障害者雇用での転職活動を始める際、多くの人が最初に壁を感じるのが職務経歴書の作成です。
「実務経験が浅いから、書くことがない……」
「自分の障害内容や必要な配慮事項を、どう伝えればいいのかわからない……」
「体調を崩して働けなかったブランク(空白期間)は、正直に書くべき?」
このような不安を抱え、なかなか転職活動の一歩を踏み出せない方は決して珍しくありません。しかし、安心してください。障害者雇用における転職の職務経歴書は、華々しい実績だけをアピールするものではありません。
採用担当者が最も知りたいのは、「あなたが安定して長く働けるか」「どのような配慮があれば能力を発揮できるか」という点です。
この記事では、障害者雇用に向けた転職の職務経歴書の書き方を徹底解説します。
採用担当者の目を引く自己PRの作り方や、悩みがちな障害内容の伝え方、そしてブランクをマイナスにしないコツまで、実務経験が浅い方にもわかりやすくお伝えします。
最後までお読みいただければ、職務経歴書作成のポイントが明確になり、自信を持って書類作成に進むことができるはずです。
障害者雇用における「職務経歴書」の役割と基本構成
転職活動において、履歴書と並んで必須となるのが職務経歴書です。しかし、「履歴書に職歴を書いたのに、なぜまた職務経歴書が必要なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
まずは、転職における職務経歴書の役割と、基本となる構成について理解しましょう。
履歴書と職務経歴書の違い
履歴書は、あなたの「基本的なプロフィール(氏名、連絡先、学歴、大まかな職歴など)」を確認するための書類です。いわば、あなたの「名刺」のようなものです。
一方、職務経歴書は、あなたが「これまでどのような業務を経験し、どのようなスキルを持っているのか」、そして「入社後にどう活躍できるのか」を伝えるための「プレゼン資料」です。
とくに障害者雇用の転職において、職務経歴書は「自分の障害とどう向き合い、どうすれば安定して働けるのかを企業に伝えるためのツール」という、非常に重要な役割を担います。
障害者雇用の職務経歴書は、基本的に以下の6つの項目で構成されます。
①職務要約(あらすじ)
これまでの経歴を200〜300字程度で簡潔にまとめます。実務経験が浅い場合は、学校で学んだことや、就労移行支援事業所などでの訓練内容を中心に記載しても構いません。
②職務経歴(詳細)
在籍した企業名、期間、雇用形態、担当した業務内容を記載します。アルバイトやパートの経験でも立派な職歴です。どのような役割で、何を心がけて取り組んだかを書きましょう。
③PCスキル・資格
Word、Excel、PowerPointなどの操作スキルや、取得している資格を記載します。「Excel:VLOOKUP関数を用いたデータ集計が可能」など、具体的に書くのがポイントです。
④障害内容と配慮事項
障害者雇用の転職の職務経歴書において、最も重要な項目です。詳細は次の見出しで解説します。
⑤自己PR
自分の強みや、仕事に対する意欲をアピールします。こちらも後ほど詳しく解説します。
⑥志望動機
なぜその企業に応募したのか、入社後にどう貢献したいかを記載します。(※履歴書に詳細に書く場合は、職務経歴書では省略、または簡潔にするケースもあります)
実務経験が浅い方は、「職務経歴」のボリュームが少なくなってしまうことを気にするかもしれません。しかし、障害者雇用では、経験の豊富さよりも「働く意欲」や「安定就労への準備」が評価されます。
そのため、「障害内容と配慮事項」「自己PR」の項目を充実させることが、転職成功の大きなカギとなります。
採用担当者が見ている「障害内容」と「配慮事項」の書き方
転職の職務経歴書の書き方において、障害者雇用ならではの項目が「障害内容と配慮事項」です。
ここでは、「企業側が何を知りたがっているのか」を理解することが重要です。
採用担当者は、医師ではありません。そのため、専門的な医学用語や診断名だけを羅列されても、「実際の業務においてどのような影響があるのか」「会社としてどのようなサポートを提供すればよいのか」をイメージできません。
採用担当者が見ているのは、以下の3点です。
- 客観的な自己理解ができているか(自分の障害特性を把握しているか)
- 自ら行っている対処法はあるか(会社任せにせず、自分で工夫しているか)
- 会社が提供可能な配慮の範囲か(自社の環境で無理なく働けそうか)
職務経歴書で障害に関して言及する場合は末尾に記載して補足する場合が多いです。
下記の点を意識して備考欄に記載しましょう。
① 障害の基本情報
- 障害手帳の種類と等級(例:精神障害者保健福祉手帳 2級)
