就労移行支援の対象者はどんな人?利用条件と年齢制限も解説!

就労移行支援事業所を使ってみようかなと考えている皆さんの中には、「就労移行支援はどんな人が利用対象者なの?」や「何歳から利用できるの?18歳未満は使える?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

この記事では、就労移行支援事業所の利用対象となる条件や、年齢制限の有無、利用対象となる具体的な障害・病気の種類などについてご紹介していきます。

目次

就労移行支援事業所の対象者・利用条件は?

就労移行支援事業所は、以下の4つの条件を満たしている人が対象者とされています。

就労移行支援事業所の対象者
  1. 一般就労を希望している
  2. 障害・難病がある
  3. 65歳未満である
  4. 適性に合った職場への就労等が見込まれる

サービスを利用できるかどうかの判断は市区町村が行っていますから、「自分は就労移行支援事業所の利用対象者なのだろうか?」と不安の場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当部署にまずは相談してみてください。

また、サービスを利用するための受給者証取得のサポートを行っている就労移行支援事業所も多くあるようです。

就労移行支援事業所は休職していても使える?

現時点で休職をしている人も、以下の条件のいずれも満たしている場合は、就労移行支援を利用することができます。

休職者による就労移行支援の利用条件
  1. 休職者を雇用する企業、地域における就労支援機関や医療機関等による復職支援(例:リワーク支援)の実施が見込めない場合、または困難である場合
  2. 休職中の障害者本人が復職を希望し、企業及び主治医が、就労系障害福祉サービスによる復職支援を受けることにより復職することが適当と判断している場合
  3. 休職中の障害者にとって、就労系障害福祉サービスを実施することにより、より効果的かつ確実に復職につなげることが可能であると市区町村が判断した場合

就労移行支援事業所は二回目の利用ができる?

就労移行支援事業所の利用は原則2年以内となっていますが、「一度就労移行支援を利用したことがあるがもう一度使いたい」という場合は、二回目の利用を認められる場合もあります。ただし、市区町村によって、前回の利用期間や前回利用からどのくらい時間が経っているかなど、様々な観点から個別に判断されることになります。

就労移行支援事業所の利用に年齢制限はある?

女性

冒頭でお伝えしたように、就労移行支援事業所の利用に年齢制限はあり、65歳以上の人は原則利用することはできません。ただし、以下の条件のいずれも満たしている場合は、65歳以上でも就労移行支援を利用することができます。

65歳以上の人が就労移行支援を利用する条件
  • 65歳に達する前5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていた人
  • 65歳に達する前日までに就労移行支援の支給決定を受けていた人

就労移行支援事業所は18歳未満も使えるの?

就労移行支援事業所は基本的には18歳以上の方が利用できるサービスですが、児童相談所が「就労移行支援事業所のサービスを受けることが適当」と認めた場合は、15歳以上の障害児も利用できる場合があります

また、特別支援学校等の高等部等に在学している生徒が、就労移行支援事業所で実習を行う場合もあります。

就労移行支援事業所の利用対象となる障害・難病の例

就労移行支援事業所の利用対象は、身体障害・知的障害・発達障害・精神障害・難病等のある人と障害者総合支援法によって決められています。ここでは、それぞれの障害・難病の具体例をご紹介します。

①身体障害の例

以下は就労移行支援事業所の利用対象となる身体障害の例です。

  • 視覚障害
  • 聴覚又は平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害
  • ぼうこう又は直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  • 肝臓の機能の障害

②知的障害の例

以下は就労移行支援事業所の利用対象となる知的障害の例です。

  • 重度知的障害
  • 知的障害

※知的障害は、重度とそれ以外に区分されてされており、療育手帳の交付自治体によっては、重度とそれ以外を独自に細分化している場合もあります。

③精神障害(発達障害を含む)の例

以下は就労移行支援事業所の利用対象となる精神障害(発達障害、てんかん等を含む)の例です。

  • 統合失調症
  • うつ病、そううつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物依存症
  • 高次脳機能障害
  • 自閉症
  • 学習障害
  • 注意欠陥多動性障害等
  • そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等)

