就労継続支援B型の利用料はいくら?自己負担額が無料になる条件も紹介!

就労継続支援B型事業所に通うかどうか迷っている皆さんの中には、「就労継続支援B型は利用料金がかかるの?」や「無料で使っている人も多いって本当?」といった疑問を持っている方もいるかもしれません。
この記事では、就労継続支援B型事業所の利用料金や、自己負担の上限が有料になる人と無料になる人の条件、送迎料金など利用料以外で必要なお金についてご紹介していきます。

目次

就労継続支援B型事業所の利用料は1日いくら?

就労継続支援B型事業所の利用料は事業所によって異なりますが、利用者が支払うお金は1日あたりおおよそ『400円〜1,200円』となっています。

ただし、一月あたりの利用者が支払うお金は所得の状況によって上限が決まっているため(負担上限月額)、無料で就労継続支援B型事業所を利用している人も多いです。

厚生労働省によると、障害福祉サービスを利用している人のうち、約92.7%が無料で障害福祉サービスを利用していることが分かっています。

就労継続支援B型事業所の利用料はなぜ払わないといけないの?

就労継続支援B型事業所は障害者総合支援法で定められた障害福祉サービスの一つです。

障害福祉サービスは、サービス全体にかかる費用のうち1割を利用者が、残りの9割を市区町村が負担する仕組みとなっているため、就労継続支援B型事業所を利用した場合も利用料を支払う必要があります

ただし、低所得の人の自己負担額が大きくならないように、負担を軽減するための制度も整えられています。

負担を軽減するための制度については、この記事の後半でご紹介します。

就労継続支援B型事業所の工賃は利用料より安いの?

就労継続支援B型事業所の2022年度の平均工賃は、月額(月収)で『17,031円』、時間額(時給)で『243円』となっています。

1時間あたりの平均工賃が『243円』だと、利用料より工賃が安くなってしまうのではと考える方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、利用料を払った場合の実際にもらえるお金(工賃と利用料の差)はいくらになるのか実際に計算していきます。

例:1日あたりの工賃と利用料の差
  • 1日あたりの利用料金・・・600円
  • 1時間あたりの工賃・・・243円
  • 1日あたりの労働時間・・・4時間
  • 1日あたりの工賃・・・972円
  • 1日あたりの工賃と利用料の差・・・372円

上記の例の場合、1日あたりの工賃と利用料の差は『372円』になります。

ただし、自己負担額が0円の場合は利用料金がかからないため、『972円』をそのまま受け取ることができます。

(参考: 令和4年度工賃(賃金)の実績について

就労継続支援B型の利用者負担・自己負担額の上限はどのくらい?

就労継続支援B型事業所の利用者が支払うお金は、世帯収入の状況により月ごとの負担上限額が『0円〜37,200円』と設定されています。

ですから、ひと月に利用したサービス料金の合計が負担上限額を上回ってしまったとしても、上限額以上の金額を支払う必要はありません。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)ただし、入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く9,300円
一般2上記以外37,200円
(出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」により作成)

ここからは、一月あたりの自己負担上限額が無料になる場合と有料になる場合について、詳しく見ていきます。

就労継続支援B型の利用料の自己負担額が無料になるのはどんな人?

就労継続支援B型事業所の利用料の自己負担上限額が0円になるのは、所得の区分が『生活保護』か『低所得』にあてはまる人です。

具体的には以下のような例が考えられます。

就労継続支援B型を無料で利用できる例
  • 生活保護を受給している世帯
  • 収入がおおむね300万円以下の障害者基礎年金1級を受給している3人世帯 など

厚生労働省によると、障害福祉サービスを利用している人(98.5万人)のうち、約92.7%が負担上限月額が0円であることが分かっています。

(厚生労働省 障害福祉サービス、障害児給付費等の利用状況についてより作成)

就労継続支援B型の利用料の自己負担額が有料になるのはどんな人?

就労継続支援A型事業所の利用料の自己負担上限額が有料になるのは、所得の区分が『一般1』か『一般2』にあてはまる人です。

具体的には以下のような例が考えられます。

就労継続支援B型の利用料がかかる例
  • 2人世帯で収入がおおむね670万円以下(負担上限月額9,300円)
  • 3人世帯で収入が750万円(負担上限月額37,200円) など

※自己負担額について、詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉課で事前にご確認ください。

就労継続支援B型事業所で利用料以外に必要なお金は?