- 診断名(例:うつ病、双極性障害、ADHDなど)
- 発症時期や現在の通院・服薬状況(例:月に1回通院、服薬により症状は安定)
② 業務上の得意・不得意(障害特性)
障害によって生じる、仕事への影響を具体的に書きます。
- 【NG例】「ADHDのため、ミスが多いです。」
- 【OK例】「口頭で複数の指示を一度に受けると、優先順位がわからなくなったり、抜け漏れが発生したりすることがあります。一方で、ルール化されたルーティン作業については、高い集中力を保って正確にこなすことができます。」
③ 自己対処(自分で工夫していること)
ここが自己理解をアピールする最大のポイントです。
- 【OK例】「口頭での指示による抜け漏れを防ぐため、常にメモを持ち歩き、指示を受けた際は必ず復唱して確認するよう習慣づけています。」
④ 企業にお願いしたい配慮事項
絶対に譲れない配慮と、できればお願いしたい配慮を分けて書くのも効果的です。
- 【OK例】「新しい業務を覚える際は、口頭だけでなく、マニュアル等のテキスト(文字)での指示をいただけますと、より正確に業務を習得できます。」
- 【OK例】「定期的な通院のため、月に1回、平日の午後に半休を取得させていただけますと幸いです。」
ポイント
「配慮事項」は、単なる「要望の羅列(わがまま)」にならないよう注意しましょう。
「〇〇の配慮があれば、安定して業務に貢献できます」という、活躍するための前向きな条件提示であるというスタンスで書くことが大切です。
職歴の空白期間(ブランク)はどう書く?マイナスにしないコツ
転職の職務経歴書を作成する際、多くの人が頭を悩ませるのが「職歴の空白期間(ブランク)」の扱いです。
体調を崩して退職し、療養していた期間や、就労移行支援事業所に通っていた期間がある場合、「正直に書くとマイナス評価になるのではないか」と不安になるでしょう。
しかし、障害者雇用の転職において、ブランクを隠すことは絶対にNGです。
採用担当者は履歴書と職務経歴書の年月を確認し、空白期間があれば必ず面接で質問します。ごまかしたり嘘をついたりすると、信頼関係を大きく損なう原因になります。
ブランクは、書き方次第で「働くための準備期間」としてポジティブに伝えることができます。
ブランクの理由は正直かつ簡潔に書く
なぜ空白期間ができたのか、事実を簡潔に記載しましょう。長々と苦労話を羅列する必要はありません。
【例文】
「体調不良により退職後、〇年〇月まで自宅療養に専念。その後、主治医の許可を得て、〇年〇月より就労移行支援事業所にて就労訓練を開始。」
空白期間中に「何をしていたか」を具体的にアピールする
単に休んでいただけでなく、復職に向けてどのようなステップを踏んできたのかを記載し、現在は「安定して働ける状態」であることをアピールします。
【療養期間の場合】
「規則正しい生活リズムの構築に努め、毎日同じ時間に起床・就寝し、日中はウォーキングなどの軽い運動を取り入れました。現在は週5日・1日8時間のフルタイム勤務が可能な体調まで回復しています。」
【就労移行支援などを利用していた場合】
就労移行支援事業所での訓練は、立派な「働くための準備実績」です。どのような訓練を行い、どんなスキルを身につけたのかをしっかり書きましょう。
「〇年〇月より就労移行支援事業所に週5日通所。ビジネスマナー講座や、Word・Excelを用いた模擬業務を通じて、ビジネススキルの基礎を学びました。また、自己理解プログラムを通じて自身の障害特性を整理し、疲労を溜めないためのセルフケアの手法を身につけました。」
【資格取得の勉強をしていた場合】
「事務職への転職を目指し、療養と並行して日商簿記3級の資格取得に向けた自己学習を行い、〇年〇月に取得いたしました。」
採用担当者の不安を先回りして払拭する
採用担当者がブランクに対して抱く最大の不安は、「採用しても、また体調を崩して辞めてしまうのではないか?」という点です。
したがって、職務経歴書や面接では「過去は体調を崩したが、現在は原因を理解し、再発防止の対策ができている」という点を強調することが、ブランクをマイナスにしない最大のコツとなります。
会いたいと思わせる「自己PR」の書き方と例文
転職の職務経歴書における自己PRは、あなたという人材の魅力を企業に売り込む重要なセクションです。
しかし、実務経験が浅い方や未経験の職種に挑戦する方は、「アピールできるようなすごい実績がない」と筆が止まってしまうことがよくあります。
障害者雇用の転職の職務経歴書の自己PRにおいて、求められているのは「営業でトップの成績を出した」「画期的なシステムを開発した」といった特別な実績だけではありません。
実務経験が浅い人がアピールすべきなのは、以下の3つの要素です。
