就労継続支援A型・B型事業所の違いはなに?工賃や作業内容を比較!

障害や難病があるために長い間働いていない方や一般企業への就職が難しい方などで、「就労継続支援A型事業所とB型事業所って何がちがうの?」や「自分にはどっちのサービスを利用するのが向いているの?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

この記事では、就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所の違いについて、工賃や利用時間、利用者の年齢や障害種別などの観点から比較をするほか、就労や訓練に関する障害福祉サービスの種類などについてご紹介していきます。

目次

就労継続支援A型・B型事業所の違いは?

就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所には、対象者、賃金、一般就労への移行者の割合など様々な違いがありますが、大きな違いは雇用契約の有無です。

就労継続支援A型事業所は雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の工賃を受け取ることができます。一方、就労継続支援B型事業所は雇用契約を結ばないため、A型事業所よりも工賃が低い代わりに労働時間の自由度が高い傾向にあります。

就労継続支援A型就労継続支援B型
対象者通常の事業所へ雇用されるのが困難で、適切な支援があれば雇用契約に基づく就労が可能な障害のある人就労移行支援等を利用したが一般就労へ結びつかない場合等に、就労することで知識・能力の向上や維持が期待される障害のある人
雇用契約ありなし
賃金あり(最低賃金以上の給与)あり(月額3,000円以上の工賃)
利用期間制限なし制限なし
年齢制限65歳未満(65歳以上も要件を満たせば利用可能)なし
利用料月額0円~3万7,200円(所得に応じて変動)月額0円~3万7,200円(所得に応じて変動)
一般就労への移行者割合※22.0%10.1%
※厚生労働省「就労移行支援に係る報酬・基準について」より

ここからは、就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所の違いを詳しくご紹介していきます。

就労継続支援A型・B型事業所の工賃の違い

はじめにご紹介したように、就労継続支援A型事業所は雇用契約を結び最低賃金以上で働く一方、就労継続支援B型事業所は雇用契約を結ばないことから、工賃に違いがあります。

2021年度の平均工賃は、就労継続支援A型事業所は月額81,645円 であるのに対し、就労継続支援B型事業所は月額16,507円 となっています。

平均工賃(賃金)
月額時間額
就労継続支援A型(対前年比)81,645円 (102.5%)926円 (103.0%) 
就労継続支援B型(対前年比)16,507円 (104.6%)233円 (105.0%) 
(厚生労働省 令和3年度工賃(賃金)の実績についてより作成)

就労継続支援A型・B型事業所の利用時間・労働時間の違い

就労継続支援A型・B型事業所の利用者の1日あたりの平均利用時間は、就労継続支援A型・B型事業所ともに『5時間以上8時間未満』が最多となっています。

また、就労継続支援A型は『3時間以上4時間未満』が3%にとどまっているのに対し、就労継続支援B型は12.2%となっており、就労継続支援B型の方が短時間の利用者が多いことが分かります。

(出典:厚生労働省 平成27年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査 (平成29年度調査)事業

就労継続支援A型・B型事業所の利用者の違い

就労継続支援A型・B型事業所ともに、全体のうち半数以上が『40歳以上』の利用者となっています。

一方、利用割合が多い障害種別には違いがあります。就労継続支援A型事業所は精神障害のある人が全体のうち『49.7%』となっていますが、就労継続支援B型事業所は知的障害のある人が全体のうち『48.2%』を占めています。

(参考:厚生労働省 就労継続支援A型に係る報酬・基準について就労継続支援B型に係る報酬・基準について

就労継続支援A型・B型事業所の利用期間の違い

就労継続支援A型事業所よりも、就労継続支援B型事業所の方が長い期間利用する利用者が多いです。

厚生労働省によると、就労継続支援A型事業所の2017年における利用期間は、2年超3年未満が最多で37%となっています。

(厚生労働省 就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準についてより作成)

一方、就労継続支援B型事業所の2017年における利用期間は、3年超が59.3%と、半数を超える利用者が3年以上利用をしています。

(厚生労働省 就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準についてより作成)

就労継続支援A型・B型事業所の活動内容の違い

就労継続支援A型事業所とB型事業所の活動内容に大きな違いはありませんが、就労継続支援B型事業所では内職や軽作業、部品・機械組⽴といった活動が多い傾向にあります。

就労継続支援A型・B型事業所の活動内容の例
  • 清掃・施設管理
  • 部品機械組⽴
  • リサイクル事業
  • 農作業
  • 飲⾷店・喫茶店等の運営
  • 菓⼦製造
  • パン製造
  • 内職
  • 軽作業
  • 郵便物の封⼊・仕分・発送
  • 情報処理・IT関連

