就労継続支援A型事業所で働くかどうか迷っている皆さんの中には、「就労継続支援A型事業所の賃金はどのくらいなの?」や「就労継続支援A型事業所の給料だけで生活できるの?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
この記事では、就労継続支援A型事業所で働く場合の平均月給・時給や、給料が高い事業所の月給、手取り額の考え方などについてご紹介していきます。
就労継続支援A型事業所では最低賃金以上の給料をもらえる
就労継続支援A型事業所は障害福祉サービスのひとつで、雇用契約に基づいた就労を行うため、最低賃金以上の給料をもらいながら働くことができます。
そのほかにも、事業所への通所を通して、一般企業で働くために必要な知識や能力が高まった場合は、一般就労への移行に向けた支援を受けることができます。
就労継続支援A型事業所の給料が最低賃金以下の場合もある?
就労移行支援事業所A型事業所では、まれに「最低賃金の減額の特例許可制度」によって、最低賃金より低い給料が支払われる場合もあります。
ですが、実際にこの制度が適用されている人は少なく、約9割以上の利用者には最低賃金以上の給料が支払われています。
※最低賃金は、法律に基づいて決められた「働いて受けとる賃金の最低額」のことで、都道府県ごとに違いがあります。
就労継続支援A型事業所は有給休暇をもらえるの?
就労継続支援A型事業所は雇用契約を結んで働くため、有給休暇を利用することができます。
ただし、以下の2つの要件に当てはまる必要があります。
- 雇入れの日から6ヶ月経過している
- その期間の全労働日の8割以上出勤した
就労継続支援A型事業所の給料・賃金はいくら?
就労継続支援A型事業所の給料は事業所によって違いがありますので、ここからは月給・時給の平均や、月給の最高額・最低額などを紹介していきます。
就労継続支援A型事業所の平均月給の推移
就労継続支援A型事業所における月額の平均賃金は右肩上がりで推移しており、過去11年間で平均月給68,691円から2022年時点で平均月給は『83,551円』となっています。
就労継続支援A型事業所の勤務時間はどのくらい?
就労継続支援A型事業所の月給が上がり続けていると聞いて、「一月あたりどのくらい働いているの?」と疑問を感じる方もいるかもしれません。
就労継続支援A型事業所における実労働時間(休憩・面談等を含まない)は、週あたり『20~30時間』が55.4%ともっとも多く、次いで『30~40時間』が18.3%、『10~20時間』が17.9%となっています。
就労継続支援A型事業所の平均時給の推移
就労継続支援A型事業所における時間額の平均賃金も過去11年間で右肩上がりで推移をしており、2022年の平均時給は『947円』となっています。
就労継続支援A型事業所の月給の最高額・最低額
就労継続支援A型事業所における年間賃金総額の月平均の最高額・最低額は、それぞれの平均値で見た場合、最高額は最低額の約『1.8倍』となっています。
月平均の最高額 | 月平均の最低額 | |
平均値 | 93,556円 | 52,963円 |
就労継続支援A型・B型事業所の給料・工賃の違い
就労継続支援A型事業所は雇用契約を結び最低賃金以上で働く一方、就労継続支援B型事業所は雇用契約を結ばないことから、賃金(工賃)に違いがあります。
2021年度の平均工賃(賃金)は、就労継続支援A型事業所は月額『81,645円』 であるのに対し、就労継続支援B型事業所は月額『16,507円』 となっています。
平均工賃(賃金) | ||
---|---|---|
月額 | 時間額 | |
就労継続支援A型(対前年比) | 83,551円 (102.3%) | 947円 (102.3%) |
就労継続支援B型(対前年比) | 17,031円 (103.2%) | 243円 (104.3%) |
就労継続支援A型事業所の手取り額
就労継続支援A型事業所で雇用保険や健康保険、厚生年金保険の適用を受けている場合は、給与から雇用保険料や健康保険料などが天引きされた額が手取りになります。
手取り額=給与の総支給額-控除額(雇用保険料や健康保険料など)
中でも雇用保険料を天引きされる場合が多く、NPO法人就労継続支援A型事業所全国協議会の「平成29年 就労継続支援A型事業所全国実態調査報告書」によると、就労継続支援A型事業所の利用者17,370人のうち『約93.3%』が雇用保険の適用を受けているようです。
就労継続支援A型で雇用保険料をはらう場合
就労継続支援A型事業所で働く条件が以下のいずれにも当てはまる場合、雇用保険が適用されるため、雇用保険料が給与から天引きされることになります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
(参考:厚生労働省「雇用保健制度 Q&A~事業主の皆様へ~」)
就労継続支援A型で健康保険料・厚生年金保険料をはらう場合
就労継続支援A型事業所で働く条件が以下のいずれにも当てはまる場合、健康保険・厚生年金保険が適用されるため、健康保険料や厚生年金保険料が給与から天引きされることになります。
- 被保険者数が101人以上の事業所である(2024年10月からは51人以上)
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用見込みがある
- 学生ではない
(参考:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」)
就労継続支援A型事業所の給料だけでは生活できないの?
就労継続支援A型事業所の利用者は、家族と同居している人やグループホームを利用している人が約8割いる一方、ひとりで暮らしている人も約2割います。
また、就労継続支援A型事業所でもらう給料のほかに、障害年金を受給している人もおり、障害基礎年金2級を受給している利用者は全体のうち『48.1%』となっています。
就労継続支援A型事業所の利用料
就労継続支援A型事業所は、サービスにかかる費用のうち1割を利用者が、市区町村が残りの9割を負担する仕組みとなっており、利用者の支払う料金は1日あたりおよそ『400円〜1,100円』となっています。
利用料は就労継続支援A型事業所の給料等から支払うことになりますが、所得に応じてひと月当たりの負担上限金額が決まっているため、無料で就労継続支援A型事業所を利用する人も多いです。
厚生労働省の「障害福祉サービス、障害児給付費等の利用状況について」によると、障害福祉サービスを利用している人(93.5万人)のうち、約92.7%が無料で利用していることが分かっています。
就労継続支援A型事業所の選び方
お伝えしてきたように、就労継続支援A型事業所はエリアや事業所によって給料の金額が変わってきます。
そのほかにも、送迎の有無や作業内容、支援対象となる障害・難病の種類などに違いがありますので、インターネットでの検索やハローワークへの相談などを通して、ご自身に合った事業所を選んでみてください。
デイゴー就労支援ナビでは、スマートフォン・PCからお近くの就労継続支援A型事業所の平均賃金や送迎サービスの有無などの比較検討を行うことができますので、ぜひご活用ください。
最後に
ここまで、就労継続支援A型事業所で働く場合の平均月給・時給や月給の最高額・最低額、手取りの考え方などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
就労継続支援A型事業所には、賃金の額だけでなく、仕事の内容や事業所の雰囲気など、様々な違いがあります。
ご自身が満足できるような事業所を選ぶためにも、デイゴー就労支援ナビで就労継続支援A型事業所の比較検討をしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。