障害や病気があり働くことが難しい方や、休職している方の中には、「就労移行支援を利用するためには受給者証が必要なの?」や「受給者証はどうやって発行するの?」といった疑問を持っている人もいるかもしれません。
この記事では、就労移行支援を利用するために必要な受給者証が交付されるまでの流れや、受給者証を発行するために必要な書類などをご紹介していきます。
就労移行支援の利用に必要な受給者証とは?
受給者証とは、障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)の略称で、就労移行支援事業所を利用するために必要な証明書です。
この受給者証は、就労移行支援事業所等の障害福祉サービスを利用したい方が市区町村に申請し、認められた場合に発行されます。
就労移行支援を利用するための必要書類の一覧
受給者証取得に必要な書類は市区町村によって異なりますので、お住いの市区町村のホームページ等を確認することをおすすめします。
ここでは一例として、愛知県豊田市における受給者証取得に必要な書類をご紹介します。
- 対象者であることが確認できるもの(障害者手帳、医師の診断書等)
- 申請書(窓口で取得可)
- 収入申告書(窓口で取得可)
- マイナンバーのわかるもの
- サービス等利用計画(相談支援事業所が本人に聞き取った上で作成)
これらに加え、市区町村によっては身元確認書類(運転免許証、健康保険証等)や印鑑が必要なところもあります。
また、市区町村によって、通常は相談支援事業所が作成するサービス等利用計画を、自分で作成するセルフプランで代用できるところもあります。
(参考:豊田市「障がい福祉サービス等・障がい児通所支援の利用について」、高知市:「セルフプランについて」)
就労移行支援の利用に必要な受給者証を発行する流れ
受給者証発行までの流れは、障害者手帳等の有無によって異なります。ここからは、障害者手帳を持っている場合と持っていない場合に分けて、受給者証を発行するまでの流れをご紹介していきます。
障害者手帳を持っている場合の受給者証の申請手続き
ステップ①障害者手帳を持って役所へ申請に行く
役所の窓口は障害福祉課であることが多いです。事前に持ち物を確認した上で申請に行きましょう。
申請窓口で申請書を記入し、障害者手帳やマイナンバーカード等と一緒に提出します。
ステップ②相談支援事業所にサービス等利用計画案の作成を依頼する
役所からサービス利用計画案作成の依頼があります。これは基本的に相談支援事業所が作成するものなので、申請者または家族が相談支援事業所を探し、そこにサービス利用計画案の作成を依頼します。
ご自身で相談支援事業所を探すのが難しい場合は、役所に相談してみてください。
市区町村によっては自分で作成したサービス等利用計画案でも認められるところがあり、これをセルフプランといいます。
サービス等利用計画が必要なのか、セルフプランでもいいのか、市区町村に確認しましょう。
ステップ③障害支援区分認定調査を受ける
役所が申請者の状況を総合的に判断するため、認定調査を実施します。認定調査員が申請者やその家族に現在の状況や心身の様子について質問するので、それに沿って答えれば問題ありません。
※行政の窓口で行われる場合や、認定調査員の訪問により行われる場合など、市区町村によって認定調査の実施方法は様々ですので、事前に確認をしてみてください。
ステップ④市区町村による障害区分の認定
ステップ③の認定調査の結果を元に、市区町村によって就労移行支援事業所の利用が適切かどうかを判定されます。
ステップ⑤サービス等利用計画案・セルフプランの提出
市区町村からサービス等利用計画案の提出を求められた人は、相談支援事業所が作成したサービス等利用計画案、または自分で作成したセルフプランを市区町村に提出します。
セルフプランをどのように作成してよいかわからない人は入所予定の就労移行に相談してみましょう。一緒に考えてくれるところが多いです。
※ただし、セルフプランの提出を認めてない市区町村もあります。
ステップ⑥支給決定・受給者証発行
サービス等利用計画案など、全ての内容を踏まえた上で障害福祉サービスの支給が決定され、受給者証が発行されます。
障害者手帳なしの場合の受給者証の申請手続き
ステップ①主治医に診断書または意見書を依頼する
障害者手帳をお持ちでない場合、多くの市区町村では主治医の診断書または意見書でも申請が可能です。
指定の書式がない市区町村が多いですが、どのようなものがいいか事前に確認しておくとよりスムーズでしょう。
