就労継続支援A型/B型事業所への通所中も障害年金はもらえる?わかりやすく解説!

就労継続支援A型/B型通所中に障害年金はもらえる?

「就労継続支援A型/B型事業所」と「障害年金」は障害のある人が自立した生活を目指すために利用できる重要な制度です。

一方で、「就労継続支援A型/B型事業所を利用していると障害年金はもらえないのではないか」といった疑問や不安を持つ人も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、就労継続支援A型/B型事業所を利用しながら障害年金を受給できます。

この記事では、就労継続支援A型/B型事業所を利用しながら障害年金を受給することが可能である理由や具体的な支給額、さらに両制度についての基本的な知識をわかりやすく解説します。

初めて就労継続支援A型/B型事業所を利用する人や、障害年金を知らない人でも2つの制度の概要が理解できるようになるので、ぜひ最後までお読みください。

目次

【結論】就労継続支援A型/B型事業所に通所中でも障害年金はもらえる

障害年金は、就労継続支援A型/B型事業所に通所中の人でももらうことができます。

就労継続支援とは、障害のある人が自立した日常生活や社会生活を送るための支援を行う事業所です。

A型事業所は雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が支払われます。一方、B型事業所は雇用契約を結ばずに、比較的軽作業などの仕事を行い、工賃が支払われます。

障害年金は病気やけがによって日常生活や仕事に支障が出ている場合に支給される制度です。

障害年金を申請するには、障害の程度や保険料の納付状況などの条件を満たすことが必要ですが、「就労継続支援A型/B型事業所の利用がないこと」という条件はありません。

したがって、A型/B型事業所に通う人でも、障害年金を申請することができます。

障害年金と就労継続支援A型/B型事業所は、別の制度に基づいて運営されており、それぞれの利用条件をみたせば併用することができます。

参考:「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」日本年金機構

就労継続支援A型/B型事業所に通所中の障害年金支給額について

令和6年度の年金額は以下のようになります。

障害等級障害基礎年金障害厚生年金
1級1,020,000円※子の加算額報酬比例の年金額×1.25※配偶者の加算あり
2級816,000円 ※子の加算額報酬比例の年金額※配偶者の加算あり
3級なし報酬比例の年金額※最低保証額612,000 円
障害手当金なし報酬比例の年金額×2※支給は一度のみ

障害年金は、生活や仕事にどの程度の制限や支障があるかで障害等級が決まります。つまり、「就労継続支援を利用している」という理由で年金額が増減することはありません。

なお、報酬比例の年金額は厚生年金に長く加入し、高い給与を受けていた場合は高い年金額となります。詳しい計算方法は、日本年金機構が公開しているは行 報酬比例部分でご確認いただけます。

参考:「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」日本年金機構

よくある質問

就労継続支援A型/B型事業所の利用や、障害年金に関連して寄せられる質問に回答していきます。

そもそも就労継続支援A型/B型事業所とは?

就労継続支援A型/B型事業所とは、一般企業で働くことが難しい障害のある人に、働く場と支援を提供する福祉サービスです。

障害のある方が自分に合った働き方を見つけることができ、社会参加や収入を得るためのサポートを受けられます。

【就労継続支援A型事業所】

利用者と事業所が雇用契約を結んで働く形態です。

このため、最低賃金以上の給与が保障されており、社会保険への加入も可能です。比較的安定した環境で、一般企業に近い形で就労経験を積むことができます。利用対象となるのは、原則として18歳以上64歳までの人です。

【就労継続支援B型事業所】

雇用契約を結ばずに作業を行う形態で、作業に対する対価として工賃が支払われます。

B型事業所では、利用者の障害の程度や体調に合わせて、比較的自由に働く時間や作業内容を調整できる柔軟性があります。年齢の上限はなく、幅広い年齢層の方が利用できます。

就労継続支援A型とB型事業所の違い

両事業所の主な違いをまとめると、以下のようになります。

項目就労継続A型事業所就労継続B型事業所
項目就労継続A型事業所就労継続B型事業所
雇用形態ありなし
収入給与
(最低賃金以上)
工賃
(A型事業所より低いことが多い)
対象年齢原則64歳まで年齢上限なし
社会保険加入できる対象外

就労継続支援A型/B型事業所は、障害のある人が働く場を通じて自立を目指す重要な選択肢として、多くの人に活用されています。

就労継続支援A型/B型事業所の違いについては、以下の関連記事でわかりやすくご紹介しています。

そもそも障害年金とは?

