農業を経験できる就労移行支援をご紹介!広がる農福連携

障害や病気があり働くことが難しい方中には、「就労移行支援で農業を経験したら、就職につながるの?」や「就労移行支援の農作業ではどんなことをするの?」といった疑問を持っている方もいるかもしれません。

この記事では、農業を経験できる就労移行支援事業所をご紹介するほか、農業を経験できる就労移行支援の利用者の就職先や、就労移行支援で農業を行う目的を説明していきます。

目次

なぜ就労移行支援で農業を行うの?就職につながる?

就労移行支援は、障害や病気がある人が一般企業等に就職するために必要な訓練やサポートを提供するサービスで、一部の事業所ではプログラムの中に農業が取り入れられているところもあります。

就労移行支援で農業を行う理由は事業所によって様々ですが、

  • 日光を浴びて体を動かすことで、生活リズムが整い、体力が向上する
  • 自然と触れ合うことでストレスが軽減する
  • 作業や販売などを通して自己理解が深まり、自分に合った仕事を探しやすくなる

といった目的があります。

農業を取り入れている就労移行支援の就職先の例

農業を取り入れている就労移行支援では、農業だけでなく、生活リズムの改善やビジネマナー、PCスキルといった就職のためのプログラムを行っているところがほとんどです。

そのため、就職先は農業だけでなく、一人ひとりにあった様々な就職先を探すことができます。

あくまで一例ですが、農業を取り入れている就労移行支援の利用者の就職先の具体例をご紹介します。

農業を取り入れている就労移行支援の就職先の例
  • 農業法人やJA等の農業関連
  • 事務関連
  • 介護・保育等の専門職関連
  • プログラマーやライター等のクリエイティブ関連
  • 接客・販売関連
  • 軽作業関連

農業関連の就職先は、農場を経営している農業法人やJA以外にも、障害者雇用枠で民間企業の特例子会社で働く場合もあります。

特例子会社は、企業が障害のある人の雇用を促進する目的で作る子会社のことです。2022年6月時点で579社の特例子会社が設置されており、少なくとも51社が農業活動を行っています。

広がる!農福連携とは?

「農福連携」は、障害のある人が農業分野での活躍を通じ、自信や生きがいを持って社会参加や就労を実現していく取り組みのことです。

国や農林水産省が農福連携の取り組みを推進しており、2024年6月に開催された農福連携等推進会議では、2030年度末までに農福連携に取り組む主体数を12,000以上に倍増する目標が掲げられ、今後、取り組みはさらに広がっていくことが予想されます。

就労移行支援ではどんな農作業ができるの?

就労移行支援では、事業所が所有している畑で農作業をする場合と、外部の農場に出向いて農作業をする場合があります。

季節や作物によって行う作業は変わりますが、以下に具体的な例を挙げてみます。

就労移行支援で行う農作業の例
  • 土壌の準備
  • 種まきや苗の植え付け
  • 雑草取りや害虫駆除
  • 果樹の剪定・受粉
  • 収穫
  • 収穫物の選別

こうした農作業の他にも、事業所によっては訓練の一環として収穫した作物の販売まで行っているところもあります。

農業を経験できる就労移行支援事業所

ここからは、農業を経験できる就労移行支援事業所を2つご紹介していきます。

ここでは一例として東京都や大阪府、埼玉県の就労移行支援事業所を挙げていますが、デイゴー就労支援ナビではお住まいの市区町村や駅から、就労移行支援事業所を探すことができます。

エシカルベジタブルス八王子

エシカルベジタブルス八王子のポイント
  • 種まきから収穫まで、野菜作りの一連の作業を経験
  • Webマーケティングのプロから教わりながら野菜をインターネットで販売
  • 昼食を無料で提供

ニコサービス城東センター

ニコサービス城東センターのポイント
  • 野江駅・関目駅より徒歩7分
  • 農業や食品加工に特化したグループ内の就労継続支援B型事業所でも訓練が可能
  • 簿記やパソコンなどの資格取得のカリキュラムが充実

Be happinessとおり町

Be happinessとおり町のポイント
  • 施設外作業として農作業のプログラムあり(不定期)
  • 平均利用期間は12ヶ月
  • 川越駅より徒歩10分

