就労移行支援事業所の経営者・管理者・サービス管理責任者の皆さんの中には、「どうやったらもっと利用者を獲得できるの?」や「関係機関からの紹介だけでなく、他の集客方法を増やすにはどうすればいいの?」といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、就労移行支援事業所で利用者を集めるためのポイントや、具体的な集客方法を6つご紹介していきます。
就労移行支援事業所で利用者集め・集客が大切な理由
就労移行支援事業所は、利用期間が原則として最大2年(24ヶ月)までと決められており、新規の利用者を獲得し続けなければならないフロー型のビジネスモデルとなっています。厚生労働省によると、就労移行支援事業所の就職者の平均利用月数は『15.9ヶ月』です(2017年度)。
また、東京都福祉保健局の調査によると、東京都における就労移行支援事業所の就職者の利用期間は1年以上1年6ヶ月未満が28.6%と最多になっています(2020年度)。このように1年と数ヶ月のスパンで利用者が卒業していくため、安定的な経営をするためにも新規の利用者獲得に力を入れることが大切になってきます。
利用者獲得のほかに、企業開拓や就職後の定着率も事業所運営をする上で大事なポイントとなってきますが、詳しくはこちらの記事をお読みください。
(参考:厚生労働省 就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について、東京都福祉保健局 令和3年度就労移行等実態調査)
就労移行支援事業の市場の動向
就労移行支援事業の市場の動向はどうなっているのでしょうか。厚生労働省によると、就労移行支援事業所の利用者数は過去8年間で増加傾向にあり、需要は増しているように見えます。
一方で、就労移行支援事業所の事業所数の推移を見ると、2017年に最多の3,357事業所となって以来、全国の事業所数は頭打ちとなっています。利用者数が増えているにもかかわらず、それに伴って事業所数が増えていないことから、利用者獲得や定着率アップ等に力をいれなければ、就労移行支援事業所の運営を継続していくことは簡単ではないことがうかがえます。
就労移行支援事業所の平均利用者数と利用率
利用者集客の目標を立てる際の参考までに、就労移行支援事業所の1日あたりの平均利用者数は「1~5人」が38.1%と最多で、次いで「6~10人」が23.5%、「16~20人」が17.3%となっています。
また、就労移行支援事業所の利用率(1日平均利用者数÷登録者数)は「71~80%」が24.7%と最多で、次いで「91~100%」が23.5%、「81~90%」が19.8%となっており、半数以上の事業所が70%以上の利用率を維持していることが分かります。
利用者はどのように就労移行支援事業所を知るのか?
利用者が就労移行支援事業所を知るきっかけは、以下のように様々な経路があります。
- 病院・クリニック
- デイケア
- 障害者就業・生活支援センター
- 計画相談支援事業所
- 特別支援学校
- ハローワーク
- 就労継続支援A型事業所
- 就労継続支援B型事業所
- 訪問看護事業所
- フリースクール
- イベント
- 口コミ
- Web広告
- SNS
- ホームページ
- 集客メディア
利用者を集めるためには、こうした様々な集客経路に対して、後ほどご紹介するような方法でアプローチしていくことが大切になります。
就労移行支援事業所が利用者を集めるためのポイント
就労移行支援事業所が利用者を獲得するためのポイントは、営業や広報活動を行う前に競合となる事業所を分析し、競合と差別化するために自事業所のコンセプトや強みを明確にすることです。
就労移行支援事業所の強み・差別化ポイントの例は以下のようなものが考えられます。
- 駅から近い
- 最寄り駅から事業所までバリアフリー環境が整っている
- 実習先や就職先として、様々な企業とのコネクションがある
- 一般就労移行率が高い
- 就職後の定着率が高い
- 特定の障害種別の支援実績が豊富
- 就労定着支援を併設している
- ITに特化している
- 食費の補助がある
- 交通費の補助がある
就労移行支援事業所の集客方法6選
自事業所の強みが明確になったら、利用者獲得のために具体的に動いていきます。ここでは、就労移行支援事業所が利用者を集めるための集客方法を6つご紹介していきます。
- チラシ・パンフレットの作成・送付(DM)
- 訪問による営業
- SNSでの発信
- GoogleのMEO(Map Engine Optimization)対策
- Web広告の出稿
- ホームページの作成
集客方法①チラシ・パンフレットの作成・送付(DM)
関係機関や見込み客に自事業所の強みやコンセプトが伝わるようなチラシ・パンフレットを作成します。チラシ・パンフレットには以下のような内容を盛り込みましょう。
