就労移行支援事業所の経営者・サービス管理責任者・管理者の皆様の中には、「就労移行支援事業所の利用者の実習を受け入れてくれる企業が少ない」や「利用者にあった職場に就職するために、どうしたら求人を開拓できるの?」といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、就労移行支援事業所が利用者の実習先や就職先企業の開拓をするときの営業の流れやポイントについてご紹介していきます。
就労移行支援事業所が企業開拓のために営業を行う重要性
就労移行支援事業所は、利用者の実習先や就職先を開拓するために、企業に対して営業を行う必要があります。
実習先・就職先の企業の数が多いほど、利用者がそれぞれ適性にあった職場に就職できるようになり、就職後の職場定着率を高めることにつながります。
また、利用者が就労移行支援事業所を選ぶ際には、実習先・就職先の企業数や業種・職種の種類の多さも比較のポイントとなるため、提携している企業が多いと集客にも有利となります。
就労移行支援事業所が企業開拓をするときの営業先は?
就労移行支援事業所の企業開拓の営業先には以下のようなものがあり、ハローワークや地域の就労支援機関から紹介を受ける場合と、企業に直接営業を行う場合の大きく2つに分かれます。
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)
- ハローワーク
- 自治体が独自に設置している就労支援機関(例:東京都の障害者就労支援事業、東京しごと財団、都道府県就労支援センター等)
- 都道府県の労働局
- 特別支援学校
- 障害者雇用の義務がある企業
- 特例子会社
- 障害者雇用の義務がない企業
就労移行支援事業所の企業開拓のためにアポイントをとる方法
ここからは、就労移行支援事業所が企業開拓のために営業のアポイントをとる方法について、就労支援機関やハローワークから企業の担当者の紹介を受ける場合と自力で企業へアポイントをとる場合に分けて説明していきます。
就労支援機関等から企業の紹介を受ける場合
地域の就労支援機関やハローワークから企業の人事担当者や社長の紹介を受けるためには、まずは就労支援機関等の担当者に連絡をとります。
その上で、例えば就労支援機関であれば
- 障害者雇用や実習の実績がある企業の見学を依頼する
- 定着支援の現場に同行させてもらう
- 企業から届く情報を共有してもらう
といった行動をとってみましょう。
また、ハローワークであれば、
- 定期的に訪問し、地域の求人情報について話を聞く
- 合同面接会に参加する
- 雇用促進セミナーに参加する
- 生活支援の必要な求職者のサポートや企業の事業所見学受入など、求職側として協力できることを提案する
といった取り組みも有効です。就労移行支援事業所として協力できることを提案したり、継続的に相談をしたりすることで、担当者と関係を構築し、ひいては企業との接点を増やすことにつながります。
自力で企業へアポイントをとる場合
就労支援機関等からの紹介が少ない場合、企業へ電話をしてアポイントをとる(テレアポ)方法もあります。自力で営業というと飛び込み営業を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、企業の人事担当者は忙しいため、アポイントなしでの訪問営業は効果的でないことが多いです。
テレアポを行う場合は、まずは以下のような企業をリストアップして連絡をしてみましょう。
- ハローワークに障害者雇用の求人を出している企業
- 障害者雇用求人サイトに掲載している企業
- 名刺交換をしたが連絡をとっていない企業
- 地域の特例子会社
業界や面識の有無によって異なりますが、一般的なテレアポの成功率は約0.1〜10%と言われているため、紹介を受ける場合よりも根気のいる営業方法とも言えるでしょう。
このほかに、すでにご自身の就労移行支援事業所の卒業生が働いており、定着している企業がある場合は、優先的に営業をかけるとアポイントをとれる確率は高くなります。
就労移行支援事業所の企業開拓のための訪問営業の流れ
人事担当者や社長とアポイントがとれたら、実際に企業に訪問をし、見学や実習への協力依頼や求人情報の提供といった交渉を行うことになります。ここからは、訪問営業の流れをご紹介していきます。
ステップ①プレゼン資料を作成
企業の人事担当者に、就労移行支援事業所の利用者の実習受け入れや求人情報を提供することのメリットを伝えられるよう、前もってパワーポイントやパンフレットといったプレゼン資料を作成しておきましょう。
ステップ②訪問の事前準備