④難病の例

障害者総合支援法では、2013年4月1日から障害者の定義に難病等が追加されましたが、2024年4月1日から対象となる難病がさらに追加され、366疾病から369疾病へと見直されました。以下は就労移行支援事業所の利用対象となる疾病の例です。

  • 関節リウマチ
  • 筋ジストロフィー
  • 潰瘍性大腸炎
  • 神経線維腫症
  • 骨髄異形成症候群
  • 先天性横隔膜ヘルニア
  • パーキンソン病
  • ペリー病
  • 肥大型心筋症
  • ミトコンドリア病
  • もやもや病
  • 突発性難聴
  • MECP2重複症候群※
  • 線毛機能不全症候群(カルタゲナー症候群を含む)※
  • TRPV4異常症※

※2024年4月1日より追加された疾病

就労移行支援事業所は障害者手帳なしでも使えるの?

疑問

就労移行支援事業所を利用する際は、医師の診断書の提出などの一定の条件をクリアすれば、障害者手帳を持っていなくてもサービス利用の申請をできる場合があります

例えば、富山県富山市の場合、身体障害者手帳や療育手帳等を持っていない場合は、下記のいずれかの提出が必要とされています。

障害者手帳以外で就労移行支援を利用するために必要な書類
  • 自立支援医療(通院公費)受給者証の写し
  • 精神疾患を有することがわかる診断書
  • 特定疾患医療受給者証の写し
  • 難病等の対象疾患の記載のある診断書

就労移行支援に関するよくある質問

そもそも就労移行支援とは?

就労移行支援事業所とは、一般就労を希望する障害・難病のある人に対し、就職活動を支援する事業所です。長期就労を目指して必要な訓練プログラムを提供し、就職後も継続してサポートします。

就労移行支援と就労継続支援の違いは?

就労移行支援は一般企業への就職を目指して、原則2年間という期間限定で就職活動の支援をする制度です。賃金や工賃は発生しません。

一方で、就労継続支援は一般企業への就職が難しい人に対して働く機会を提供し、作業に対して賃金や工賃を支払う制度です。利用期間の定めはありません。

就労移行支援の利用料金はかかるの?

就労移行支援事業所の利用者が負担する料金は、サービス全体にかかった費用のうち1割で、1日あたりおよそ500円〜1,400円です。

ただし、所得に応じてひと月当たりの負担上限金額が決まっているため、自己負担額なしで就労移行支援事業所を利用する人も多いです。

就労移行支援の利用期間に制限はあるの?

就労移行支援事業所のサービスを利用できる期間は、原則として最大2年(24ヶ月)までとなっています。

就労移行支援はそれぞれの適性にあった職場に就職するまでの中間ステップと位置付けられているため、利用期間に期限が設けられています。

就労移行支援を利用するための手続き・流れは?

就労移行支援を利用するまでの流れは以下のようになっており、手続き方法が分からない場合は、就労移行支援事業所のスタッフがサポートしてくれる場合もあります。

就労移行支援を利用するまでの流れ
  • 就労移行支援を探す
  • 就労移行支援を見学・体験する
  • 障害者手帳や主治医の意見書等を取得する
  • 受給者証を発行する
  • 就労移行支援の利用開始

就労移行支援では給料をもらえるの?

就労移行支援事業所は就労継続支援事業所とは違い、訓練に対して原則給料をもらうことはできません

ただし、一部の就労移行支援事業所では作業に対して工賃を支払っているケースがあります。

最後に

ここまで、就労移行支援事業所の利用対象となる条件や、年齢制限の有無などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

就労移行支援事業所は、様々な種類の障害や難病のある人が利用できるサービスのため、障害特性ごとの支援実績が事業所によって異なる場合もあります。

デイゴー就労支援ナビでは、お近くの就労移行支援事業所の特徴や空き状況などの比較検討を行うことができますので、ぜひご活用ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

デイゴー求人ナビ・就労支援ナビ編集部は、障害や難病のある人が働く上で役立つ情報や、就労移行支援、就労継続支援A型・B型における事業所運営のノウハウを発信しています。就労移行支援事業所の管理者経験者も在籍し、有識者にもご協力いただいています。

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