就労継続支援B型事業所で働くにあたって、利用料金以外に必要になってくるお金をご紹介していきます。

就労継続支援B型事業所の利用料金のほかに必要なお金
  • 昼食代
  • 交通費
  • 通院費 など

①昼食代

就労継続支援B型事業所を利用する際にお昼休憩をはさむ場合は、昼食代が必要になります。

昼食は、自宅からお弁当を持っていく場合や、事業所でお弁当を用意してくれる場合などがあります。

就労継続支援B型事業所の昼食代はいくら?

昼食代は基本的に自己負担となりますが、事業所によってはお弁当などをおおよそ0円~600円ほどで提供しているところもあります。

②交通費

就労継続支援B型事業所へ通う際の電車・バス・車・タクシーなどにかかる交通費は、利用料とは別で負担する必要があります。

市区町村によっては交通費の助成を行っている場合があるほか、送迎サービスを行っている事業所もあります。

就労継続支援B型事業所の送迎料金はいくら?

就労継続支援B型事業所で送迎サービスを行っている場合の送迎料金は、事業所によって違いがありますが、片道おおよそ0円〜100円ほどが相場になります。

③通院費

障害や病気の状態によっては、定期的な通院をしなければならない場合もあります。

こうした通院にかかる費用は、自己負担額を減らすための制度もあるため、後ほどご紹介していきます。

就労継続支援B型事業所を利用するための助成金や減免制度

ここからは、就労継続支援B型事業所を利用する人の自己負担を減らすための、助成金や減免制度などについてご紹介していきます。

①昼食代の減免

就労継続支援B型事業所では昼食を提供してくれる事業所もあります。

こうした昼食にかかるお金は、市町村民税非課税世帯や市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)の場合、食材料費のみの負担ですむことになっています(事業所で食事や弁当が提供される場合のみに限る)。

そのため、利用者が負担する費用は、実際にかかる食費のおよそ3分の1となる(月22日利用の場合、約5,100円程度)とされています。なお、食材料費は施設ごとに額が設定されます。

(参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」)

②交通費の助成金

就労継続支援B型事業所に通うには交通費が別途かかる場合が多いですが、自治体によっては交通費の一部を助成している地域もあります。

ここでは一例として、千葉県浦安市の「障がい者通所施設交通費助成」をご紹介します。

対象者
身体障害者手帳所持者療育手帳所持者精神障がい者難病者
助成内容公共交通機関を利用した場合通所にかかる交通費の半額を助成(1ヶ月につき5,000円を限度)※通所の往復距離が2キロメートル以上
自転車を利用した場合通所日数が1か月に10日以上の場合(1ヶ月につき1,000円)※通所の往復距離が2キロメートル以上
(千葉県浦安市 障がい者通所施設交通費助成より作成)

③精神通院医療

通院しながら就労継続支援B型事業所を利用する人も多いのではないでしょうか。

自立支援医療(精神通院医療)は、通院が必要な症状のある精神疾患がある人が利用できる制度で、通院にかかる医療費の自己負担額が原則1割になります。

ただし、世帯の収入状況に応じて自己負担に上限額が設けられています。

例えば、市区町村民税非課税世帯で本人または保護者の収入が年80万円以下の場合は、負担上限月額は『2,500円』、生活保護を受給している場合は負担上限月額は『0円』となります。

また、精神通院医療の対象となる精神疾患は以下のようになっています。

精神通院医療の対象となる精神疾患
  1. 病状性を含む器質性精神障害
  2. 精神作用物質使用による精神及び行動の障害
  3. 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
  4. 気分障害
  5. てんかん
  6. 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
  7. 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
  8. 成人の人格及び行動の障害
  9. 精神遅滞
  10. 心理的発達の障害
  11. 小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害

※1~5は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患

最後に

ここまで、就労継続支援B型事業所の利用料金や、自己負担の上限が有料になる人と無料になる人の条件、送迎料金など利用料以外で必要なお金などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

就労継続支援B型事業所では、利用料金や昼食代、交通費などに事業所ごとの違いがあることが分かりました。

デイゴー就労支援ナビでは、ご自身が利用したい駅から近い就労継続支援B型事業所をピックアップし、特徴や送迎サービスの有無などについて調べることができますので、ぜひ活用してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

監修者情報:メンタルエイド代表。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチ、心理カウンセラー、幼稚園教諭。就労移行・就労定着支援サービスを行う事業所に12年従事。サービス管理責任者として個別支援計画をはじめ利用者との認知面談を中心にプログラム講師・支援機関連携・クリニック同行・企業開拓・面接同行・応募書類添削・定着支援・新規立ち上げ・スタッフ育成などを行う。120名の障がい者就労の実績があり、面談は1,000人以上。多くの面談実績からオリジナルの上村式認知整理面談技法を発案。

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