していることが分かる医師の診断書又は意見書
就労継続支援A型事業所の利用に必要な書類の一覧
ここでは長崎県長崎市を例として、受給者証を持っていない人が就労継続支援A型事業所を利用する際に必要になってくる書類を一覧でご紹介します。
ただし、市区町村によって必要な書類が違ってくる場合がありますので、実際に申請する場合は市区町村にお問い合わせください。
- 対象者であることが確認できる書類(障害者手帳、手帳がない場合は医師の診断書など)
- 申請書別表
- サービス等利用計画作成依頼届出書世帯状況・収入申告書
- サービス等利用計画案
世帯状況・収入申告書は、市区町村の障害課の方が受給者証の申請をする際に発行してくれることが多いです。
就労継続支援A型事業所の選び方
「利用方法は分かったけど、どの就労継続支援A型事業所で働くかまだ迷っている」人に向けて、就労継続支援A型事業所をどう選べばいいか考えていきます。
就労継続支援A型事業所で既に働いている人の「今通っている事業所で働きたいと思った理由」のトップ5は、以下のようになっています。
『35.6%』の利用者が「見学したり仕事を体験してみて、よいと思ったから」を選択し、次いで「自分のやりたい仕事ができると思ったから」が『15.2%』となっていました。
ですから、自分にあった就労継続支援A型事業所を選ぶためには、興味がある・やりたい仕事ができる事業所をピックアップし、実際に見学や体験をしてみることが大切になってくるでしょう。
最後に
ここまで、就労継続支援A型事業所を利用するための流れや手続きに必要な書類などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
デイゴー就労支援ナビでは、スマートフォン・PCからお近くの就労継続支援A型事業所の特徴や送迎サービスの有無などを比較検討し、事業所へお問い合わせを行うことができますので、ぜひ活用してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。