※障害者手帳を持っていない人で、自立支援医療受給者証を持っている場合は、主治医の診断書または意見書がなくても大丈夫です。
ステップ②診断書または意見書を持って役所へ申請に行く
主治医から診断書または意見書を受け取ったら、それを持って役所に申請に行きましょう。
申請窓口で申請書を記入し、マイナンバーカード等と一緒に提出します。
ここからは、障害者手帳を持っている場合のステップ②と同じ流れになります。
受給者証を持っていなくても就労移行支援の申込みや見学はできる
受給者証を持っていなくても、就労移行支援事業所の見学や体験利用は可能です。興味のある事業所があれば、ぜひ見学に行ってみるのがおすすめです。
見学や体験利用を通して利用する事業所を決めたら、その事業所に利用の申込みをします。正式に利用するためには受給者証が必要になりますので、利用の申込みをしたら受給者証発行の手続きをすすめましょう。
受給者証発行の手続きでわからないことがあれば、就労移行支援事業所のスタッフがサポートしてくれる場合が多いので、困ったことがあれば相談してみてください。
自分に合った就労移行支援事業所の探し方
就労移行支援事業所は、就職先の職種や就職するまでの期間、就職後の職場定着率等、事業所によって就職実績は異なります。
そのほかにも、プログラム内容や交通費・昼食の補助の有無、雰囲気等、様々な違いがあります。
数ある事業所の中から、まずは通ってみたい就労移行支援事業所の候補を探す方法はいくつかあります。
- インターネットで検索
- 市区町村の障害福祉担当窓口に相談
- ハローワークに相談
- 障害者就業・生活支援センターに相談
- 相談支援事業所に相談
『デイゴー就労支援ナビ』では、お住いの地域や駅から就労移行支援事業所を検索し、就職実績や支援制度、プログラム内容等を比較検討することができますので、ぜひご活用の上、2~3つの事業所へ見学に行ってみるのがおすすめです。
就労移行支援の利用に必要な受給者証に関するよくある質問
受給者証に関してよくある質問に対してお答えします。
Q.受給者証の有効期間は?更新が必要?
受給者証には有効期間が記載されています。本人の状況や市区町村の判断によって有効期間が違いますので、ご自身の受給者証の期限を確認してください。
市区町村にもよりますが、有効期間が切れる1~3ヶ月前から更新手続きが可能です。更新の時期になると市区町村から更新手続きの案内がくる場合が多いので、それに従って手続きをすすめましょう。
Q.就労移行支援の暫定支給って何?
就労移行支援の利用が決まる前に、市区町村によっては「暫定支給決定期間」が設けられることがあります。
暫定支給決定期間は、就労移行支援を利用することがその人にとって本当に適切なのかどうかを判断するために設けられ、原則、最初の2ヶ月間がトライアル期間として設定されます。
就労移行支援事業所や相談支援事業所によって、別のサービスを利用した方が本人のためになる等と判断された場合は、暫定支給決定期間の満了をもって就労移行支援のサービスが終了となります。
Q. 以前使っていた受給者証は使えるの?期限が切れたらどうする?
以前、就労継続支援B型事業所や自立訓練などで受給者証を使ったことがあるけれど、また同じ受給者証を利用したいと考えている場合は、受給者証の期限を確認してみましょう。
受給者証の期限が切れ、更新せずにそのままでいた場合は、更新手続きが完了するまでサービスの利用ができない可能性が高いです。
期限が切れた受給者証を持っているなら、お住まいの市区町村や、通ってみたい就労移行支援事業所のスタッフに相談しましょう。
Q.申請をしたら受給者証はいつ届く?
受給者証の申請をしてから1ヶ月前後で届くことが多いですが、市区町村の状況によってはそれ以上の時間がかかることもあります。
Q.就職をしたら受給者証は返却するの?
就労移行支援事業所を利用して就職した場合は、原則受給者証の返却が必要です。受給者証を発行してもらった市区町村に返却しましょう。
最後に
ここまで、就労移行支援を利用するために必要な受給者証が交付されるまでの流れや、受給者証を発行するために必要な書類などをご紹介してきましたが、いかがでしたか。
受給者証は発行されるまでに時間がかかるため、受給者証の発行の手続きを進めながら、通ってみたい就労移行支援事業所をいくつかピックアップして、見学や体験に行ってみるのがおすすめです。もちろん。おひとりで受給者証の発行手続きを進めるのが難しい場合は、就労移行支援事業所のスタッフや市区町村に相談するのも可能です。
最後までお読みいただきありがとうございました。