障害年金は、病気やけがで障害を負い、日常生活や仕事に支障が生じた場合に、経済的に支援するために国から支給される公的な年金制度です。

障害年金では、単に病名や診断名だけで判断されるのではなく、「病気やけがによって日常生活や仕事にどの程度影響が出ているか」という点が重視されます。

また、身体の障害だけでなく、精神疾患や内部疾患なども障害年金の対象です。

障害年金を受給するためには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。

初診日要件障害の原因となった病気やけがで、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に公的年金に加入していること
保険料納付要件初診日の前日において、一定期間、年金保険料を納付しているか、免除されていること
障害状態要件※障害の程度は、日常生活や仕事への影響を総合的に判断して決定される障害認定日または現在において、法令で定められた障害等級に該当する状態であること

また、障害年金には、初診日に加入していた年金制度によって、以下の2種類があります。

障害基礎年金初診日に国民年金に加入していた
障害厚生年金初診日に厚生年金に加入していた

障害年金は、病気やけがによる障害で支障がある場合でも、一定の生活水準を維持できるようにすることを目的としています。つまり、現役世代の方々にとっても、万が一の際の生活の支えとなる、重要な社会保障制度の一つといえるでしょう。

参考:[年金制度の仕組みと考え方]第12 障害年金」厚生労働省

参考:「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」日本年金機構

障害年金の申請方法は?

障害年金の申請は次のような流れで進みます。

ステップ①:障害認定日の確認

 障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日を確認し、参考資料を準備します。

準備した参考資料を持って、年金事務所や街角の年金相談センター等を訪問しましょう。

ステップ②:保険料納付要件の確認

年金事務所や街角の年金相談センター等で、年金加入状況や保険料納付状況を確認しましょう。

保険料納付要件をクリアできる見込みがあれば、年金事務所等で必要書類等について相談します。

障害年金の必要書類は、人それぞれ違うのでよく確認しましょう。

参考:「全国の相談・手続き窓口」日本年金機構

参考:「街角の年金相談センター一覧」全国社会保険労務士会連合会

参考:「障害年金ガイド」日本年金機構

ステップ③:必要書類の準備

年金事務所等で聞いてきたとおりに、診断書、病歴・就労状況等申立書、住民票などを準備しましょう。

  • 診断書は医師が作成しますが、ふだんの生活の様子や仕事での配慮など、自分の生活の様子が正確に記載されていることが必要です。
  • 病歴・就労状況等申立書は自分で記載する書類で、これまでの病歴や通院歴をわかりやすく端的にまとめます。

ステップ④:書類提出

年金請求書等の提出先は、初診日に加入していた年金制度により次のようになります。

初診日に加入していた年金制度提出先
国民年金お住まいの市区町村役所
※初診日に国民年金第3号被保険者だった人は、年金事務所または街角の年金相談センター
厚生年金年金事務所街角の年金相談センター

なお、障害年金の申請の際は「初診日の証明」や「病歴・就労状況等申立書の作成」が特に難しいケースが多く見られます。

自分や家族だけで申請することが難しいときには、障害年金専門の社労士へ相談してみましょう。

参考:「障害年金お手続きガイド」厚生労働省

参考:「障害厚生年金を受けられるとき」日本年金機構

参考:「障害基礎年金を受けられるとき」日本年金機構

就労継続支援A型/B型事業所の探し方は?

就労継続支援A型/B型事業所は、以下のような方法で見つられます。

①ハローワーク

A型事業所については、ハローワークのパソコン端末で求人情報を検索できます。

ハローワークの担当市職員と相談しながら見学や面接の手続きを進められるので、初めてで不安な人はハローワークを利用するのもいいでしょう。

②求人サイト

 インターネットを利用して、障害者専用の求人サイトや一般の求人サイトで就労継続支援A型/B型事業所を検索できます。

スマホやパソコンで自宅にいながら利用できるのは、大きなメリットといえるでしょう。

求人サイトのご利用には、「デイゴー就労支援ナビ」がおすすめです。

就労継続支援A型/B型事業所の情報を、地域や対象障害などで詳細に検索できるなど便利な機能が満載です。

また、各事業所の特徴や就職実績も確認でき、体験申し込みもできるなどご利用者に寄り添った情報を提供しています。

③自治体の障害福祉課

 お住まいの役所にある障害福祉課で相談し、就労継続支援A型/B型事業所の情報を得ることもできます。

障害福祉課の職員が、いろいろな事業所とつながりを持っていることもあり、より現場に近い情報やおすすめの事業所について聞くこともできるのは強みといえるでしょう。

まとめ

就労継続支援A型/B型事業所を利用している人でも、障害年金をもらうことができます。

就労継続支援A型/B型事業所と障害年金は、障害を抱える人が自立を目指すために利用できる重要な支援制度です。2つの制度を併用することで、経済的な安定と社会参加を両立させることができます。

就労継続支援A型事業所では雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が支払われます。一方、B型事業所は柔軟な働き方が可能で、工賃という形で収入を得る仕組みです。

障害年金は、障害があるために生活や就労に支障があるときに経済的基盤を支える制度で、申請要件を満たせば受給できます。

障害のある人が2つの制度を適切に活用することで、生活の質を向上させ、社会とのつながりを深めることができます。

就労継続支援A型/B型事業所や障害年金に関する正しい知識を持ち、必要な支援を得ることが、将来への大きな一歩となるでしょう。

最後までお読みくださりありがとうございました。

この記事を書いた人

社会保険労務士。社会保険労務士法人ゆうき事務所代表。2012年に大学卒業後、行政機関にて障害・介護部門に配属。1,000名を超える障害がある方・高齢者をサポート。その後、社会保険労務士事務所を独立開業し、障害年金特化の社労士事務所として活動している。https://sr-yuuki.com/

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