- 事業所の理念
- サービス内容
- 事業所の強み・アピールポイント
- 問い合わせ先(電話、メール、FAXなど)
- スタッフ紹介
- 営業時間
- 事業所の場所・アクセス方法
- 運営会社
- 利用料金
- 就職実績
作成したチラシ・パンフレットは、病院や障害者就業・生活支援センター、計画相談支援事業所等の関係機関に郵送します。
集客方法②訪問による営業
アポイントなしで訪問営業を行うと、相手先に迷惑と感じられる恐れがあるため、できるだけ事前に電話やメールでアポイントを取るのが無難でしょう。
チラシやパンフレットを送付したあとに関係機関に電話をかけた方が、チラシやパンフレットが話のきかっけになり、訪問の約束を取り付けやすくなります。
特にクリニック併設の薬局や病院では、就労移行支援の利用者となりそうな人が訪れる可能性が高いため、チラシやパンフレットを設置させていただけないかお願いしてみましょう。
集客方法③SNSでの発信
関係機関からの紹介だけでなく、利用者が自分で就労移行支援事業所を探して問い合わせをする場合もあります。
その際に、SNSでの発信を行っていると、利用者が事業所での活動内容やスタッフの雰囲気を事前に知ることができるため、問い合わせのハードルが低くなります。
YoutubeやTikTokなどの動画系のSNSはコンテンツの制作に手間と時間がかかりますが、XやFacebookは文字と写真が中心のため、比較的始めやすいです。
- Youtube
- TikTok
- X(旧Twitter)
集客方法④GoogleのMEO(Map Engine Optimization)対策
最近ではGoogle Mapといった地図アプリで直接事業所の場所と詳細を検索する利用者もいます。例えば地図アプリで「新宿 就労移行支援」と検索したときに、一番上に表示される事業所の方が利用者が閲覧する割合も高くなります。
そのような中で事業所を見つけてもらい、問い合わせをしてもらうために有効なのが、MEO対策です。MEOは、Map Engine Optimization(マップ検索の最適化)の略称で、地図アプリの検索結果で上位に表示されるようにするための取組みのことをいいます。
MEO対策の具体的な方法は様々ありますが、事業所の写真や動画を充実させることや口コミを集めること、ビジネスプロフィール情報を充実させることが挙げられます。
集客方法⑤Web広告の出稿
利用者がインターネットで就労移行支援事業所を探しているときに自事業所のホームページを見てもらうためには、Google広告やYahoo広告といったWeb広告への出稿も有効です。
例えば、「品川駅 就労移行支援」と検索したときに、リスティング広告に出稿している場合、自然検索(広告枠ではない検索結果)よりも上位表示されるため、利用者が閲覧する可能性が高くなります。
ただし、人気のキーワードほど広告費用が高くなる傾向にあるほか、問い合わせにつながらなくてもクリックをされるだけで費用が発生してしまうなど、集客のための費用対効果がよくない場合もあります。
集客方法⑥ホームページの作成
自事業所のホームページを作成して公開すると、利用者がインターネットで検索したときにホームページへの流入や問い合わせにつながる可能性があるほか、利用者・関係機関に事業所の詳細な情報を確認してもらうことができます。
一方、見やすいホームページを作成するためには初期費用や時間がかかるほか、SEO対策を適切に行わなければ検索結果に上位表示されないため流入が期待できない場合も多いです。
就労移行支援事業所の集客・利用者集めをお手伝いします
Web広告への出稿やホームページの作成といったインターネットを利用した集客は、無駄な費用が発生してしまったり、適切な知識がないと効果がでなかったりすることも多いです。
事業所検索サイトデイゴー就労支援ナビは、事業所を探す利用者や関係機関に対して、全国の就労系障害福祉サービスの施設情報を網羅的にわかりやすく公開することで、利用者集めにお困りの事業所の集客をお手伝いします。
掲載費用は0円からとなっていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
最後に
ここまで、就労移行支援事業所で利用者を集めるためのポイントや、様々な集客方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
安定的に利用者を獲得し続けるためには、関係機関からの紹介だけでなく、そのほかの集客経路を増やして事業所の認知を高めていくことが大切になっていくでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。