就労継続支援B型事業所を利用したいと迷っている人や、子どもに就労継続支援B型事業所に通ってほしいと思っている人の中には、「就労継続支援B型はどんな人が通っているの?」や「自分と同じような障害の等級の人も就労継続支援B型事業所にいるのかな?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
この記事では、就労継続支援B型事業所の利用対象となる人の条件、実際に就労継続支援B型事業所を利用している人の年齢や障害の種類、障害手帳の等級などについてご紹介していきます。
就労継続支援B型事業所の対象者・利用者の条件は?
就労継続支援B型事業所を利用できる対象者は、一般企業や就労継続支援A型で働くのが困難で、就労のための体力やスキルは整っていないが、雇用契約を結ばずに働くことで知識・能力の向上や維持が期待される障害や難病のある人です。
具体的には以下の条件にあてはまる人が対象となります。
- 就労経験があるが、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人
- 50歳に達している人
- 障害基礎年金1級を受給している人
- 就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に関する課題等の把握が行われている人
- 企業等での働き始めに勤務時間を段階的に増やしていく人、休職から復職を目指す人(2022年障害者総合支援法改正法により新設)
ここからは、
- 対象となる障害や難病は何?
- 障害者手帳を持っていなくても利用できるの?
- 生活保護を受給していても利用できるの?
- 年齢制限はあるの?
- 生活介護との併用はできるの?
など、就労継続支援B型事業所を利用するための条件について、詳しくご紹介していきます。
就労継続支援B型事業所の対象となる障害や難病の種類
就労継続支援B型事業所の利用対象は、「身体障害・知的障害・発達障害・精神障害・難病等のある人」と障害者総合支援法によって決められています。
以下は、それぞれの障害・難病の具体例です。
障害・難病の種別 | 具体例 |
---|---|
身体障害 | 視覚障害 聴覚又は平衡機能の障害 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害 肢体不自由 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害 ぼうこう又は直腸の機能の障害 小腸の機能の障害 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害 肝臓の機能の障害 |
知的障害 | 重度知的障害 知的障害 ※療育手帳の交付自治体によっては、重度とそれ以外を独自に細分化している場合もあります。 |
精神障害(発達障害を含む) | 統合失調症 うつ病、そううつ病などの気分障害 てんかん 薬物依存症 高次脳機能障害 自閉症 学習障害 注意欠陥多動性障害等 そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等) |
難病※ | 関節リウマチ 筋ジストロフィー 潰瘍性大腸炎 神経線維腫症 骨髄異形成症候群 先天性横隔膜ヘルニア パーキンソン病 ペリー病 肥大型心筋症 ミトコンドリア病 もやもや病 突発性難聴 MECP2重複症候群 線毛機能不全症候群(カルタゲナー症候群を含む) TRPV4異常症 |
※障害者総合支援法では、2013年4月1日から障害者の定義に難病等が追加されましたが、2024年4月1日から対象となる難病がさらに追加され、366疾病から369疾病へと見直されました。
(参考:厚生労働省 障害者総合支援法の対象疾病(難病等))
就労継続支援B型事業所は障害者手帳なしでも利用できるの?
障害者手帳を持っていない場合でも、主治医の診断書やうつ傾向・不眠などの意見書、自立支援医療受給者証等があれば、就労継続支援B型事業所を利用することができます。
例えば、秋田県秋田市では、以下のいずれかに当てはまる人は就労継続支援B型事業所を利用することができるとされています。
- 身体障害者手帳を持っている
- 療育手帳を持っている
- 精神障害者保健福祉手帳を持っている
- 福祉相談センターや児童相談所で知的障がいの判定を受けている
- 診断書等により精神障がいの診断を受けている
- 障害者総合支援法の対象疾病(難病等)に罹患している(介護保険サービスが優先される)
就労継続支援B型事業所は生活保護を受給しながら利用できるの?
生活保護を受給している場合、就労継続支援B型事業所で働いて得られる収入と資産が最低生活費に満たない場合には、引き続き受給をすることができます。
また、障害年金をもらっている場合でも生活保護を受け取ることができますが、その場合は最低生活費から障害年金を差し引いた差額が支給されることになります。
就労継続支援B型事業所は年齢制限があるの?
就労継続支援B型事業所の利用は原則18歳からとなっています。就労継続支援A型事業所の利用は原則65歳未満ですが、就労継続支援B型事業所は65歳以上も利用することができます。
また、18歳未満の障害児は、児童相談所が「サービスを受けることが適当」と認めれば15歳以上でも利用できる場合がありますが、実際に利用している人数は少ないです(2022年時点で236人)。
就労継続支援B型事業所は生活介護と併用できるの?