都道府県別!おすすめの就労移行支援事業所

都道府県ごとにおすすめの就労移行支援事業所をまとめていますので、こちらも合わせてご覧ください。

おすすめの就労移行支援事業所の選び方

プログラムに農業があること以外にも、就労移行支援事業所を選ぶ際には、いくつか比較のポイントがあります。

通い始めてから「雰囲気が合わないな」や「聞いていたのと違う」といったミスマッチが起こる場合もありますので、事前にこれらのポイントについて確認しておくのがおすすめです。

ポイント①就職先や就職人数

農業に興味がある人の場合は、農業法人やJA、農業を行っている特例子会社へ就職した利用者がいるかどうかを確認しておいた方がよいでしょう。こうした実績がある場合、農業関連の企業への就職活動のサポートが得意な場合があるためです。

また、利用定員に対して毎年どのくらいの利用者が就職しているのかも確認しておきましょう。定員に対して就職人数があまりにも少ないと感じた場合は、見学や体験のときに事業所へ質問してみるのがいいかもしれません。

ポイント②就職後の職場定着率

就労移行支援事業所の利用者が就職したあとに、どのくらいの割合で職場へ定着しているのかを示すのが職場定着率です。

職場定着率が高い事業所の方が、一人ひとりに合った就職先を見つけるための支援をしてくれる可能性が高いほか、就職後の定着サポートも丁寧である場合が多いです。

ただし、「就職後6ヶ月に利用者が働き続けている割合」や「定着支援サービスを利用した人の中で働き続けている割合」など、職場定着率は事業所によって定義が異なる場合があるため注意が必要です。

ポイント③平均利用期間

平均利用期間は、就労移行支援事業所を利用した人が就職するまでの期間の平均をあらわしたものです。

「できるだけ早く就職したい」という気持ちを持っている人は、平均利用期間が短い事業所を選んだ方がいいとも言えますが、自己理解や体調管理に思ったよりも時間がかかることや、ご自身の納得のいく就職をするために時間がかかることを考慮しておきましょう。

平均利用期間が短くても、ミスマッチなく、働き続けられるような就職がかなう事業所なのかどうかを見極めることが大切です。

ポイント④駅からの距離・通いやすさ

就労移行支援の利用者のうち、就職者の平均利用月数は『15.9ヶ月』となっています。1年以上継続的に事業所へ通うことになるため、人によっては駅からの距離も事業所選びのポイントになります。

ポイント⑤交通費や昼食の支給の有無

就労移行支援事業所に通う間は原則、アルバイトなどで働くことができないため、生活費に不安を感じる人もいるかもしれません。安心して事業所に通い続けてもらうために、交通費の補助や昼食の提供を行っている事業所もあります。

就労移行支援に関するよくある質問

就労移行支援はどんな人が利用対象?

就労移行支援事業所は、以下の4つの条件を満たしている人が対象者とされています。

就労移行支援事業所の対象者
  1. 一般就労を希望している
  2. 障害・難病がある
  3. 65歳未満である
  4. 適性に合った職場への就労等が見込まれる

また、障害者手帳を持っていない場合でも、主治医の意見書等があれば就労移行支援を利用することができます。

就労移行支援では給料をいくらもらえるの?

就労移行支援は、就職するために必要な知識やスキルを身に付けたり、サポートを受けながら自分にあった職場を探したりすることを目的としたサービスのため、原則として給料は支払われません。

ただし、企業から仕事を受託している事業所等の場合、作業した分だけ工賃としてお金を受け取ることができるところもあります。

就労移行支援を利用できる期間は限られているの?

就労移行支援は利用期間に期限が設けられており、原則として最大2年(24ヶ月)までとなっています。

ただし、2年間の標準利用期間が経過してしまった場合でも、市町村による個別審査で必要性が認められた場合は、最大1年間、利用期間を更新することができます。

最後に

この記事では、農業を経験できる就労移行支援事業所をご紹介するほか、農業を経験できる就労移行支援の利用者の就職先や、就労移行支援で農業を行う目的を説明してきましたが、いかがでしたか。

就労移行支援事業所は原則、2年間しか利用することができません。スタッフとの相性が合わなかった、自分の希望とは違う職種で実習にいかなければならなかったなど、まれに利用者と事業者の間でミスマッチが起こり、事業所を変える人もいます。こうしたミスマッチを防ぐためにも、事前に2~3事業所の見学・体験に行き、通いやすさや事業所の雰囲気などを確かめてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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