就労継続支援A型で仕事を受注するためには?仕事がない原因と対策を紹介

就労継続支援A型事業所の経営者・サービス管理責任者・管理者の皆さんの中には、「就労継続支援A型で受けられる仕事がない」や「どうすれば仕事を受注できるの?」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、就労継続支援A型事業所で受注できる仕事がない原因と対策、仕事を受注するための具体的な手段についてご紹介していきます。

目次

就労継続支援A型は2024年度報酬改定で仕事の確保が急務に

就労継続支援A型事業所の2024年度(令和6年度)の報酬改定では、

  • 生産活動収支が賃金総額を上回った場合には加点、下回った場合には減点
  • 経営改善計画に基づく取組みを行っていない場合は減点
  • 経営改善計画書未提出の事業所および数年連続で経営改善計画書を提出しており、運営基準を満たすことができていない事業所は、経営改善計画に基づく取組を行っていない場合に減点

といったスコア方式の項目の見直しが行われました。

生産活動収支が賃金総額を下回る事業所は評価点が減点され、基本報酬が下がる可能性があるため、より一層、請負・受託業務や施設外就労先を確保することが急務となってくるのではないでしょうか。

就労継続支援A型事業所で受注する仕事がない原因と対策

就労継続支援A型事業所にとっては厳しい報酬改定が行われた一方で、受注する仕事がないと困っている事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

就労継続支援A型事業所で仕事を受注するのが難しい原因は、以下の4点が考えられます。

就労継続支援A型事業所で受注する仕事がない原因
  1. 発注元となる企業に事業所の存在や特徴を知られていない
  2. 事業所の営業力が弱い
  3. 他事業所やクラウドワーカー等の競合と比べて強みや特徴がない
  4. 事業所の規模が小さく受けられる仕事の幅が狭い

それでは、一つひとつ詳しく見ていきましょう。

原因①発注元となる企業に事業所の存在や特徴を知られていない

事業所で得意とする仕事・サービス内容を必要としている企業に、事業所の存在を認知してもらわなければ、就労継続支援A型事業所で仕事を受注することはできません。

ですから、ご自身の事業所で受託・請負をすることができる仕事内容を必要としている企業がいるにもかかわらず、プロモーション不足で事業所の存在を知られていないため、仕事の受注につながっていない可能性も考えられます。

企業に事業所の存在や特徴を知られていないことへの対策

対策としては、就労継続支援A型事業所のプロモーションや情報発信の方法を見直すことが考えられます。

自治体の共同受注窓口に登録して仕事を依頼されるのを待つだけでなく、ホームページの作成やDMの郵送など、様々な手段で企業と接触できる機会を増やしましょう。具体的な手段についてはこの記事の後半で詳しくご紹介します。

原因②事業所の営業力が弱い

新たな仕事を受注するためには、顧客となってくれそうな企業にアプローチをし、自事業所の強みや就労継続支援A型事業所に仕事を任せるメリットなどを伝え、請負・受託契約を結ぶといった一連の営業活動を行う必要があります。

自事業所が提供している仕事・サービスをそもそも必要としていない企業に対してアプローチしている、うまく自事業所の強みやメリットを言語化して企業に対して伝えきれていないといった営業力不足により、仕事を受注できていない場合もあるでしょう

営業力が弱いことへの対策

対策としては、営業のプロセスの中でも特にうまくいっていない部分を見つけて、改善することが考えられます

例えば、新規でアポイントをとるのに苦労している場合、一度でも接点があった相手の方がテレアポの成功率は上がると一般的に言われているため、

  • 地域の商工会や異業種交流会で名刺交換をした相手へ電話をかける
  • 面識のない企業にはDMを郵送してから電話をかける

といった活動をしてみましょう。

原因③他事業所やクラウドワーカー等の競合と比べて強みや特徴がない

自事業所と同じような作業の請負・受託をしている他事業所やクラウドワークス等の競合と比較して、自事業所に強みや特徴がない場合、競合に競り負けてしまう場合もあります

例えば封入・発送業務の場合、就労継続支援事業所だけでなく民間の封入・発送代行サービスも競合となります。そうした競合と比較したときに、「価格が低い」や「最低依頼部数が少ない」、「デザイン修正もできる」といった強みがないと、企業から仕事を受注できる可能性は小さいです。