複数の障害福祉サービスを組み合わせて利用することについて、厚生労働省は「複数の日中活動サービスを組み合わせて利用することは可能だが、同じ日に別のサービスを複数利用することはできない」と示しています。
日中活動サービスについては、その効果的な支援を図る観点から、通常、同一種類のサービスを継続して利用することが一般的であると考えられるが、障害者の効果的な支援を行う上で市町村が特に必要と認める場合には、複数の日中活動サービスを組合せて支給決定を行うことは可能である。なお、複数の日中活動サービスの支給決定を受けている場合でも、日中活動サービスに係る報酬は一日単位で算定されることから、同一日に複数の日中活動サービスを利用することはできない(同一日に同一サービスを異なる事業所で利用した場合を含め、同一日においては、一の事業所以外は報酬を算定できない。)。ただし、市町村が日中活動サービスの利用と併せて宿泊型自立訓練が特に必要と認めた場合を除く。
介護給付費等に係る支給決定事務等について(令和5年4月版)
また、就労継続支援B型と生活介護を併用することについて、鳥取県鳥取市は「鳥取市 障害福祉サービス支給決定基準」で併用は可能だが同じ日に利用することはできないとしているほか、大分県大分市は「日中活動の利用方法について」で重度障害のある人など毎日の就労が困難の場合は併用が可能としています。
このように、一定の条件をクリアすれば生活介護を利用しながら就労継続支援B型に通うことができる場合もあるようなので、併用を考えている場合はご自身の市区町村に問い合わせてみてください。
就労継続支援B型事業所はどんな人が利用しているの?
就労継続支援B型事業所では、「体調を崩さないように働きたい人」や「自分の居場所や仲間をつくりたい人」など、様々な人が利用をしています。
ここからは、
- 利用している人の年齢
- 障害の種類
- 障害者手帳の等級
- B型事業所で働く前にいた場所
など、就労継続支援B型事業所を利用している人について、詳しくご紹介していきます。
就労継続支援B型事業所の利用している人の年齢
就労継続支援B型事業所を利用している人の年齢は、「50歳以上60歳未満」が21.2%で一番多く、次に「40歳以上50歳未満」が21.1%、「20歳以上30歳未満」が20.1%となっています。
過去11年間で、「20歳以上30歳未満」は約1.7倍、「50歳以上60歳未満」は約2.8倍に増えており、就労継続支援B型事業所の利用は広がりを見せていることが分かります。
就労継続支援B型事業所の利用者の障害の種類
就労継続支援B型事業所を利用している人の障害・病気の種類は、「知的障害」が48.2%で一番多く、次に「精神障害」が39.6%となっています。
長らく就労継続支援B型事業所の利用者は知的障害のある人が半数以上を占めていましたが、近年は精神障害のある人の割合も大きくなってきました。
就労継続支援B型事業所を利用している人の障害者手帳の等級
ここからは、東京都の調査結果にはなりますが、就労継続支援B型事業所を利用している人の障害者手帳の等級をご紹介していきます。
就労継続支援B型の利用者の身体障害者手帳の等級
就労継続支援B型事業所を利用している人の身体障害者手帳の等級は、1級と2級が多く、全体の半分以上となっています。
就労継続支援B型の利用者の愛の手帳(療育手帳)の等級
就労継続支援B型事業所を利用している人の愛の手帳(療育手帳)の等級は、3度(中度)と4度(軽度)が全体の半分以上となっている一方、1度(最重度)は0.5%と極端に少ない結果となっています。
就労継続支援B型の利用者の精神障害者保健福祉手帳の等級
就労継続支援B型事業所を利用している人の精神障害者保健福祉手帳の等級は、2級が最多で全体の半分以上となっています。
就労継続支援B型事業所で働く前にいた場所
就労継続支援B型事業所で働く前に通っていた場所は、「ほかの就労継続支援B型事業所」、「自分の家」、「会社など(就職)」、「特別支援学校」の4つで約65.4%を占めています。
一方で、少数ですが「自立訓練」や「生活介護」といった他の障害福祉サービス、「中学校」や「大学」などの学校に通ったあとに、就労継続支援B型事業所を利用している人もいます。
就労継続支援B型事業所の選び方
就労継続支援B型事業所には、工賃や支援対象となる障害・難病の種類、送迎サービスの有無など、様々な違いがあります。
2022年に行われた調査では、就労継続支援B型事業所をすでに利用している人が「この事業所で働きたい!」と思った理由は、『見学したり仕事を体験してみて、よいと思ったから』が35.6%と一番大きい割合となっています。
ですから、通ってみたい事業所の候補をいくつか探してみて、実際に見学や仕事の体験をしてみるのがおすすめです。
最後に
ここまで、就労継続支援B型事業所の利用対象となる人の条件、実際に就労継続支援B型事業所を利用している人の年齢や障害の種類、障害手帳の等級などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
就労継続支援B型事業所によって、利用者やスタッフの年齢や性別といった事業所の雰囲気や活動内容、支援の対象となる障害は様々です。
デイゴー就労支援ナビでは、スマートフォン・PCからお近くの就労継続支援B型事業所の特徴や平均工賃、利用者・スタッフの性別比率などを比較検討することができますので、ぜひご活用ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。