就労継続支援A型はどんな人が利用できる?年齢など利用者の条件を解説!

就労継続支援A型事業所に通うかどうか迷っている皆さんの中には、「就労継続支援A型にはどんな人が通っているの?」や「利用のための条件はあるの?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

この記事では、就労継続支援A型事業所の利用者の年齢や障害種別、利用条件などについてご紹介していきます。

目次

就労継続支援A型事業所にはどんな人が通っているの?

就労継続支援A型事業所は、障害や難病がある人で、一般企業への就職が困難だが雇用契約に基づく就労が可能な人が利用する障害福祉サービスです。

最低賃金以上の賃金をもらいながら、ご自身の障害の状態や体調に合わせて、1日4時間など短時間からでも働くことができます。

就労継続支援A型事業所に通う中で、一般企業への就職に必要な知識や能力が高まってきた場合は一般就労への移行に向けたサポートも受けることができるため、「ゆくゆくは一般就労を目指したい」という方にもおすすめです。

就労継続支援A型事業所の利用者の年齢

厚生労働省によると、就労継続支援A型事業所は40歳以上の利用者が増えてきており、2022年時点で全体の55.7%を占めています。

そのほか、20歳以上30歳未満の利用者も多く、全体のうち21.4%となっています。

(厚生労働省 就労継続支援A型に係る報酬・基準についてより作成)

就労継続支援A型事業所の利用者の障害種別

厚生労働省によると、就労継続支援A型事業所は精神障害のある人は、2022年には全利用者のうち約5割を占めており、この11年間で5倍に増加しています。

次いで、知的障害のある人が33.9%、身体障害のある人が15.4%となっています。

(厚生労働省 就労継続支援A型に係る報酬・基準についてより作成)

就労継続支援A型事業所を利用する直前の状況

就労継続支援A型事業所の利用者がA型事業所を利用する前の状況は、在宅が最多で『29.0%』、次いでA型以外の障害者福祉施設が『21.9%』、一般就労が『20.8%』となっています。

(NPO法人就労継続支援A型事業所全国協議会 平成29年就労継続支援A型事業所全国実態調査報告書より作成)

就労継続支援A型事業所の利用条件

就労継続支援A型事業所の利用条件・対象者は、以下の4つのいずれかに当てはまる人です。

就労継続支援A型事業所の利用条件・対象者
  1. 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった
  2. 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった
  3. 就労経験はあるが企業を離職しており、雇用関係がない
  4. 企業等での働き始めに勤務時間を段階的に増やしていく場合、休職から復職を目指す場合(2022年障害者総合支援法改正法により新設)

厚生労働省によると、具体的な利用者のイメージは、

  • 特別支援学校を卒業して就労を希望するが、一般就労するには必要な体力や職業能力が不足している人 
  • 一般就労していたが、体力や能力などの理由で離職した。再度、就労の機会を通して、能力等を高めたい人
  • 施設を退所して就労を希望するが、一般就労するには必要な体力や職業能力が不足している人

としています。

就労継続支援A型事業所の利用者に年齢制限はあるの?

就労継続支援A型事業所の利用に年齢制限はあり、65歳以上の人は原則利用することはできません。ただし、以下の条件のいずれも満たしている場合は、65歳以上でも就労継続支援A型事業所を利用することができます。

65歳以上の人が就労継続支援A型を利用する条件
  • 65歳に達する前5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていた人
  • 65歳に達する前日までに就労継続支援A型の支給決定を受けていた人

また、18歳未満は、児童相談所が「サービスを受けることが適当」と認めると、15歳以上の障害児も利用できる場合がありますが、実際に利用している人数は少ないです(2022年時点で45人)。

就労継続支援A型事業所は障害者手帳なしでも使えるの?

就労継続支援A型事業所を利用する際は、主治医の意見書や自立支援医療受給者証等があれば、障害者手帳を持っていなくてもサービス利用の申請をすることができます

例えば、千葉県浦安市では障害福祉サービスの対象者は以下のいずれかに当てはまる場合で、当てはまらない場合は「事前に障がい福祉課にご相談ください」とされています。

  • 身体障害者手帳をお持ちの方
  • 療育手帳をお持ちの方、または知的障がいがあると判定されている方
  • 精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、または精神障がいがあると診断されている方
  • 障害者総合支援法の対象疾患で、特定医療費(指定難病)受給者証をお持ちの方、または診断されている方

就労継続支援A型事業所は障害年金をもらいながら利用できるの?

就労継続支援A型事業所で雇用契約を結んで働くようになっても、障害年金に該当する状態であれば引き続き障害年金を受給することができます

国民年金・厚生年金保険の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン(平成28年9月)」には、精神障害・知的障害・発達障害のある人が就労した場合の等級判定で考慮すべき要素が以下のように示されています。

つまり、就労継続支援A型事業所で援助を受けて就労をしている場合は障害等級が1級または2級の可能性が検討されるため、障害年金を受給できる可能性が高いです。

考慮すべき要素具体的な内容例
相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮する。就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。
(国民年金・厚生年金保険の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン(平成28年9月)」より作成)

就労継続支援A型事業所はどのくらいの期間利用できるの?

就労系障害福祉サービスのひとつである就労移行支援事業所には原則2年以内に就職しなければならないという期限が設けられていますが、就労継続支援A型事業所に利用期間の制限はありません

厚生労働省によると、就労継続支援A型事業所の利用期間は2年超3年未満が37%と最多で、次いで3年超が36%となっています。

(厚生労働省 就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準についてより作成)

自分に合った就労継続支援A型事業所の探し方

就労継続支援A型事業所は、清掃・封入発送・農作業・カフェ・動画編集など、事業所によって作業内容はさまざまです。

そのほかにも、賃金や支援対象となる障害・難病の種類、送迎の有無などに違いがあります。数ある事業所の中から、まずは通ってみたい就労継続支援A型事業所の候補を探す方法はいくつかあります。

就労継続支援A型事業所の探し方の例
  • インターネットで検索
  • 市区町村の障害福祉担当窓口に相談
  • ハローワークに相談
  • 障害者就業・生活支援センターに相談
  • 相談支援事業所に相談

デイゴー就労支援ナビでは、スマートフォン・PCからお近くの就労継続支援A型事業所の特徴や平均賃金・労働時間などで比較検討できますので、ぜひご活用ください。

最後に

ここまで、就労継続支援A型事業所の利用者の年齢や障害種別、利用条件などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

就労継続支援A型事業所は働くことへのサポートを受けながら、最低賃金以上で就労することができるサービスです。

作業内容は事業所によってさまざまありますので、デイゴー就労支援ナビでぜひご自身にあった事業所を見つけてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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