競合と比べて強みや特徴がないことへの対策

対策としては、競合となる事業者をリストアップしてみて、優れている点と弱みだと思える点を把握し、自事業所の提供している仕事・サービスでどんな部分を伸ばせば差別化できるのか探すことが考えられます。

例えば、競合の事業者が仕事を依頼するまでの問い合わせの手続きが煩雑な場合、簡単に見積りをできるように事業所のWebサイトを見直すといった改善をすると、差別化につながります。

原因④事業所の規模が小さく受けられる仕事の幅が狭い

受注する作業内容にもよりますが、事業所の規模が小さかったり、事業所の利用者が少なかったりすると、企業が仕事を任せられない場合もあります

例えば封入・発送業務の場合、一営業日以内に10万部のDMの封入・発送をできる事業者を探している企業は、「定員が20人や30人の事業所の規模が小さい事業所では間に合わなさそうだな」と判断してしまう可能性が大きいです。

事業所の規模が小さいことへの対策

対策としては、規模が小さな事業所どうしで連携することが考えられます

例えば、同じ種類の業務を行っている事業所間で連携することで、大規模案件の契約を結びたい企業に対しても、「事業所連携により人手が足りているため、期限までに納品できる」とアピールすることが可能になります。

就労継続支援A型事業所が仕事を受注する方法・手段

ここからは、就労継続支援A型事業所が仕事を受注するための具体的な手段について、事業所の認知拡大や企業とのマッチングといった観点から、いくつかご紹介していきます。

ホームページを作ってアピールする

就労継続支援A型事業所の利用者向けのホームページだけでなく、仕事を依頼したい企業向けのページを追加してみましょう。

企業向けのページには、

  • 受注できる業務内容や費用
  • 仕事受注の実績
  • 自事業所の強み・特徴
  • 自事業所のターゲット
  • 就労継続支援A型事業所に仕事を依頼するメリット(地域への社会貢献、SDGs)

を分かりやすく記載します。

ただし、見やすいホームページを作成するためには初期費用や時間がかかるほか、SEO対策(検索エンジン最適化)を適切に行わなければ検索結果に上位表示されないことに注意が必要です。

Web広告へ出稿する

作成した就労継続支援A型事業所のホームページを企業に閲覧してもらうためには、リスティング広告やディスプレイ広告といったWeb広告への出稿も有効です。

例えばリスティング広告の場合、「DM 封入 代行」と検索したときに検索結果ページに自事業所の広告を掲載することができるので、封入代行業者を探している企業にホームページを閲覧してもらえる可能性が大きいです。

ただし、人気のキーワードほど広告費用が高くなる傾向にあるほか、配信を続ける限り広告費用がかかる点に注意が必要です。

SNSを活用して繋がりを広げる

X(旧Twitter)やInstagramといったSNSを通じて情報発信を行ってファンが増えると、自事業所を知ってもらえる機会が増えるほか、自事業所のホームページへの流入を促して仕事の受注につながる可能性もあります。

SNSのアカウント作成や情報発信は基本的に無料で行うことができますが、フォロワー数を増やすまでは一定の時間がかかります。

SNSの例
  • Instagram
  • X(旧Twitter)
  • Youtube
  • TikTok
  • Facebook

クラウドソーシングサービスで新規案件を獲得する

クラウドソーシングは企業がインターネット上で不特定多数の人に業務を発注する業務形態で、企業が委託したい業務の内容を開示して、受注希望者を募るパターンが一般的となっています。

クラウドソーシングサイトによって受注できる仕事の種類に違いがある場合もありますが、

  • プログラミング
  • ライティング
  • デザイン
  • 動画編集
  • 音楽制作

といった業務を受注することができます。

就労継続支援A型事業所の利用者集めをお手伝いします

就労継続支援A型事業所で仕事を受注するためには、仕事をこなす人材が十分にいることも大切なポイントになってきます。

事業所検索サイトデイゴー就労支援ナビは、事業所を探す利用者や関係機関に対して、全国の就労系障害福祉サービスの施設情報を網羅的にわかりやすく公開することで、利用者集めにお困りの事業所の集客をお手伝いします。

掲載費用は0円からとなっていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

最後に

ここまで、就労継続支援A型事業所で受注できる仕事がない原因と対策、仕事を受注するための手段についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

仕事を受注できない原因は事業所によって違いがあるため、まずは原因をいくつかピックアップし、一つひとつ解決のための具体策を考えてみてください。この記事でご紹介した内容が皆様の事業所運営のお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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