障害者雇用の転職・退職理由の伝え方と例文|前職やブランクの説明対策

障害者雇用枠での転職活動において、多くの求職者が頭を悩ませるのが、前職の退職理由の伝え方です。

体調不良や人間関係の悩みといったネガティブな理由や、職歴にブランク(空白期間)がある場合、「面接で正直に伝えるとマイナス評価になるのではないか」と不安に思う方も多いでしょう。

しかし、退職理由そのものが直接の不採用につながるわけではありません。

大切なのは、過去の経験をどのように受け止め、次の職場でどう活かそうとしているかという「伝え方」です。

この記事では、障害者雇用枠での転職時における退職理由の正しい考え方や、面接・書類でそのまま参考にできるケース別の例文をご紹介します。

目次

障害者雇用の転職で前職の退職理由が重視されるワケ

履歴書などの書類選考や面接において、企業が退職理由を必ず確認するのには明確な意図があります。主に以下の2つのポイントを見極めるためです。

① 自社で長く定着して働けそうか(早期離職の防止)

  企業は採用したからには長く安定して働いてほしいと考えています。 そのため、前職と同じ理由でまたすぐに辞めてしまわないかを最も気にしています。

 退職理由を通じて、求職者仕事に対する価値観、困難に直面した際の対処法を確認しているのです。

②自社で適切な配慮を提供できるか(マッチングの確認)

  障害者雇用において、企業側はどのような配慮があれば能力を発揮できるのかを知る必要があります。

  退職理由を知ることは、自社の環境や業務内容と照らし合わせ、当社の環境なら問題を解決できそうか、必要な配慮を提供できるかを判断する重要な材料になります。

障害者雇用における退職理由のポジティブな伝え方

ネガティブになりがちな退職理由を、面接官に好印象を与える形に変換するには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。

① 嘘はつかず、客観的な事実として伝える

まず、自分を良く見せようとして嘘の理由を伝えるのはNGです。説得力のある説明にするためには、以下の2点を整理して伝えることがポイントです。

  • どのような状況があったのか(事実)
  • それを自分がどう受け止めたのか(捉え方)

また、退職理由が今回の転職先で求める配慮につながる場合は、同じ状況を繰り返さないための対策もあわせて伝えましょう。

課題に対してどう向き合うかを示すことで、「過去の経験をしっかり自己分析できている」という評価につながり、企業側に採用への安心感を与えることができます。

② 人や環境のせいにしない

上司の理解がなかった、会社の制度が悪かったなど、すべてを他人の責任にする発言は、入社後も周囲のせいにして不満を持つのではないかと懸念されます。

自分なりに工夫はしたが改善に至らなかったなど、主体的に取り組んだ姿勢を見せましょう。

③ 反省と今後の対策(配慮事項)をセットにする

退職理由を伝えた後は、必ず未来に向けた前向きな言葉で締めくくります。

この経験から何を学んだのか、次の職場ではどのように対処したいか、そして貴社にはどのような配慮をお願いしたいかを論理的に伝えることで、ポジティブな印象を与えられます。

【ケース別】障害者雇用の退職理由・転職理由の例文

ここでは、よくある退職理由ごとに、面接で使える具体的な例文と解説をご紹介します。

例文を参考に、ご自身の状況に合わせてアレンジしてみてください。 

人間関係が原因で前職を退職した場合の例文

人間関係のトラブルは「コミュニケーションのミスマッチ」と言い換え、改善努力とセットで伝えます。

【例文】 

「前職では口頭での曖昧な指示が多く、特性上、理解に時間がかかり業務に支障が出ることがありました。

メモを取り確認に努めましたが、スピードが求められる環境で連携が上手く図れず退職いたしました。

この経験から、テキストや数値での明確な指示が安定就業に不可欠だと理解しました。

チャット中心の貴社であれば、強みである正確な事務処理能力を活かして貢献できると考えております。」

体調不良・障害の悪化で退職した場合の例文

現在は回復して安定していることと、今後の自己管理対策を明確に伝えることが最も重要です。

【例文】

  「前職では残業で無理を重ねた結果、体調を崩し退職いたしました。

現在は〇ヶ月の療養を経て、主治医からも週5日のフルタイム勤務の許可が出ており、体調は安定しております。

前職の反省から、現在は睡眠と服薬の管理を徹底し、体調の波を記録しています。

不調のサインを感じた際は、一人で抱え込まず早めに相談することを心がけております。」

休職期間や退職後の空白期間(ブランク)の伝え方

ブランクがある場合は、ただ休んでいたのではなく、働くための準備期間だったと前向きに説明します。

【例文】

 「前職を退職してからの約半年間は、体調の回復と、長く安定して働くための準備期間に充てておりました。

最初の3ヶ月は治療に専念し、体調が安定してからの直近3ヶ月は、就労移行支援事業所に毎日通所しております。

事業所ではPCスキルの基礎を学び直しやMOS資格の取得に加え、模擬業務を通じて疲労のサインに気づく訓練も行いました。

現在は働く準備が整っており、すぐに業務に取り組める状態です。」

業務内容のミスマッチで退職した場合の例文

自分の特性(得意・不得意)を客観的に分析できていることをアピールします。

【例文】

 「前職の接客販売ではマルチタスクが求められ、『一つの作業に集中し正確にこなす』という特性とミスマッチが起きてしまいました。

配置転換も難しかったため退職を選択しました。この経験から、定型業務をコツコツ進める環境が自分に合っていると再認識いたしました。

貴社のデータ入力業務であれば、集中力と正確性を最大限に活かして貢献できると考えております。」

面接と書類(履歴書・職務経歴書)での退職理由の伝え方の違い

退職理由は、履歴書・職務経歴書などの書類と、実際の面接とで伝えるべきボリュームや深さが異なります。ポイントをそれぞれ解説していきます。

書類(履歴書・職務経歴書)での書き方

履歴書の退職理由欄は、原則として「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」といった定型句の記載で問題ありません。

 もし職務経歴書の自己PR欄などに記載する場合は、詳細なネガティブエピソードは避け、「体調を崩し退職しましたが現在は回復し安定就労が可能です」など、1〜2文程度で簡潔かつ前向きな理由のみを記載しましょう。

面接での伝え方

面接では、書類には書けなかった具体的な背景を面接官から深掘りされます。

書類に書いた簡潔な理由と矛盾しないように、前項の例文のように「原因 + 反省 + 今後の対策(配慮事項)」のストーリーを組み立て、自分の言葉で1分程度で分かりやすく説明できるように準備しておきましょう。

まとめ:退職理由の例文を参考に、障害者雇用の転職を成功させよう

前職の退職理由やブランクは事実であるため、変えることはできません。

しかし、その経験から何を学び、これからどうしていきたいかという「伝え方」は、あなたの工夫次第でいくらでもポジティブに変換することができます。

退職理由を整理する際は、仮に自分が採用担当者や一緒に働く同僚だとしたら、その理由を読んだり聞いたりしてどう感じるか、客観的な視点を持ってみましょう。

これまでのポイントに共通して大切なのは、以下の2点です。

  1. 企業側に「この人なら安心して長く仕事を任せられそう」と思ってもらうこと
  2. ご自身の特性の理解と、働き続けるための「具体的な対策」をセットにして提示すること

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この記事を書いた人

かべなし求人ナビ・就労支援ナビ編集部は、障害や難病のある人が働く上で役立つ情報や、障害者雇用にまつわる情報、就労移行支援・就労継続支援A型・B型における事業所運営のノウハウを発信しています。就労移行支援事業所の管理者経験者も在籍し、有識者にもご協力いただいています。

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