就労や訓練に関する障害福祉サービスの種類

ここでは、就労継続支援A型・B型事業所や就労移行支援事業所などの就労や訓練に関する障害福祉サービスの種類やその目的などについて改めてご紹介していきます。

就労系障害福祉サービスの一覧
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 就労移行支援
  • 就労定着支援
  • 自立訓練(機能訓練)
  • 自立訓練(生活訓練)

就労継続支援A型とは

就労継続支援A型とは、一般企業等で働くことが難しい障害がある人等が、雇用契約を結んで就労の機会を得るとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行うサービスです。

就労継続支援A型事業所で働く中で、一般就労に必要な知識や能力が高まった場合は、一般企業で働くためのサポートを受けることもできます。

就労継続支援B型とは

就労継続支援B型とは、一般企業等で働くことや雇用契約に基づく就労が難しい障害のある人が、就労の機会を得るとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行うサービスです。

就労継続支援B型事業所へ通う中で、一般就労に必要な知識や能力が高まった場合は、一般企業で働くためのサポートを受けることもできます。しかし、先ほどご紹介したとおり一般就労への移行者割合は令和3年度時点で『10.1%』と、他の就労系障害福祉サービスに比べると低くなっています。

就労移行支援とは

就労移行支援とは、一般企業等で働くことを希望する障害のある人が、訓練や実習等を通して、適性に合った職場への就労や定着を目指すサービスです。

就労に必要な知識やスキル向上のためのトレーニングや、個々の適性に合った職場選び、就職後も職場での定着のために必要な相談などのサポートを受けることができます。

就労定着支援とは

就労定着支援とは、就労移行支援や就労継続支援等から一般就労へ移行した障害のある人が、就労に伴う生活面の課題に対応するためのサポートを受けることができるサービスです。

就労定着支援のスタッフが月に1回以上、自宅や就職先の企業等を訪問することになっており、利用者は日常生活や社会生活面の悩みをスタッフに相談し、解決のためのサポートを受けることができます。

自立訓練(機能訓練)とは

自立訓練(機能訓練)とは、地域生活を営む上で一定期間の訓練が必要な障害のある人が、身体機能や生活能力の維持・向上等のためのサポートを受けることができるサービスです。

事業所で理学療法や作業療法などのリハビリテーションや、生活に関する相談やアドバイスを受けることができるほか、スタッフに居宅を訪問してもらい訓練等を受けることもできます。

自立訓練(生活訓練)とは

自立訓練(生活訓練)とは、地域生活を営む上で一定期間の訓練が必要な障害のある人が、生活能力の維持・向上などのためのサポートを受けることができるサービスです。

事業所で入浴や排せつ、食事などに関する訓練や、生活等に関する相談やアドバイスを受けることができるほか、スタッフに居宅を訪問してもらい、日常生活動作能力の維持・向上を目的とした訓練等を受けることもできます。

就労継続支援A型とB型、どちらを利用すればいい?

就労継続支援A型事業所とB型事業所のどちらのサービスを利用すればいいのか分からないと感じている方もいるかもしれません。

人によって障害も働くことへの希望も様々ですので一概には言えませんが、ここでは一般的にどんな人にどのサービスが向いているのかご紹介していきます。

就労継続支援A型事業所がおすすめな人

  • すぐに一般企業で働くのは難しいかもしれないが、適切な配慮を受けながらいずれは一般就労を目指したい
  • 就労移行支援を利用したが、一般企業等への就職に結びつかなかった
  • 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、一般企業等への就職に結びつかなかった
  • 雇用契約を結んで最低賃金以上の工賃をもらいながら働く機会がほしい

就労継続支援B型事業所がおすすめな人

  • まずは生活リズムを整えたい、労働時間の制約がゆるいところからはじめたい
  • 企業や就労継続支援A型での就労経験があるが、年齢や体力の面で就職が難しい
  • 障害基礎年金1級を受給している
  • 就労移行支援事業者によるアセスメントで、就労に関する課題等の把握が行われている

就労継続支援A型・B型ともに、それぞれの事業所に様々な特色があり、スタッフや利用者によって雰囲気も変わってきます。

デイゴー就労支援ナビでは、スマートフォン・PCからお近くの就労継続支援A型・B型事業所の特徴や平均工賃・労働時間などの比較検討を行うことができますので、ぜひご活用ください。

最後に

ここまで、就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所の違いについて、工賃や利用時間、利用者の年齢や障害種別などの観点から比較をしてきましたが、いかがでしたか。

障害の状態や年齢・体力面の違い、一般企業で働くことへの自身の希望などによって、どのサービスを選ぶのかが変わってきます。

適切な事業所を選ぶためにも、デイゴー就労支援ナビをぜひご利用ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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