- 仕事に対する真摯な姿勢(真面目さ、責任感、協調性)
- 新しいことを学ぶ意欲(学習意欲、向上心)
- 障害とうまく付き合いながら働く自己管理能力(安定性)
これらを効果的に伝えるためのステップと、例文を紹介します。
STEP1:自分の強み(長所)を見つける
「コツコツと継続できる」「ルールをきっちり守る」「周囲への気配りができる」「タイピングが正確」など、些細なことで構いません。
STEP2:それを裏付ける具体的なエピソードを添える
強みをただ書くだけでは説得力がありません。過去の仕事やアルバイト、就労移行支援での訓練、学生時代の経験などから、具体的なエピソードを書き出します。
STEP3:入社後、その強みをどう活かすかを結ぶ
「この強みを活かして、貴社でこのように貢献したい」という未来のビジョンで締めくくります。
例文1:事務未経験・就労移行支援事業所で訓練を積んだ方(強み:正確性と継続力)
私の強みは、決められたルールに則り、正確に物事を進める「継続力と正確性」です。
前職では接客業に従事していましたが、体調を崩したことを機に退職し、その後〇年間、就労移行支援事業所に通所いたしました。事務職への転職を目指し、事業所ではデータ入力や書類作成の模擬業務に注力しました。当初は入力スピードに課題がありましたが、毎日目標を設定してタイピング練習を継続した結果、現在では正確性を保ちながら1分間に〇〇文字の入力が可能になりました。
また、事業所への通所率は1年間100%を維持しており、体調管理を徹底し、安定して通い続けるリズムを身につけています。
貴社に入社いたしましたら、この正確性と継続力を活かし、ミスなく丁寧な事務作業を通じて、部署の皆様をサポートし貢献したいと考えております。
例文2:実務経験が浅い・短期離職の経験がある方(強み:自己理解と学習意欲)
私の強みは、課題に対して真摯に向き合い、改善に向けて自ら学ぶ「学習意欲」です。
大学卒業後に入社した企業では、自身の障害特性に対する理解が浅く、業務の優先順位づけに苦労し、短期離職となってしまいました。しかし、この経験を真摯に受け止め、その後は専門機関のサポートを受けながら徹底的な自己分析を行いました。現在では「マルチタスクを避け、一つひとつの業務をシングルタスクに分解して取り組む」「わからないことは抱え込まず、早めに相談する」といった自己対処法を確立しています。
また、現在は不足しているITスキルを補うため、独学でMOS資格(Word・Excel)の取得に向けて毎日〇時間学習を続けています。
過去の失敗から学んだ「自己管理能力」と「向上心」を武器に、貴社では指示を正確に理解し、着実に業務を遂行する戦力として長く貢献していきたいと存じます。
まとめ:職務経歴書は「自分取扱説明書」
ここまで、障害者雇用の転職に向けた職務経歴書の書き方について、「障害内容・配慮事項」「ブランクの扱い方」「自己PR」を中心に解説してきました。
お伝えしてきた通り、障害者雇用における職務経歴書は、単なる職歴の羅列ではありません。あなたの強みと弱み、得意なことと苦手なこと、そして必要なサポートを企業に伝えるための「自分取扱説明書」です。
- 実務経験の浅さは「意欲」と「準備」でカバーする障害内容は「客観的」に書き、「自己対処」と「配慮」を明確に分ける
- ブランクは隠さず、現在は「安定して働ける状態」であることをアピールする自己PRは、特別な実績よりも「仕事への姿勢」と「ポテンシャル」を語る
これらを意識して職務経歴書を作成することで、企業側は「この人は自分のことをよく理解しており、必要な配慮を提供すれば、自社で長く活躍してくれそうだ」と安心し、書類通過率は飛躍的にアップします。
一人で悩まず、プロのサポートを活用しようとはいえ、「いざ白紙のフォーマットを前にすると、自分の強みがわからない」「この障害内容の書き方で、ネガティブに捉えられないか不安」と、一人で抱え込んでしまう方も多いでしょう。
転職の職務経歴書の作成に行き詰まったら、障害者雇用に特化した転職エージェント(就職支援サービス)を活用するのが最も近道です。
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- 障害特性に合わせた、適切な「配慮事項」の言語化サポート・ブランク期間のポジティブな伝え方のアドバイス
「とりあえず作ってみたけれど自信がない」「そもそも何から手を付ければいいかわからない」という段階でも全く問題ありません。まずは、今のあなたの状況や不安な気持ちをお聞かせください。
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