訪問の事前準備として、ホームページやSNS、ブログなどを見て、以下のような企業の情報をできるだけ多く収集しておきます。
- 商品・製品・サービス
- 顧客の属性
- 市場規模
- 市場の成長性
- 従業員規模
- 障害者雇用の実績
- 競合企業
- 業界内での立ち位置
- 評判
- 理念・ビジョン
- 仕入れ先
- 販売経路
企業によって障害のある人と働くことへの理解度が異なる場合があるため、特に、従業員規模は必ず確認しておきましょう。また、SDGsに積極的に取り組んでいる企業は障害者雇用に意欲的な場合もあります。
ステップ③事業所の説明
事前の準備が終わったら、いざ訪問です。担当者に訪問の目的を伝え、アイスブレイクが終わったら、まずはプレゼン資料を使いながら端的に分かりやすく事業所の説明を行いましょう。
企業の担当者は「就労移行支援事業所」や「職場実習」といった言葉に慣れていない場合も考えられます。
ですから、そうした言葉を商談の中で初めて使用する際は、例えば「就労移行支援事業所は障害のある人の就職をサポートするところで、利用期限は2年間となっているんです」などと補足すると理解してもらいやすいです。
ステップ④クロージング
訪問営業の目的は実習先や就職先の開拓ですが、いきなり「実習生を受け入れてくれませんか?」とお願いされても担当者も困ってしまいます。
そのため、すぐに本題へ移るのではなく、質問を投げかけながら企業がどのようなことに課題を持っているのかつかむことが大事です。
会話をする中で、例えば障害者雇用を行ったことがあるがなかなか続けてくれないことが分かったら、就労移行支援事業所の利用者は就職後の定着率が高いといったアピールをすることができ、クロージングにつながる可能性があります。
また、初回の訪問に応対してくれた方が決裁者でなかった場合は、商談の最後に決裁者の連絡先をもらっておきましょう。
就労移行支援事業所が企業開拓で営業するときのポイント
ここからは、就労移行支援事業所が企業開拓のための営業でうまくいくためのポイントをご紹介していきます。
ポイント①障害者雇用の義務がある地域の企業には積極的に営業する
障害者雇用促進法に基づいて決められている障害者雇用率は、2024年度は2.3%、2025年度は2.5%、2027年度は2.7%と段階的に引き上げられることとなっています。
従業員を40人以上雇用している企業はこうした法定雇用率を満たす義務があるため、障害者のある人の採用に意欲的である場合も多いです。
ですから、地域に従業員が40人以上の企業があった場合は、必ず営業をしてみましょう。
ポイント②電話をする前にパンフレットを郵送する
面識のない企業へいきなり電話しても、訪問の約束を取り付けられる確率は低いです。
テレアポの成功率を上げるために、事前に事業所のパンフレットと手紙を郵送しておき、それらが先方に到着したころに電話でフォローするのも有効です。
「先日パンフレットとお手紙を郵送させていただいたのですが」と電話をかけてみて、障害者雇用への関心などをヒアリングし、訪問させてもらえないかお願いしてみましょう。
ポイント③決裁者へ接触できる機会を増やす
職場実習の受け入れや求人情報の提供について、最終的に決めるのは大きな会社だと人事部長や人事担当者、中小企業だと社長である可能性が大きいです。
就労支援機関からの紹介以外でそうした決裁者と出会うために、以下のようなイベントや会合に積極的に参加してみましょう。
- 地域の商工会、商店街組合へのあいさつ・イベントへの参加
- 経営者が集まる会合への参加
- 異業種交流会への参加
ポイント④求人開拓は人材紹介会社と提携も
自事業所で集めた求人情報のみだと、利用者の適性にあった職場がなかなか見つからない場合もあるかもしれません。
そのようなときには、障害者雇用の求人を取り扱っている人材紹介会社と提携するのもひとつの手です。人材紹介会社も企業に対して障害者雇用の求人を獲得するための営業を行っているため、ハローワークにないような非公開求人を取り扱っている場合もあります。
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最後に
ここまで、就労移行支援事業所が利用者の実習先や就職先企業を開拓をするときの営業の流れやポイントについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
提携している実習先・就職先の企業数が多いと利用者集めに役立つほか、何よりそれぞれの利用者に対して適性にあった職場を紹介することができます。この記事でご紹介した方法が皆様の企業開拓のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。